街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


by polarbearmaniac

プロフィールを見る

フランス・ミュルーズ動物園のセシとナニュクの親子の近況 ~ 優れた映像に恵まれない親子

a0151913_061036.jpg
セシお母さんとナニュク 
Photo(C)Parc zoologique et botanique de Mulhouse

フランス東部アルザス地方のミュルーズの動物園で昨年2016年の11月7日に当時は5歳であったセシ (Sesi) から誕生した雌(メス)の赤ちゃんのナニュク (Nanuq)については久しぶりの投稿になります。この親子で注目すべきなのは母親であるセシの母親としての大物ぶりです。しかしそういった観点から撮影された映像というものは非常に少ないのが残念です。そのような映像が少ないというのは、そういった観点でホッキョクグマの親子を見つめているファンが欧州、特にフランスにはほとんどいないからだと考えます。

さて、そう言ってみてもしょうがありません。ここでミュルーズ動物園が時行うライブ中継の映像を二つほど見ておくことにしましょう。最初のものですが、これを見ると母親のセシはすでにナニュクに対しては自由放任の状態にしてあるという印象を受けます。ネット環境が良くありませんと映像が止まってしまう場合があると思いますのでご注意下さい。



次はプールに入っている親子の姿なのですが撮影の条件が良くないのが惜しいと思います。いちいち娘の行動に付きあうということはしないセシお母さんです。



この親子の姿はもっとちゃんとした映像で記録してやる必要があると思います。そしてこの親子がどんな親子なのかをしっかりと認識したうえで撮影された映像がありませんといけないように思います。ホッキョクグマ親子の写真や映像はかなり特定のものに集中して偏っているように感じます。このミュルーズ動物園の親子は残念ながらそういったものから外れてしまっているように思います。ちょっと残念な気がします。

(過去関連投稿)
フランス・ミュルーズ動物園でホッキョクグマの赤ちゃん誕生! ~ 5歳のセシが二度目にして出産に成功
フランス・ミュルーズ動物園で誕生した赤ちゃんの近況 ~ 大きな喜びに包まれる同園
フランス・ミュルーズ動物園で誕生した赤ちゃんが生後三か月となる ~ ネットによる命名投票受付中
フランス・ミュルーズ動物園の赤ちゃんがセシお母さんと共に屋外に登場
フランス・ミュルーズ動物園の赤ちゃんが遂に一般公開 ~ 性別は雌(メス)で「ナニュク (Nanuq)」と命名
フランス・ミュルーズ動物園で大人気となったセシとナニュクの親子を担当するスタッフの充実した毎日
フランス・ミュルーズ動物園のセシとナニュクの母娘の近況 ~ 「超大物」の母親であるセシ
# by polarbearmaniac | 2017-05-24 01:00 | Polarbearology

オランダ・エメン動物園に移動したドイツ・ブレーマーハーフェン臨海動物園のリリー

a0151913_21224812.jpg
ブレーマーハーフェン臨海動物園を出発するリリー
Photo(C)Zoo am Meer Bremerhaven

一昨年の2015年の12月11日にドイツのブレーマーハーフェン臨海動物園でヴァレスカお母さんから誕生した雌(メス)のリリー(Lili)が生後一年半ほどでオランダのエメン動物園 (WILDLANDS Adventure Zoo Emmen)に移動することを余儀なくされた件については過去関連投稿を御参照下さい。リリーが5月9日にブレーマーハーフェン動物園を出発したわけですが移動用ケージに自発的に入るようにあらかじめ訓練が行われていましたので、その日も食べ物につられてケージに入ったそうて無麻酔での移動作業がききたそうです。ブレーマーハーフェンからエメンまでの移動には二名の飼育員さんも同行したそうです。ブレーマーハーフェン動物園のスタッフにとってリリーとの別れはつらい気持であったようで、リリーが誕生して以来現在まで、この動物園にとっては特別の出来事の終結を意味するものだという意味付けさえなされているようです。

さて、エメン動物園に同日に到着したリリーですが、まず最初にノルチェ(2012年11月、オランダ「動物帝国」生まれ)との同居、そして次にはラーレ(2013年12月 ドイツ・ブレーマーハーフェン臨海動物園生まれ)、そして次にはネラ(2013年12月ヘラブルン動物園生まれ)とそれぞれ雌(メス)同士の二頭での同居が行われたそうです。これが行われる前には準備としてもちろん室内での顔合わせがり、互いに攻撃的な態度をとらないことが確認されてからの同居の実施がなされたとのことです。リリーは他の三頭にちっとも怖気づくことがなかったため同居は全て大成功だったそうです。以前からまるで仲間ででもあったようにスムーズに同居がなされたようです。これらのうちリリーのラーレとの同居のシーンを御紹介しておきます。ラーレはやはりブレーマーハーフェン臨海動物園生まれでリリーの姉にあたります。ですから姉妹の同居ということになります。



