街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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モスクワ動物園の二歳半の雄(オス)の「ポリちゃん(仮称)」が突然、ハバロフスク動物園に姿を現す

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ハバロフスク動物園での「ポリちゃん(仮称)」 
Photo(C)Типичный Хабаровск

実に驚きました。モスクワ動物園で2014年11月にシモーナから誕生した二歳半の雄(オス)と雌(メス)の双子のうち、雄(オス)の「ポリちゃん(仮称)」が突如として昨日の日曜日にロシア極東・沿海州のハバロフスク動物園(正式には「シソーエフ記念・プリアムールスキー動物園」 - Зоосад Приамурский имени В.П. Сысоева)に元気な姿を見せました。
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ハバロフスク動物園は土曜日夜に全く秘密裏にホッキョクグマを自園に搬入し、翌日の日曜日に来園者を驚かせてしまったようです。おそらくこれはヤクーツク動物園で昨年11月にコルィマーナから誕生した赤ちゃんが雌(メス)だったためにレニングラード動物園に移動が決まったことと同時に、ハバロフスク動物園は事前にモスクワ動物園と協議を行って雄(オス)のホッキョクグマの入手を確約していたということになるわけです。(*追記 - その後の報道によりますとロシア動物園・水族館協会が主導したことになっています。つまり事実上はモスクワ動物園ということになります。)ハバロフスク動物園にとっては故ゴシ、故イョシについで悲願の三回目のホッキョクグマの入園ということになります。日本からロシアに行かれたホッキョクグマファンの方々も、モスクワ動物園でこの「ポリちゃん(仮称)」に会われた方は何人かいらっしゃると思います。これでノヴォシビルスクのロスチクのハバロフスクへの移動はなくなったわけです。
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「ポリちゃん(仮称)」 Photo(C)Типичный Хабаровск



この「ポリちゃん(仮称)」は効果が15時間継続する麻酔薬を投与されモスクワから航空機によって輸送され(*追記 - 報道によりますとフライトは天候の影響で遅れ、ハバロフスク動物園までの輸送で10時間かかったそうです)、土曜日4月22日の夜にハバロフスク空港に到着し、そして昨日の日曜日にはすぐさまハバロフスク動物園の飼育展示場に登場して来園者から歓声を浴びたというわけです。ハバロフスク動物園は早速、魚や氷つけのイチゴなどのおやつを与え、「ポリちゃん(仮称)」はそれをきれいに平らげてしまったそうです。さらにこの「ポリちゃん(仮称)」の正式な名前を決める公募を行うようです。また同園としては早くこの「ポリちゃん(仮称)」のパートナーを確保して、どうしても繁殖を成功させたいという強い意欲を見せています。
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「ポリちゃん(仮称)」 Photo(C)Типичный Хабаровск

私は2015年にモスクワ動物園でこの「ポリちゃん(仮称)」の姿を2015年の8月、9月、10月とさんざん見てきましたので(過去関連投稿を御参照下さい)、その彼が日本に近いロシア極東のハバロフスクに来てくれたことはうれしいような気持ちにもなります。さて、そうなると双子のうち雌(メス)の「雪ちゃん(仮称)」は以前「モスクワ動物園のシモーナの2歳間近の双子の雌 (雪ちゃん - 仮称) がハンガリーのソスト動物園へ」という投稿でご紹介していました通り、いよいよハンガリーに行くということになるのでしょうか。これで、残されたノヴォシビルスク動物園のロスチクの移動先に注目が集まることになります。

念のために書いておきますがこの「ポリちゃん(仮称)」は旭川のイワン、ベルリンのヴァロージャの弟ということになります。そう考えると身近に感じられるということです。さらに言えばノヴォシビルスクのクラーシン(カイ)と静岡のピョートル(ロッシー)の甥(おい)にもなるわけです。ペルミのアンデルマの曾孫、サンクトペテルブルクのウスラーダの孫にもあたります。

(資料)


(*追記資料)
DVnovosti.ru (Apr.24 2017 - Белый медведь вновь появился в хабаровском зоосаде)

(過去関連投稿)
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(2015年9、10月 モスクワ動物園訪問記)
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# by polarbearmaniac | 2017-04-24 01:30 | Polarbearology

ロシア・西シベリア、ボリシェリェーチェ動物園のグーリャ、情報欠如の「幻のホッキョクグマ」としての存在

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グーリャ (Белая медведица Гуля) Photo(C)Savayr/ФотоКто

私がかつてから非常に気にかけているホッキョクグマがいます。それはロシア・西シベリアのオムスク近郊にある田園動物園であるボリシェリェーチェ動物園 (Большереченский зоопарк) に暮らす現在推定27歳の雌のホッキョクグマであるグーリャ (Гуля) です。彼女ほど情報の少ないホッキョクグマというのは世界にそう数あるものではありません。さて、そのグーリャですが2014年、2015年、2016年と連続して三年間、「国際ホッキョクグマの日」に元気な姿を見せていたニュース映像がオムスクのTV局から放送されていたわけですが、今年2017年には「国際ホッキョクグマの日」に関する何らの情報も流れず、そしてボリシェリェーチェ動物園でもイベントが開催された形跡が全くありませんでした。おそらく彼女は亡くなってしまったのだろうと考えて非常に気にしていたわけです。ロシアの地方都市の動物園ではホッキョクグマが亡くなっても発表があるなどとは一切期待できないからです。

