街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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ウクライナ・ムィコラーイウ動物園のナヌクにクリスマスツリーのプレゼント ~ ナヌクの不本意な存在感

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ナヌク (Белый медведь Нанук/Eisbär Nanuk)
Image:Владимир Топчий

ウクライナのムィコラーイウ動物園では昨年12月に6歳になったジフィルカが一頭の赤ちゃんを出産していますが、このジフィルカのパートナーが同じ5歳であるチェコ・ブルノ動物園でコーラお母さんから誕生した雄(オス)のナヌクです。このナヌクはロシアのロストフ動物園で飼育されているコメタと双子の兄妹です。ジフィルカと赤ちゃんは当然産室内にいるわけで飼育展示場に出ているのはナヌク一頭なのですが、そのナヌクにクリスマスツリーのプレゼントがあったそうです。このクリスマスツリーは一般市民が家庭で飾ったものを動物園に寄付したものだそうです。その様子を映像で見てみましょう。珍しいものをもらって興味津々といった感じのナヌクです。以下をワンクリックして下さい。
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このナヌク、そして現在ロストフ動物園で飼育されているコメタが誕生した2012年あたりからブルノ動物園は旧ソ連圏のEAEAZAへの傾斜が深くなったためにナヌクとコメタの双子はウクライナとロシアの動物園に移動したわけですが(現在では再び欧州のEAZA側に戻っています)、これはブルノ動物園の失敗ではなかったかと私は思っています。案の定EARAZAはやや場当たり的な個体配置を行い、特にナヌクのパートナーであるジフィルカがモスクワ動物園からこのムィコラーイウ動物園に移動してきたのは長年にわたってムィコラーイウ動物園と友好関係にあるモスクワ動物園がムィコラーイウ動物園に対して昔からホッキョクグマを贈与するといった約束が存在しており、その約束の実現がモスクワ動物園の以前の園長であったロシア動物園界の重鎮であるスピーツィン氏(現在は会長)の力によってなされたという事情があったわけでした。これについては「ウクライナ、チェコ、ポーランド、スロヴァキアの四か国の動物園が『欧州スラヴ圏動物園共同体』を形成か?」という投稿を御参照下さい。このように「大物動物園関係者」の人間関係でホッキョクグマの個体配置を行うというのは好ましいことではないわけです。事実、ナヌクとジフィルカはいとこ同士の関係です。ナヌクの母親であるコーラはジフィルカの母親であるシモーナの妹だからです。つまりナヌクの祖父母とジフィルカの祖父母は共にレニングラード動物園のウスラーダと故メンシコフなのです。「大物動物園関係者」はとかくそういったことには無頓着だというわけです。今後ムィコラーイウ動物園で誕生する赤ちゃんの所有権は全てモスクワ動物園にあるわけですが欧州はこういった赤ちゃんたちを欧州域内に入れるといことはまずないのではないかと思います。
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ナヌク Image:Владимир Топчий

ナヌクの暮らすムィコラーイウ動物園もコメタの暮らすロストフ動物園も飼育環境という点では欧州の動物園には遥かに及ばないわけで彼らの姿を映像で見ていると一種の悲哀感のようなものを感じてしまいます。私はロストフ動物園でコメタには会っていますがロストフ・ナ・ドヌという街の夏の日差しの強さと暑さは大変なものです。ともかくナヌクは早々と繁殖に成功したわけで、それはそれで喜ぶべきことではありますが、しかし旧ソ連圏や欧州のホッキョクグマ界全体を見渡すとナヌクは不本意な役回りを演じているといってもさほど誇張にはならないでしょう。

(資料)
Inshe.tv (Jan.15 2018 - Нанук и елка. Как белый медведь в Николаеве старый Новый год праздновал)
Николаевские Известия (Jan.15 2018 - Николаевский медведь Нанук устроил веселые игры с елкой)

