街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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ドイツ・ノイミュンスター動物園、悲願へのハードルの高さ ~ カップのパートナー探し難航

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カップ Photo: Ulf-Kersten Neelsen/ Lübecker Nachrichten

先日、北ドイツのノイミュンスター動物園でサーカス出身のホッキョクグマの雌のマイカが27歳で亡くなったことは御紹介しています。あとに残された雄のカップですが、ノイミュンスター動物園ではこの11歳になったカップのパートナー探しに大変真剣なようです。もう長い間この動物園の園長であるペーター・ドリューヴァ氏はなんとしてもノイミュンスター動物園でホッキョクグマの繁殖を成功させるのが悲願のようです。このロシア生まれのカップのパートナーについてEAZAに救いを求め、例のEEP(European Endangered Species Programme)によって雌のパートナーの紹介を願うのでした。ドリューヴァ園長の望みとしては、カップよりもやや年上の13~4歳の雌が理想的と考えているようですが、欧州においてもそもそも繁殖年齢の雌はいくつかの特定の動物園に腰を落ち着け、繁殖能力がすでに証明済みの雄と繁殖を狙うわけですから、このカップのような雄が一頭で飼育されている動物園に「出張」させることは非常に難しいことは予想がつきます。そういったドリューヴァ園長の繁殖への悲願を尻目にカップはプラスチックのおもちゃで遊んだり元気にプールで遊んでいるようです。繁殖年齢にある雄が1頭で飼育されている場合のパートナー探しが非常に困難なのはどこも同じです。ましてやその個体がタニマチの紐付きであったり、その地方の「スター」であればますますその移動が困難となるでしょう。カップはそういった個体ではないので、なんとか別の場所に移動してでも繁殖を試みることも視野に入れるべきとは思いますがパートナーがいればこそなので、現段階では移動すべき動物園があるようにも思えません。もともとこのミュンスター動物園に所有権のあるラルス(あのクヌートの父)が現在ではヴッパータール動物園でロストックからのヴィルマというパートナーを得ているのは、やはりラルスの繁殖能力が証明されており、年齢もカップより上ですから、これはしょうがないですね。

さて、このロシア生まれと言われるカップですが、手元にあるモスクワ動物園の繁殖記録(Polar Bear Husbandry at the Moscow Zoo )を参照してみましたら確かに彼と思われる個体の情報がありました。2000年10月16日生まれで母親はあのムルマお母さんですね。父親は名前が不明ですがカザン市動物園生まれで血統登録番号は0865となっています。この父親は1991年生まれであるにもかかわらず、なんと2002年2月9日に10歳ばかりで亡くなっています。惜しいことをしたものです。そのあとでムルマお母さんのパートナーとなったのがウムカであり、この新しいパートナーを相手にムルマお母さんは豪太(である可能性が非常に高い赤ちゃん)を生んだわけです。さて、問題のカップですが彼は双子で生まれていますが、1頭は2001年2月10日、すなわち生後4カ月ほどで亡くなっています。もう1頭の生き残りがこのカップで、2001年11月8日にドイツのカールスルーエ動物園に移動になっています。このカップ、年齢から言っても本来は欧州で繁殖を担う雄であってしかるべきですね。実に惜しいと思います。

(*後記)その後モスクワ動物園の別資料から、このカップの父親(血統登録番号は0865)はウォルド(Уолд)という名前であることが判明しました。

(資料)
Lübecker Nachrichten (Mar.23 2011)
Polar Bear Husbandry at the Moscow Zoo (by I.V. Yegorov and Y.S. Davydov)
(過去関連投稿)
ドイツ・ノイミュンスター動物園のマイカ逝く ~ その数奇なる生涯の終焉
by polarbearmaniac | 2011-03-25 09:00 | Polarbearology

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