さて、ところがひょんなことからこのグーリャが元気でいることが昨日になってわかりました。それは、トムスクに住むある動物ファンがこのボリシェリェーチェ動物園を訪問して「動物たちは満足にエサを与えられておらずケアの行き届いていない。」とSNSを用いて告発したことがオムスクで話題となったのです。特にやり玉にあがったのがオオカミで、ケガをしているのに放置されていると写真を添付して同園を批判しています。次に問題とされたのはカバであり、水が交換されていないと担当者の怠慢を非難しています。ホッキョクグマについては、ただ寝ているだけで声をかけても見向きもしないと述べています。私はこの動物ファンの告発を知って、実は非常に喜びました。要するにグーリャは生きているということを示す内容だからです。以前にも述べていますが、このグーリャは非常に人間嫌いであり、人間からの働きかけを無視する性格だそうですから、その動物ファンが声をかけても顔も向けないのは当然のことなのです。
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さて、このオムスク在住の告発者の主張に対して寄せられた意見は賛否両論であり、オムスク州の文化相はそれに反論しています。ここでその件についていちいち述べませんが、私の感じでは文化相の反論の内容は妥当であると思います。文化相はホッキョクグマについても、彼女は高齢であるのでいつもゆっくりと休んでいるのだと述べており、その内容は妥当なものだと思います。いろいろと調べているうちに3月の地元のTVニュースの映像の一部にグーリャが登場しているものを見つけました。確かに高齢となっており動き回るのがおっくうだという表情ですが、病気のようには見えませんので安心してよいと思います。その映像をご紹介しておきます。



今までこのグーリャの映像は「国際ホッキョクグマの日」のイベントを中心にいくつかご紹介してきましたが、地元のTVニュースの中で非常に短い時間断片的に登場したためにここでかつてご紹介していなかった映像がいくつかあります。そういったグーリャの姿だけを切り取ったまとめたものが下の映像です。2015年、2016年の放送分です。



ノヴォシビルスクにお住まいの方でこのグーリャに関心を持っていらっしゃう方がいるのを知りました。いろいろとお調べになっていらっしゃたようですがニュース映像はご存じないようでしたので尾の方のSNSにグーリャの映像のいくつかを紹介したということが最近ありました。ボリシェリェーチェ動物園というのはシベリア中部の都市であるオムスクの郊外にあるのですがアクセスが非常に悪い場所にありますね。
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ボリシェリェーチェ動物園 はオムスク郊外といっても市内からは約200キロの距離がありバスなどの公共輸送機関は一切なく、車で片道約2時間45分だそうです。「近郊」という概念はロシアの国土の広さを考えればこういったところなのでしょう。オムスクから車で行かれた方の道中、及び園内の映像がありますのでご紹介しておきます。8時21分に出発して10時51分に到着というのですからやはり2時間20分を要しています。



それから下はボリシェリェーチェ動物園の紹介映像です。グーリャは登場していないようです。



こういったことから、グーリャというのはまさに「幻のホッキョクグマ」であるというわけです。

(資料)
Бизнес-курс (Apr.23 2017 - Омичей шокировал истерзанный волк в Большереченском зоопарке)
Om1.ru (Apr.23 2017 - Посетителей Большереченского зоопарка поразил израненный волк)
Информационное агентство «Новый Омск» newsomsk.ru (Apr.23 2017 - Омичей напугали истощенные животные в Большереченском зоопарке) (Apr.23 2017 - В минкультуры опровергли слухи о том, что животные в Большереченском зоопарке страдают)
12 канала (Mar.10 2017 - В Большереченском зоопарке проснулись медведи)

(過去関連投稿)
ロシア・西シベリアのオムスク近郊、ボリシェリェーチェ動物園に暮らすグーリャ ~ 人間への不信と無関心
ロシア・西シベリアのボリシェリェーチェ動物園で飼育のグーリャに 「ホッキョクグマの日」 が開催予定
ロシア・西シベリア、ボリシェリェーチェ動物園のグーリャの「ホッキョクグマの日」 ~ 悲劇の幼年期の記憶
ロシア・西シベリア、ボリシェリェーチェ動物園のグーリャの近況 ~ 話題の光が当たらずとも良好な飼育環境
ロシア・西シベリア、オムスク近郊のボリシェリェーチェ動物園の「国際ホッキョクグマの日」のグーリャの姿
ロシア最大の石油会社 ロスネフチがロシアの動物園の全ホッキョクグマへの援助・保護活動開始を表明
ロシア・西シベリア、ボリシェリェーチェ動物園のグーリャにロスネフチ社より飼育場整備の資金援助
ロシア・西シベリア、ボリシェリェーチェ動物園、グーリャ(Гуля) の「国際ホッキョクグマの日」
ロシア・西シベリア、ボリシェリェーチェ動物園のグーリャ(Гуля)、乏しい情報から知るその動向
# by polarbearmaniac | 2017-04-24 00:30 | Polarbearology

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