街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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ドイツ・ノイミュンスター動物園のマイカ逝く ~ その数奇なる生涯の終焉

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Photo (C) Archiv/König, Kieler Nachrichten

ドイツ北部のノイミュンスター動物園(Tierpark-Neumünster)で飼育されていた27歳の雌のマイカ(Maika)が今月の12日に亡くなったそうです。彼女は長いこと腎臓を患っており、さらに昨年の12月に子宮の炎症の症状があったため手術を受けていました。関係者はすでに健康を害しているマイカについてこの手術自体を心配していたそうですが、その手術をなんとか乗り切ったわけでした。しかし彼女、やはり非常に体力を消耗してしまったわけで、飼育員から直接給餌を受けていました。1月中旬には幾分回復の兆しを見せたものの持病の腎臓病による機能障害とみられる原因により2月に入ってからは日に日に衰え、とうとう12日に亡くなってしまったということでした。ちなみにこのマイカ、仙台のポーラ、姫路のユキの伯母にあたります。

彼女は1983年に当時東ドイツ(DDR)のライプツィヒ動物園で生まれましたが、1歳たらずで東ドイツのサーカス団に送られました。このサーカス団で約10年間以上演技をした後で(旧東)ベルリンの動物公園を経て2004年からこのノイミュンスター動物園で飼育されていたわけです。以前このブログで何回はサーカスのホッキョクグマについて投稿しています。マイカの属していたサーカスは間違いなく「トスカ(クヌートの母)とサーカス団の悲しきホッキョクグマたち」(ご参照いただければ幸いです)という投稿で御紹介したことのあるウルズラ・ベットヒャー(Ursula Böttcher)女史の率いるサーカス団だったに相違ありません。再度このサーカス団のホッキョクグマのショーの様子をご覧いただくこととしましょう。



マイカもあのクヌートの母親のトスカと同じように、このようなショーに出演していたわけです。ロシアや、かつての東ドイツのサーカスショーに出演していたホッキョクグマは、よほどうまく演技に順応していた場合を除いて比較的数年の短期間でサーカスを「引退」させられてしまうわけですが、マイカはなかなか「優秀」な演技者(熊)であったようで10年間もサーカスショーを見事に務め上げたといえるでしょう。性格的にも温和でないとサーカスでは無理でしょうから、彼女もそういった性格だったと思われます。その彼女の終の棲家となったノイミュンスター動物園は、ドイツの動物園としてはホッキョクグマ舎が比較的貧弱なため新しい施設が建設されている最中であったわけですが、このマイカの病気とういう事情などもあって工事自体が遅延気味であるようです。ノイミュンスター動物園は例のあのクヌートに関する利益についてベルリン動物園と裁判で争った動物園であり、そのときの和解金を原資にしてこのホッキョクグマ舎の改修をしようとしていたわけですが、その新施設完成前にマイカは亡くなってしまいました。残されたのは雄のカップ(Kap)ですが、ノイミュンスター動物園としてはどうしても新しい施設でホッキョクグマの繁殖を成功させたいと願っているようです。

マイカ、長い間本当にご苦労様でした。謹んでご冥福を祈ります。

(資料)
Schleswig-Holsteinischer Zeitung (Dec 7 2010) (Feb.22 2011)
Kieler Nachrichten (Feb.21 2011)
(過去関連投稿)
トスカ(クヌートの母)とサーカス団の悲しきホッキョクグマたち
サーカス団のホッキョクグマ今昔物語
by polarbearmaniac | 2011-02-24 01:00 | Polarbearology

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