そしてとうとう、ノルチェ、ラーレ、ネラ、リリーの四頭同居が行われて、これまた順調に成功したようです。その様子が映像として公開されましたので見てみましょう。撮影の画面の都合で三頭しか見ることができないようです。



ブレーマーハーフェン臨海動物園はリリーが二歳に近づかないうちに早々とエメン動物園に移動させて他の三頭と同居させたことは正しい判断だったと胸をなでおろしています。このエメン動物園は欧州における雌(メス)のホッキョクグマの若年個体の集中プール基地としての役割を担っているわけですし、仮に円山動物園からララファミリーの雌の個体が欧州に移動するという場合があたとすればこのエメン動物園が移動先となる可能性は非常に大きいでしょう。エメン動物園はこうして雌(メス)の個体ばかりを集め、そして繁殖可能な年齢となって次の移動先となる動物園に配置するまで飼育するという役割を担っているわけですが、エンリッチメントのためにおもちゃを与えるというよりも、こうして他の個体と同居させることによって成長を促そうという飼育姿勢に徹しているようです。「ホッキョクグマは単独生活を指向する種である。」といったZoological correctness に沿った飼育をしようといった考え方はないようです。日本に当てはめれば、マルル、ポロロ、シルカ、モモの四頭同居がなされていることとほぼ同じということではないでしょうか。現在の私がおぼろげに気が付いてきたことですが、このエメン動物園をはじめとした欧州のいくつかの動物園では、現在世界中のホッキョクグマを飼育している動物園が行っているホッキョクグマへのエンリッチメントというものを多頭同居によって置き換え、そして現在行われているエンリッチメントというものを乗り越えていこうという試みなのではないかと思っています。言い換えれば、天王寺動物園の前任の担当飼育員さんが大変に苦心して行ってきたやり方というものを乗り越える方法があるとすれば、やはり同性の若年個体の複数同居だようと考えるわけです。そういったことで先日の大阪訪問記でシルカとマルルの同居の有望性を述べたということでもあるわけです。欧州のホッキョクグマ飼育の考え方の進化と深化に私たちは注目しておかねばなりません。
a0151913_0193797.jpg
Photo(C)WILDLANDS Adventure Zoo Emmen

これからも興味を持ってこのエメン動物園のやり方を問題意識を持って追っていきたいと思っています。欧州の先進的なホッキョクグマ飼育を研究するにはこのエメン動物園は注目すべきいくつかの動物園の一つであることは間違いないと思います。

(資料)
Zoo am Meer Bremerhaven (May.9 2017 - Abschied von Eisbärin Lili! Heute ist sie auf auf dem Weg in den Zoo Emmen) (May.18 2017 - Eisbärin Lili ist im Zoo Emmen glücklich)
Nordwest-Zeitung (May.9 2017 - Jetzt beginnen die wilden WG-Zeiten)
Nord24 (May.9 2017 - Heute heißt es Abschied nehmen: Tschüß Lili!)
Die Welt (May.9 2017 - Eisbärin Lili nimmt Abschied aus Bremerhaven)

