街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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ロシア・ペルミ動物園で一般公開された生後3ヶ月のゴーゴ(現・天王寺動物園)の様子

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一般公開日5日前にペルミ地元TV局に公開された生後3ヶ月のゴーゴ   
Photo(C) Государственный интернет-канал "Россия"

最近、非常に貴重な報道の記録を見つけました。それは、前年2004年の暮れにロシア・ペルミ動物園で生まれたゴーゴ(ロシア名クライ)の翌年3月の一般公開開始の時期に報道された現地の2つの記事です。今回はそれを御紹介いたします(具体的には最後の「資料」のページをご参照下さい)。

2005年3月11日付けのロシア・ペルミの地方テレビ局のニュースサイト記事(Государственный интернет-канал "Россия")はペルミ動物園の広報担当者の言葉を以下のように伝えています。「ホッキョクグマの人工哺育というのはほとんど不可能なのです。なぜなら、赤ちゃんに与えるべきミルクを十分に見つけることができないからです。」 ペルミ動物園としては、よほどこの赤ちゃんの誕生と成長が嬉しかったのだと思います。こうやって3ヶ月にわたって母乳で赤ちゃんを育てているアンデルマに対する賞賛の気持ちでこう言っていると思われます。

前年2004年の12月3日にアンデルマとユーコンの間に生まれた赤ちゃんもすでに生後3ヶ月経ち、一般公開日を5日後に控えた赤ちゃんの取材が地元テレビ局によって行われました。取材陣の見ているところで産室を出てケージの中を元気よく動きまわったそうです。動物園としてはアンデルマは多分すでに24歳になっているはずであり、もう出産可能年齢をとうに過ぎているにもかかわらずこうして可愛らしい赤ちゃんを生んだことに対して驚いていたようです。アンデルマはそういったホッキョクグマ界の常識を打ち破ったのでした。 (*追記 - アンデルマの本当の生年については、彼女が1989年3月にノーヴァヤ・ゼムリャー島付近で2頭の子供とともに野生での捕獲となったために説が分かれるようです。1980年生まれという説と1983年生まれという説です。ペルミ動物園や地元テレビ局のこの記事は1980年説をとっていますね。そうするとこの赤ちゃんを生んだ時にはすでに24歳になっていることになります。しかし私はやはり1983年説のほうが正しいのではないかと思います。そうするとアンデルマのこの赤ちゃんの出産時点では22歳ということになります。)

ペルミの地元マスコミ(«Новый Регион – Пермь»)は、一般公開日の様子を伝えています。TV局の取材から5日たった3月16日の赤ちゃんの一般公開の日(平日だったようですね)、来園者の見ているところで産室を出て非常に大胆にケージ中を動き回ったようです。実はこの一般公開日の以前から、毎日夕方5時になると産室から外に出してもらっていたようで、たまたまそこに居合わせた人々の目にはすでに触れていたようです。この赤ちゃんはアンデルマがペルミ動物園出生んだ4頭目の赤ちゃんでした。アンデルマはレニングラード動物園、カザン動物園を経て1997年にペルミ動物園に移動してきましたが、その時に野生出身で1989年生まれ(推定)のユーコンとパートナーを組むこととなり、それからこれまで5頭の赤ちゃんを出産しましたが、今回の赤ちゃんがその5頭目になったわけでした。記事によれば、アンデルマのそれまで生きてきた波乱万丈の人生(熊生)は、「映画のストーリーになる価値がある ("достойна киноромана")」、と述べています。これこそがアンデルマがまさにホッキョクグマの「生きた伝説」となった理由なのです。

この赤ちゃん、記事によればまだ将来どこの動物園に移されるかなどについてはこの時点ではまったく決まっていなかったそうです。、しばらくの間は両親と一緒に暮らすと書かれています。 「一緒に」という意味は「このペルミで」という意味で、何も父親も母子と一緒にという意味ではないでしょう。

この赤ちゃん、その後ペルミで名前が公募され、「クライ」と命名されました。 このクライこそ現在、大阪の天王寺動物園で暮らしているゴーゴです。
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ペルミ動物園・ホッキョクグマ舎で寝室への入り口近くに立つアンデルマ
(Jul.27 2010 @ペルミ動物園)

*(資料)
Государственный интернет-канал "Россия" (Mar.11 2005)
«Новый Регион – Пермь» (Mar.16 2005)

*(追記1)このTV局の取材によるニュース映像があったようですが、現在はその映像を見ることができないのが本当に残念です。 ロシアのTV局は、ある一定期間が過ぎると映像はwebから削除し、切り出しの写真を掲載する傾向が強いですが、冒頭の写真も動画からの切り出しだと思われます。アメリカやヨーロッパのニュース映像は静止画も残さず一切が削除されてしまうのが多いのと対照的です。

*(追記2)コムソモリスカヤ・プラウダ紙の2008年11月12日付けの記事に、この時期のゴーゴの写真が掲載されていますので記録用にコピーしておきます。
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Photo: Комсомольская правда
(資料)Комсомольская правда (Nov.12 2008)
by polarbearmaniac | 2010-10-07 17:00 | Polarbearology

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