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街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


by polarbearmaniac

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秋田県 「オスのシロクマ 購入のメドたたず」

本日(2010年4月12日)の秋田放送(TV)のニュースです。
>県が新たに購入する予定のオスのシロクマが成育不良のため、秋田に来るメドが立たないままとなっていることがわかりました。県は、去年東ヨーロッパの動物園からオスのシロクマ・ホッキョクグマを購入する契約を結んでいます。しかし県によりますと、購入予定のシロクマは成育が思うように進まず栄養剤を投与されながらほかのクマと隔離されていることがわかりました。このため、秋田に来るメドが立たないままとなっています。県は北海道の釧路市動物園からメス1頭を男鹿水族館に借り受けることが決まっています。その一方で、県が新たに購入するオスのシロクマは釧路市動物園に貸し出し、双方で繁殖を目指す予定でした。釧路市では「オスを借り受けできなくても種の保存のためメスを男鹿水族館に貸し出す方針に変わりはない」と話しているということです。県では、近いうちにあらためてオスのシロクマの最新の情報を入手したうえで今後の対応を検討することにしています。

先日、この秋田県が購入する予定であったことが確実と思われる個体の写真を御紹介しました。確かにこの写真を見ると、何か弱々しい感じがします。 これからの秋田県がどのような方針なのかがよくわかりません。あくまでも雄のホッキョクグマを入手しようとして、よもやモスクワやサンクトペテルブルクの動物園に接触を図って、両園に昨年暮れに誕生した赤ちゃんの入手を狙おうとすることはないだろうとは思います。 しかし仮にそういったことをやろうとすれば、日本の動物園におけるホッキョクグマの血統の多様性をはかることを目的として新しいペアリングの繁殖を計画し、その結果として俗に言う「ロシア系」(具体的にはアンデルマ/ウスラーダ系)の血を相対的に薄めようということが最終的な目的であった2月の複数動物園間の個体の大移動を行った日本の動物園関係者(ホッキョクグマ担当者)の神経を逆撫でする行為となるでしょう。

秋田県のこれからの方針と行動を、しかと注視していくことといたしましょう。


*(後記) 私はこの問題について以下のように背景を推理します。まず、動物商が秋田県に対して「成育不良」を理由にして雄の個体を送らないのは、この雄の個体について秋田県よりももっと高い値段で買おうという動物園が現れたからでしょう。その動物園に売るためには、まず秋田県との売買契約が破棄されねばなりません。それをしないで新たな動物園とまた契約を締結するとなれば、これは(日本の民法の用語を用いれば)「動産の二重譲渡」にあたることになりますね。動物商は、とにかく秋田県にこの雄の個体の購入を断念して欲しいわけです。そして、秋田県の側からの契約の解除の申し入れを受けたいわけです。そうしてもらうための理由が「生育不良」です。まあ、この確率は憶測ですが60%はあるでしょうね。

残りの40%は、やはり動物商の言う通り本当に「生育不良」が原因で日本に移動できないということです。この場合、たとえこの個体の体力が回復・増進したとしても日本への運送に非常にリスクが大きいです。秋田県が今回の売買契約において「所有権の移転」と「危険負担」との関係についてどの程度認識しているかわかりませんが、運送途上で死亡すれば大変なトラブルになる可能性があります。「危険負担」の問題は条件次第では、この契約がEx-Palic Zooであるか、FOBであるか、C&Fであるか、あるいはKushiro ZOO(or GAO)Doorであるかとは無関係な形で発生してくる可能性があります。 それから次に、契約の解除条項がどうなっているかでしょうね。渉外弁護士に相談しないと、トラブルになります。いずれにせよ、今回の雄の購入話は、これで事実上なくなったと考えるべきでしょう。

by polarbearmaniac | 2010-04-12 17:40 | Polarbearology

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