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街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


by polarbearmaniac

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「ララ感謝イベント」(4月18日)に参加して

昨日の札幌・円山動物園での「ララ感謝イベント」に参加し、自分でも何か一つの大きな区切りのようなものを感じたように思いました。一昨年暮れの「性別騒動」からララの双子出産、双子の成長、そして北海道内の動物園におけるホッキョクグマの大異動...そういった、約1年半にも及ぶ北海道を主な舞台とした一連の出来事の区切りを実感しました。北海道という地域に限定されていたかのように思えたこのドラマでしたが、実は日本全体のホッキョクグマ界全体にとって新たなフェーズに入っていくことを意味するように思いました。

このドラマの中で目立たないような話であったものの、実は大きな意味を持っている話、それはイコロとキロルの海外(欧州)個体との交換交渉の不調の話でしょう(これに比べれば「性別取り違え」などはニュース性こそ非常にあったものの、今にして思えば後への影響は限定的でした)。感謝イベントでも飼育員さんが話していましたが、欧州では繁殖しなければペアリングを頻繁に交代させると言っていましたが、それは私が今回の件で調べた限りでもその通りですし、その具体例はこのブログでも微力ながら一部御紹介してきたつもりです。そうやって繁殖への努力を行っている欧州ですが、実は必ずしもその努力ほどの成果があがっていないことも、このブログで簡単ではあれ、御紹介してきたつもりです。しかし、必ずしも期待された成果をあげられずとも欧州が懸命に、そして時にはdrasticなやり方すら行ってホッキョクグマの繁殖に努力している姿勢を、私たちは大いに参考にすべきでしょう。日本ももっとこれを具体的に眼に見える形で、たとえ形だけであったにせよホッキョクグマ繁殖への真剣な姿勢を見せませんと、はっきり言って今後一切、日本は海外との繁殖協力関係を構築することが困難になるでしょう。 欧州の動物園では、「ホッキョクグマは動物園での飼育に適しているのか?」という問いすら通り越して、「野生動物を動物園で飼育させるのは正しいのか?」などというような動物園の存在意義そのものに対する真面目でradical(根源的)な問いかけが絶えず社会の側から突きつけられています。そのために、繁殖その他に対して緊張感を持って取り組む社会環境があるということです。この違いは大きいですね。

以前にも書きましたが、関東、東海もそうですが、特に中部以西の動物園は、JAZAのペアリング変更によるホッキョクグマ繁殖の指針が出たあとになっても、何故ちっとも動かないのでしょうか? とにかく具体的に外にわかる形で、ホッキョクグマ繁殖への姿勢をはっきりと見せていただきたいです。

私自身もこの冬、はるばる関東から寒くて雪の降りしきる北海道に毎週のように行って、繁殖のために移動するホッキョクグマのお別れ会やらなにやらに、北海道の動物(園)ファンの方々の中に混じって参加しました。サツキやイコロやキロルの旅立ちや、そしてそれに付随してピリカやデナリとのお別れを、大変悲しいと感じつつも繁殖という大義名分のために送り出すことに自らを納得させているファンの方々の様子を見て感慨深いものを感じました。やはりホッキョクグマに関しては、北海道のファンの意識は本州のファンの意識よりも現段階では数段高いですね。ララが生んできた子供たちとの出会いと別れを何度も経験しているためか、皆さんのホッキョクグマに対する深い理解と愛情は、本州に住んでいてホッキョクグマとみれば写真を撮ること以外に全く能のない私などから見れば、実にうらやましい限りです。

いろいろなことを考えるきっかけになった18日の札幌での「感謝イベント」でした。
「ララ感謝イベント」(4月18日)に参加して_a0151913_17271915.jpg
Photo(C) News Digital Media Pty Limited

*(後記)飼育員さんが「感謝イベント」でのお話しの中で、ピリカの繁殖についての関連で、「ピリカの世代でのホッキョクグマの繁殖は可能だが(つまり、パートナーはいるという意味でしょう)、その後の世代が問題だ」という趣旨の内容のことをおっしゃっていました。まったくその通りだと思いました。 ピリカの子供たちの世代になっての繁殖パートナーに大きな問題だ出てくることをちゃんと認識していらっしゃったのはさすがだと思いました。私も以前からこのブログで書いていますが、「アンデルマ/ウスラーダ系」がパートナーでは、やはり駄目なのです。 一方で飼育員さんは、今までの人工哺育で育てられた欧州のホッキョクグマの頭数について挙げられていましたが、あれはかなり違う数字じゃないかと思いました。あの時おっしゃられた頭数というのは、戦後欧州の動物園で戦後に自然繁殖に成功した頭数のことでしょう。人工哺育で成長後に繁殖行動を行った頭数もおっしゃっていましたが、あの数こそ今まで人工哺育で育った(成功した)ホッキョクグマの頭数のはずです。少なくとも私の調べた範囲内ではそうです。 まあ、人工哺育は当日のテーマではありませんでしたから、頭数がどうのこうのという話はあまり考えないようにしていましたし、多分飼育員さんの単純な言い間違えだと考えています。
by polarbearmaniac | 2010-04-19 17:20 | Polarbearology

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