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街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


by polarbearmaniac

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動物園でホッキョクグマに襲われた人々(後) ~ アラスカの「英雄」ビンキー

動物園でホッキョクグマに襲われた人々(後) ~ アラスカの「英雄」ビンキー_a0151913_18115638.jpg
Photo (C) Erik Hill / Anchorage Daily News

前投稿よりの続き)
さて、次にこれも有名なのは1994年の7月にアメリカのアラスカ州のアンカレッジ動物園での出来事でした。ここで飼育されていた18歳になる雄の人気者のホッキョクグマ、ビンキーの写真を撮ろうとして檻に接近した29歳のオーストラリア人女性はカメラに夢中でビンキーの視界を失っていた瞬間、ビンキーは彼女の体を捕まえたまま離さなかったという事件でした。彼女は結局救出されましたが片足を骨折し噛傷もおったのでした。以下の映像は、たまたまそこにいた来園者が撮影したものを地元のTV局がニュースドキュメンタリーで紹介したものの一部のようです。この映像が全てを物語っています。これがホッキョクグマという動物の一つの真実の姿です。私たちは、こういう可愛らしいばかりではない彼らの姿も見ておかねばなりません。京都市動物園の今は亡きポールもこうやって飼育員さんを噛んだのでしょう。女性が救出されたあとの檻の中のビンキーのキョトンとした顔も印象的です。



 ビンキーはこの時の女性の靴を事件から3日間も離さなかったのでした。 この下の写真はそのビンキーの様子です。
動物園でホッキョクグマに襲われた人々(後) ~ アラスカの「英雄」ビンキー_a0151913_1801880.jpg
Photo(C) Screenshot from Animal Planet video

これはやはりこの女性に全面的な非がありますね。アンカレッジ動物園の園長さんは、「襲われた女性は実にお気の毒です。しかし非はこの女性にあります。」と言い切っています。

さて、このビンキーを愛していた地元アンカレッジの人々の反応です。この事件のニュースは早速地元アンカレッジだけでなく世界中に配信されました。その結果ですが、地元の人々はこの女性に同情する人はほとんどおらず、それどころか地元の英雄としてなんとビンキーを大いに称えたのです。この獰猛さ・勇猛さを称える声すらあがったほどでした。ビンキー株を上げたのでした。そしてビンキーのTシャツやらグッズが売り出されるようにすらなったわけでした。

ビンキーはこの翌年の1995年、地元の人々に惜しまれつつ病死しましたが、このビンキーのお別れ会の時には土砂降りの雨だったのもかかわらず多くの人々が出席し、ビンキーに名残りを惜しんだそうです。

アメリカ人のホッキョクグマ(その特定の個体)に対する愛着を「これでもか」というほど思い知らされる事件です。しかし、かつて同じようにアメリカの動物園で人間を襲った(反撃した)ホッキョクグマに対して警官が発砲して射殺したという事件もありますから、いろいろな面もあるということです。そういった事件はまた後日整理しておきたいと思います。

今回はこの程度にしておきます。

(*後記) 生前のビンキーの姿を鮮明に見ることのできる映像がその後アップされましたのでご紹介しておきます。 格子から首を出しているのがビンキーです。


*(資料)
Herald Journal (Jun.27 2000)
Lawrence Journal World (Jul.30 Sep.28 1994)
michaelhans.com (Remembering Binky)
by polarbearmaniac | 2010-10-27 01:00 | Polarbearology

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