(過去関連投稿)
(ナヌク関連)
チェコ・ブルノ動物園のコメタがロシア・ロストフ動物園へ ~ ブルノ、モスクワ、ロストフの巧妙な三角関係
チェコ・ブルノ動物園のコメタとナヌクの将来への不安 ~ 忍び寄るロシアとウクライナの紛争の暗い影
チェコ・ブルノ動物園のナヌクが同園を出発、ウクライナのムィコラーイウ動物園に向かう ~ 物語の終幕
チェコ・ブルノ動物園のナヌクが無事にウクライナのムィコラーイウ動物園に到着
ホッキョクグマ・アイカ と レディン一家の物語 ~ 愛情の日々、そして悲劇的な終末へ
ウクライナ、チェコ、ポーランド、スロヴァキアの四か国の動物園が「欧州スラヴ圏動物園共同体」を形成か?
ウクライナのムィコラーイウ動物園に移動したナヌクのその後 ~ 複雑なスラヴ圏のホッキョクグマ事情
(*ジフィルカとナヌクの同居関連)
ウクライナ・ムィコラーイウ動物園のジフィルカとナヌクの初顔合わせは、やや不調に終わる
ウクライナ・ムィコラーイウ動物園のジフィルカとナヌクとの近況 ~ 旧ソ連地域のホッキョクグマ界
ウクライナ・ムィコラーイウ動物園のナヌクとジフィルカに誕生日とクリスマスのお祝いが行われる
ウクライナ・ムィコラーイウ動物園、ナヌクとジフィルカの「国際ホッキョクグマの日」
ウクライナ・ムィコラーイウ動物園のジフィルカとナヌクの背負わされた不幸 ~ "It should have been..."
ウクライナ・ムィコラーイウ動物園のナヌクとジフィルカへチェコのファンからおもちゃのプレゼント
ウクライナ・ムィコラーイウ動物園のジフィルカとナヌクの誕生会が開催 ~ 国境をまたいだファンの交流
ウクライナ・ムィコラーイウ動物園のナヌクとジフィルカの近況 ~ 何者かによる動物の毒殺で脅迫される同園
ウクライナ・ムィコラーイウ動物園のホッキョクグマ飼育展示場に監視カメラが設置 ~ 脅威に備える同園
ホッキョクグマ・アイカ と レディン家の物語 ~ 愛情の日々、そして悲劇的な終末へ
ウクライナ・ムィコラーイウ動物園でホッキョクグマの双子の赤ちゃん誕生! ~ 一頭が元気に成育中
ウクライナ・ムィコラーイウ動物園での赤ちゃん誕生の報道に登場した「悲劇のホッキョクグマ」アイカの姿
ウクライナ・ムィコラーイウ動物園で誕生の赤ちゃんが生後一か月に
# by polarbearmaniac | 2018-01-17 01:30 | Polarbearology

ドイツ・ゲルゼンキルヘン動物園の赤ちゃんが生後六週間を無事に通過 ~ 赤ちゃんに体を密着させる母親

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Image(C)ZOOM Erlebniswelt Gelsenkirchen

ドイツのゲルゼンキルヘン動物園で昨年12月4日に13歳のララ (Lara) から誕生した赤ちゃんですが生後6週間が無事に経過しました。昨年2017年の繁殖シーズンに赤ちゃんが生まれたことを公表している動物園はたった5つの場所(ペルミ、ベルリン、ゲルゼンキルヘン、イジェフスク、ムィコラーイウ、キンクレイグ)ですが、すでに赤ちゃんが死亡してしまったペルミやベルリンを除き産室内での赤ちゃんの成長に関する情報を頻繁に公表しているという動物園はあまりないわけでやや寂しい年になっています。しかしそういった中でもゲルゼンキルヘンは簡素ながらも比較的定期的に赤ちゃんの情報を発表しています。また、ここにきて地元メディアはゲルゼンキルヘン動物園のクラヴィンケル獣医にインタビューして同園が公式に公表している以外の情報を聞き出すということを行っていますのでその映像を一部ですがご紹介しておきましょう。以下をワンクリックして下さい。
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クラヴィンケル獣医は、ホッキョクグマの赤ちゃんの死亡率は自然下であっても飼育下であっても違いが無いと語り、2016年に今回のララは赤ちゃんを出産したもののほんの数日後に死亡してしまったと語ります。今回のララの出産も三つ子であったものの二頭はすでに死亡し、生き残っているのが今回の赤ちゃんであると語ります。クラヴィンケル獣医は慎重に語るもののこの赤ちゃんの今後の無事な成育に関しては楽観的な印象を持っているそうです。朝に出勤するとまず産室内のモニター映像をチェックするそうで、一日の仕事の半分はこの産室内映像のチェック作業にあてられるようです。この親子の様子を細かくチェックして書類に記録しているようです。母親のララは赤ちゃんを絶えず自分の体に密着させるようにしており、赤ちゃんが離れようとするとララは自分の前脚で赤ちゃんを手繰り寄せるそうです。その光景は非常に心温まる ("herzerwärmend") とも語っています。赤ちゃんの屋外への登場は4月になるだろうとも述べています。このクラヴィンケル獣医はベルリン動物公園のジックス主事とはかなり違う考え方をする人のようですね。やはり女性だからなのかもしれません。

(資料)
Westdeutsche Allgemeine Zeitung (Jan.14 2018 - Der kleine Eisbär aus Gelsenkirchen wird sechs Wochen alt)

(過去関連投稿)
ドイツ・ゲルゼンキルヘン動物園でホッキョクグマの三つ子の赤ちゃん誕生! ~ 一頭が元気に成育中
ドイツ・ゲルゼンキルヘン動物園で誕生の赤ちゃん、無事に生後二週間が経過
ドイツ・ゲルゼンキルヘン動物園で誕生の赤ちゃん、順調に生後一ヶ月へ ~ 両目が開く
ドイツ・ゲルゼンキルヘン動物園で誕生の赤ちゃん、生後五週間が無事に経過
# by polarbearmaniac | 2018-01-17 00:15 | Polarbearology

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