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街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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天王寺動物園・ゴーゴの悲しむべきニュース記事

天王寺動物園・ゴーゴの悲しむべきニュース記事_a0151913_14393224.jpg昨夜から大変気になるニュース記事が流れてきています。まずその記事(読売新聞共同通信)をご参照下さい。この2つの記事によれば、大阪・天王寺動物園のゴーゴが高所につり下げられた肉を取るのに、以前は「約2時間」(読売)、あるいは「数時間」(共同)かかっていたのが、この「技」により「5分弱」(読売)あるいは「数分」(共同)で取れるようになったと書かれています。これに対して、動物園関係者や専門家が、「大型肉食獣にこんな知恵があったとは」と驚いているという内容です。

私もこの記事を読んで大変驚きました。ただし私が驚いたのは「サルより賢い?」(読売)らしいゴーゴの「技」に関してではなく、「大型肉食獣にこんな知恵があったとは」と驚いている動物園関係者に対してです。これらの記事に書かれている内容が全て事実とすれば実に不可解です。 まず、本当にゴーゴは上に吊り下げられた肉を取るのに以前は「2時間」あるいは「数時間」にわたって「悪戦苦闘」していたのでしょうか? それほど長い時間にわたって動物園で飼育されている動物が、肉を取ることに集中し続けるということは、通常は考えにくいです。10~20分必死になってがんばっても取れないならば、動物園の動物は、通常は諦めますよ。しかし、もしこれが事実とすれば(諸情報によると事実のようですね)、以前にそのような長い時間(2時間or数時間!)にわたってゴーゴを「悪戦苦闘」させ続けていた動物園側の態度です。まことに非情極まりないですね、これは。 興味本位でこんなことを続けていたのでしょうか? そうだとすれば、これはsadism以外の何物でもないと考えられます。 本当にゴーゴが気の毒ですよ。 普通の神経だったら、ゴーゴが3~4回ジャンプしても取れなかったら、もうその段階で肉を下に落としてあげますよ。(まさか、「取れなかったらあげないよ」と言って結局はあげなかったことなどないでしょうね...?)

読売新聞の記事で名前が出ているカナダの専門家のイアン・スターリング氏は有名な方ですね。 私もこの方の著作を一冊持っています。 読売新聞に引用されているこの方の発言では、「長年シロクマの観察を続けているが野生でも道具を使っているような例は見たことがない。非常に興味深い事例」と言っています。逆に言えば、専門家であるイアン・スターリング氏すら予想もしていなかったような手段を講じざるを得ないまでにゴーゴは「追い込まれた」ということです。これを、「大型肉食獣にこんな知恵があったとは」などという皮相な感想を抱いてみせる動物園側の感性を疑わざるを得ません。

ゴーゴの「技」を今後の「見世物」にでもしようというのでしょうか? 見たい人間が多ければそうするでしょうね。こういうシーンを見て喜ぶ人間は多いですから。(こういうことを撮らせている「有名」動物園も動物園ですが。) 

Photo(C)天王寺動物園

*(後記) イアン・スターリング氏に関して言えば、おそらく、2時間(or数時間)も「悪戦苦闘」していた以前のゴーゴのことを知らずに読売新聞に対してこの「技」に対するコメントを行ったものと思います。 一方、動物園側は読売に対しては「2時間」、共同に対しては「数時間」と述べているので、この両社の記事にはそれらの時間が引用されているのでしょう。 要するに動物園側は「長~い時間」ということを言いたいのでしょう。そういう態度からして、sadisticな傾向をよく読み取れるように思います。 まあ、「動物園で野生動物を飼育すること自体がsadismなのだ」という議論を言ってしまえばそれまでですが。
by polarbearmaniac | 2010-04-16 17:00 | Polarbearology

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