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街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


by polarbearmaniac

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クヌートの死因、脳脊髄液腔(Hirnwasserkammer)の異常とライプニッツ研究所が明らかにする

ドイツのDie Welt紙の30日付けの報道によりますと、クヌートの検死解剖を行ったベルリンのライプニッツ研究所はドイツの通信社であるDPAの取材に対しクヌートの死因は脳脊髄液腔(Hirnwasserkammer)の異常によるものだと語ったそうです。つまり脳漿の肥大ということですね。ですので精神的ストレスや遺伝的な要因(これはおおむね事実上癲癇説のことを指しているのでしょう)が死因ではないとも述べているそうです。この脳漿の肥大ですが、人間の場合ですと以下のようなことが症状として起きるようです。以下はWikipediaよりの引用です。

>脳脊髄液の異常として臨床で最初に見つかるのは、頭蓋内圧の上昇である。決まった体積しか入らない頭蓋内に、ないはずのものが新たに加わると、脳脊髄液に高い圧力がかかり、同時に脳の実質も圧迫されて、頭痛、嘔吐、痙攣、徐脈、精神症状、視神経乳頭の浮腫・鬱血、外転神経の麻痺などの所見を呈する。頭蓋内の脳脊髄液にかかった圧力(脳実質にも同じ圧力がかかる)を頭蓋内圧または脳圧と言い、脳圧が上がることを脳圧亢進などと言う。正常の脳圧は60〜150 mmH2O程度(1 mmH2Oはおおむね1 kg/m2程度)だが、200 mmH2O程度、あるいはそれ以上に上がることがある

ここでいうところに「痙攣」というものがあのクヌートの足の痙攣を意味しているということでしょう。あくまでもこれは人間の症状ですので、ホッキョクグマもそうであるかどうかの100%の確証はありません。ただし癲癇とは似た症状を引き起こすようですが、癲癇のような脳疾患から突発的に生じる精神・神経の一時的障害とは異なるということになります。癲癇説はほぼ否定されたと解するべきでしょう。

また本日30日、ベルリン動物園のスポークスマンがドイツ通信社に語ったところによりますと、明日31日の記者会見は行わないそうですので、ベルリン動物園としてのクヌートの死因の正式発表はさらにずれ込むものと思われます。
 
(*後記1 Mar.30 夜)focus on lineの報道によりますと、ベルリン動物園の記者会見は木曜日の昼に行われると言っています。

(*後記2 Mar.31 夜)すでに水曜日の夜にライプニッツ研究所は報告書をベルリン動物園に渡したそうです。いつどうやってそれを発表するかはベルリン動物園のブラスキエヴィッツ園長の決断次第のようです。やはり金曜日となりそうな気配です。ドイツのマスコミは31日夕方からぞくぞくとこのライプニッツ研究所の「脳脊髄液腔(Hirnwasserkammer)の異常・肥大」が死因だというコメントについて報道しています。ベルリン動物園の正式発表はまだですが結論としては動かないような気がします。ベルリン動物園としてはやや胸をなでおろす内容ではないでしょうか。なぜかと言えば、この結論ですとベルリン動物園に責任が無いことを意味すると思われるからです。というのも、ナンシー、カチューシャ、トスカの雌3頭の「虐め」によるストレスということが死因とは無関係ということになるからです。また、「溺死」という死因も「死の引き金」としての意味では否定されることから、水に落ちようが落ちまいがクヌートは助からなかったのだということになるからです。


(資料)
Die Welt(Mar.30 2011)
Dapd (Mar. 30 2011)
(追加資料)
focus on line (Mar.30 2011)
dpad (Mar.31 2011)
Die Welt (Mar.31 2011 - Warum Eisbär Knut keine Überlebenschance hatte)
by polarbearmaniac | 2011-03-31 01:01 | Polarbearology

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