街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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ロシア・ウドムルト共和国のイジェフスク動物園 ~ 「さすらいのホッキョクグマ」ピムの安住の地となるか

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イジェフスク動物園 Photo(C)Ижевский зоопарк

a0151913_215148.jpgロシア連邦のウラル地方に位置するウドムルト共和国の中心都市であるイジェフスクに動物園の複合施設のひとつが完成したのは2008年8月のことでした。これ以降この施設にはロシアの他の動物園から展示動物が運ばれてきましたが、第一陣としてはホッキョクグマも含めて50頭の動物が搬入されました。それから続々動物の搬入が行われ、翌年の初めには3倍の数の頭数まで増えたのでした。
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この第一陣としてモスクワ動物園から到着したホッキョクグマ2頭が、雄のノルドと雌のドゥムカでした。(引き続いて2009年の2月にカザン動物園から移送されてきたのが2007年暮れの生まれの雌のウルマです。ウルマについてはこちらをご覧下さい。)

さて、一昨日実に奇妙なニュースがロシアの「論拠と事実(Аргументы и Факты)」紙のウドムルト地方版に現れました。それは、カザン市動物園からピリグリム(Пилигрим)という雄の個体がこのイジェフスク動物園に到着し、現在は検疫中とのニュースです。そしてこの個体は親から別れたストレスを非常に早く克服したと言っています。
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ピム(ピリグリム)Photo (C) Аргументы и Факты

さて、私が調べた限りではカザン市動物園にはピリグリムという個体など飼育されておらず、実に奇妙な個体が突如出現したものです。カザン市動物園には2009年暮れに誕生したピムという雄の個体があり、それがカザン市動物園からノヴォシビルスク動物園を経てモスクワ動物園に送られていたことは昨年暮れの、 「モスクワ動物園、ロシア国内の幼少ホッキョクグマの売却一元管理を開始か?」という投稿でご紹介しています。そしてさらにピムであろう個体が韓国・ソウル動物園に送られることになったことは「韓国・ソウル動物園がモスクワ動物園よりホッキョクグマ2頭を入手! ~ モスクワ動物園の個体選択」でご紹介しています。今回このイジェフスク動物園に突如到着したピリグリムという名前の個体は「論拠と事実(Аргументы и Факты)」紙のウドムルト地方版で報道されている情報を読む限り、このピリグリムとピムは同一の個体であると考えざるをえません。ピムがピリグリムの愛称の短縮形であるとも考えられますが、しかしこのピムという名前はカザンで公募で決まった名前ですので、短縮形とは考えにくいですね。するともう一つの考えとしては、「ピリグリム(Пилигрим/Pilgrim)」というのは「巡礼、放浪」という意味にひっかけて使用されていると考えるべきでしょうか。 すなわち、カザン → ノヴォシビルスク → モスクワ → イジェフスクと、まだ幼いにもかかわらず安住の地のない移動をされてきたピムを「ピリグリム」と呼んだのだと考えるべきでしょうか。現時点ではそれが最も妥当な解釈だと思われます。

さて、そうなりますとモスクワ動物園から韓国・ソウル動物園に送られる(送られた?)雄の個体はいったいどの個体なのでしょうか? シモーナお母さんの娘とペアを組むわけですから、すでにソウル動物園で飼育されているサムソンは不適格です、なぜなら、サムソンはシモーナの弟ですのでシモーナの娘とのペアは近親交配になってしまいます。「アンデルマ/ウスラーダ系」ではない雄の幼年個体というのは、現在ロシアの動物園では見出しがたいわけです。

ロシア、特にモスクワ動物園とカザン市動物園が関係してくると個体情報が非常に不透明になってくるのです。たとえば、実は2009年2月にやはりカザン市動物園からこのイジェフスク動物園に移動となった雌のウルマですが、彼女はどこに行ったのでしょうか? 現在イジェフスク動物園には雄のノルドと雌のドゥムカが将来の繁殖ペアとして飼育されていますが、ウルマが現在でも飼育されている気配はありません。ウルマは中国にでも送られたのでしょうか? 韓国、中国、(そして時として日本)がこのモスクワ動物園の個体と関わりを持つとき、個体情報は闇の中に包まれてしまうわけです。(これについては近日中にその具体例を挙げてみたいと思います。ともかく、今回のピム(ピリグリム)はイジェフクスが安住の地になってほしいものです。2歳程度の個体がこれほど移動に移動を繰り返されるのは本当に可哀想です。

私は2~3ヶ月以内に再びソウルに行き、果たしてモスクワ動物園からどんな個体が送られてきているのかを見極めたいと考えています。北京にも早く行ってモスクワ動物園から移動してきた個体に会いたい思っているのですが、時間がうまくとれません。しかし、夏までにはなんとしても行くつもりです。

以下はこのイジェフスク動物園のホッキョクグマ舎の様子です。新しくできた動物園ですので、飼育場は実に広そうです。




(資料)
Проект «Сусанин» (Sep.9 2008) (Feb.24 2009)
Аргументы и Факты (Apr.5 2011)
Известия Удмуртской Республики (Apr.5 2011)
(過去関連投稿)
円山ツインズの将来-交換個体候補予想 ロシア編(1)
ロシア・カザン市動物園でホッキョクグマの赤ちゃん誕生!!
ロシア・カザン市動物園で生まれた赤ちゃん(続報)動画公開!
モスクワ動物園、ロシア国内の幼少ホッキョクグマの売却一元管理を開始か?
韓国・ソウル動物園がモスクワ動物園よりホッキョクグマ2頭を入手! ~ モスクワ動物園の個体選択
by polarbearmaniac | 2011-04-07 21:00 | Polarbearology

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