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街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


by polarbearmaniac

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(考察) イコロとキロルの力関係の変化

(考察) イコロとキロルの力関係の変化_a0151913_13474615.jpg
(2010年2月20日 札幌・円山動物園にて)

札幌・円山動物園からおびひろ動物園に移動したあとのイコロとキロルについては、同動物園の飼育員さんのブログが、おおむねその様子を伝えているように思います。私も興味津々で拝見させてもらっていますが、この双子について飼育員さんのブログで注目せねばならない重要な点は一つだろうと思います。それは、イコロとキロルの「力関係」の変化という点です。あのブログを「力関係」をキーワードにして読むと一段と面白く読めるのではないでしょうか。

飼育員さんによれば、帯広へ移動しばらくはキロルがイコロを威嚇しまくっていてイコロが室内のエサを食べられない状態だったということです。そして以降(ごく最近まで)イコロとキロルはあまり仲が良くない雰囲気であることも伝わってきていました。 この事実についてツインズのファンとしては心配な気持ちになったのも無理はないかもしれません。しかし12月頃からのこの2頭の様子を見てきた限りにおいては、実はこれは事前に予想がついた話のように思われます。

12月に雪が積もって以来、円山動物園ではイコロがMoatに降りられない状態が帯広移動まで2ヶ月ほど続きました。この2ヶ月という長い期間で完全にキロルはイコロに対する「優位性」を自覚・確立したわけです。同時にイコロもキロルに対する「劣勢」を認めざるを得なくなりました。さらにキロルを勢いづかせたのは、母親のララがイコロの懇願には従わず、やはりMoatにしばしば降りてきたことです。キロルは、自分のイコロに対する「優位性」が母親公認のものであるとすっかり思い込んだのでした

さて、舞台は帯広に移ります。

帯広に移動したツインズですが、あそこの動物園の構造上、キロルが円山におけるMoatのように自己の優位性を示す場所がなくなってしまったわけです。イコロもプールのあるところまで降りられるわけですから、キロルが独占的に自分の領域にできる場所がなくなってしまいました。キロルは内心非常に不満で、おもしろくないわけです。なにがなんでも自分のイコロに対する今までの「優位性」を保たなければなりません。その結果がキロルのイコロに対する威嚇なわけです(3月6日の「個性ですから」をご覧下さい)。加えてキロルは、自分の「優位性」を公認してくれたと思い込んでいる母親のララがいなくなってしまったので、キロルは自分の「優位性」を認めてくれるララ以外の外部の誰かを求めているわけです。それが飼育員さんなのです。3月8日の「ぼくは直線的ですから」をご覧下さい。 キロルが「目の前しか見ていません。」と飼育員さんは書いていますが、私にはこれはキロルの性格が必ずしも直線的であることを意味しないように思われます。キロルは、自分の「優位性」を認めてもらえる相手として飼育員さんに期待しているわけです。ですから、ただひたすら「目の前」すなわち飼育員さんとエサだけを見ているわけです。

3月26日の「今日は仲良く」では、イコロとキロルが再び以前のように仲の良い姿で登場しています。しかし、この「仲の良さ」が今後も続くのか、それともキロルは何らかの形で自己の「優位性」を再確認する動きを見せるのか...実に興味深いです。やはりイコロとキロルには目が離せません。
by polarbearmaniac | 2010-03-29 13:00 | Polarbearology

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