(過去関連投稿)
ドイツ・ブレーマーハーフェン臨海動物園でホッキョクグマの赤ちゃん誕生!
ドイツ・ブレーマーハーフェン臨海動物園で誕生の赤ちゃんと母親の大晦日はピアノ音楽で暮れる
ドイツ・ブレーマーハーフェン臨海動物園で誕生の赤ちゃんが間もなく生後一ヶ月へ
ドイツ・ブレーマーハーフェン臨海動物園で誕生の赤ちゃんが生後40日を無事経過
ドイツ・ブレーマーハーフェン臨海動物園の赤ちゃんが生後50日を無事経過
ドイツ・ブレーマーハーフェン臨海動物園の赤ちゃんの性別への憶測 ~ 性別差と性格差による行動差
ドイツ・ブレーマーハーフェン臨海動物園の赤ちゃんの性別は雌(メス)と判明
ドイツ・ブレーマーハーフェン臨海動物園の雌の赤ちゃんが初めて母親と共に産室外に登場
ドイツ・ブレーマーハーフェン臨海動物園の雌の赤ちゃんの名前が「リリー (Lili)」に決まる
ドイツ・ブレーマーハーフェン臨海動物園の雌の赤ちゃんのリリーが初めて戸外に登場、一般公開へ
ドイツ・ブレーマーハーフェン臨海動物園の赤ちゃんのリリーの水遊び ~ その「自由意思」への評価の意義
ドイツ・ブレーマーハーフェン臨海動物園の雌の赤ちゃん、リリー(Lili) の公式命名式が行われる
ドイツ・ブレーマーハーフェン臨海動物園のリリーの近況 ~ ヴァレスカお母さんの育児能力の進歩
ドイツ・ブレーマーハーフェン臨海動物園のヴァレスカとリリーの母娘にハロウィーンのプレゼント
ドイツ・ブレーマーハーフェン臨海動物園のリリーが満一歳となる ~ 荒々しさすら感じさせる活動的な母娘
ドイツ・ブレーマーハーフェン臨海動物園でヴァレスカお母さんとリリーに氷のプレゼント
ドイツ・ブレーマーハーフェン臨海動物園の一歳のリリーが母親から攻撃的態度を受け別居となる
ドイツ・ブレーマーハーフェン臨海動物園の一歳半のリリーがオランダ・エメン動物園へ ~ 母娘の再会はなし
ドイツ・ブレーマーハーフェン臨海動物園の一歳半のリリーのお別れ会が開催される ~ 残る後味の悪さ
(*エメン動物園関連)
欧州がホッキョクグマの幼年・若年個体をプールする 「集中基地」 を計画 ~ 雌はオランダ、雄はイギリスへ
ドイツ・ブレーマーハーフェン臨海動物園のララ(ラーレ)のお別れ会が開催 ~ エメン動物園へ
オランダ・エメン動物園でのノルチェとラーレの近況 ~ オクタヴィアン(仮称)の移動先となるか?
移動先でのホッキョクグマの近況をどう知り、そしてどう伝えるか? ~ エメン、大阪、徳島...
オランダ・エメン動物園でのノルチェとラーレの近況 ~ 後退を余儀なくされた円山動物園の個体交換構想
オランダ・エメン動物園、来春に新施設が完成 ~ 幼年・若年個体集中基地システムの機能拡充へ
オランダ・エメン動物園のホッキョクグマへの偶然が与えた奇妙な「エンリッチメント」
ドイツ・ミュンヘン、ヘラブルン動物園のネラとノビの双子が同園を出発、オランダとイギリスに到着
オランダ・エメン動物園の新園(WILDLANDS Adventure Zoo Emmen)開園後のノルチェ、ラーレ、ネラ
# by polarbearmaniac | 2017-05-23 01:00 | Polarbearology

カテゴリ

全体
Polarbearology
しろくま紀行
異国旅日記
動物園一般
Daily memorabilia
倭国旅日記
しろくまの写真撮影
旅の風景
幻のクーニャ
エッセイ、コラム
街角にて
未分類

最新の記事

フランス・ミュルーズ動物園の..
at 2017-05-24 01:00
オランダ・エメン動物園に移動..
at 2017-05-23 01:00
アメリカ・オレゴン動物園のノ..
at 2017-05-22 21:00
モスクワ動物園のホッキョクグ..
at 2017-05-21 22:00
フィンランド・ラヌア動物園の..
at 2017-05-21 01:30
ロシア・西シベリア、セヴェル..
at 2017-05-20 20:30
バフィン、偉業を成し遂げつつ..
at 2017-05-19 23:30
モモの真っ直ぐな成長 ~ 母..
at 2017-05-19 23:00
浜松市動物園にゆったりと流れ..
at 2017-05-19 22:00
ロシア・ヤクーツク動物園のハ..
at 2017-05-19 06:00

以前の記事

2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月

検索

ブログパーツ

  • このブログに掲載されている写真・画像・イラストを無断で使用することを禁じます。

ライフログ


人生と運命 1


スターリン―青春と革命の時代


モスクワは本のゆりかご


私のモスクワ、心の記憶


自壊する帝国 (新潮文庫)


甦るロシア帝国 (文春文庫)


嘘つきアーニャの真っ赤な真実 (角川文庫)


ロシア 春のソナタ、秋のワルツ-1999-21st


それからのエリス いま明らかになる鴎外「舞姫」の面影


ミチコ・タナカ 男たちへの讃歌 (新潮文庫)


わがユダヤ・ドイツ・ポーランド―マルセル・ライヒ=ラニツキ自伝


ベルリン戦争 (朝日選書)


Hof――ベルリンの記憶


カチンの森――ポーランド指導階級の抹殺


北京烈烈―文化大革命とは何であったか (講談社学術文庫)


慟哭の通州――昭和十二年夏の虐殺事件


主題と変奏―ブルーノ・ワルター回想録 (1965年)


藤田嗣治 異邦人の生涯


Barle's Story: One Polar Bear's Amazing Recovery from Life As a Circus Act


Hotel Adlon: Das Berliner Hotel, in dem die grosse Welt zu Gast war


Ein seltsamer Mann


Alma Rose: Vienna to Auschwitz


St Petersburg: A Cultural History


Gulag


The Guest from the Future: Anna Akhmatova and Isaiah Berlin