街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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ロシア・西シベリア、セヴェルスク動物園で暮らすウドの避暑 ~ 新動物園計画への子供たちの夢

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ウド Photo(C)РИА Новости Карина Сапунова

世界で最も訪問が難しいホッキョクグマが飼育されている動物園はどこかと考えてみましたら、間違いなくその筆頭の一つはロシア・西シベリアのセヴェルスク動物園でありましょう。 この動物園は西シベリアの都市であるオムスクの近郊にあるセヴェルスクという都市の動物園です。 このセヴェルスクはソ連時代にはプルトニウムを生産するための原子炉があり、発生した使用済み核燃料を再処理して核弾頭が生産されていた都市であり、当時は「秘密都市」だったわけです。 現在も高濃縮ウランとプルトニウムを生産する軍事工場が存在しており、依然として「閉鎖都市」として存在しており、一般人が許可なくこのセヴェルスクを訪問することは不可能だそうです。
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こういった「閉鎖都市」にある動物園で暮らすホッキョクグマに実際に会うとなると、これは実に大変です。 どれほど行きにくい場所にあっても所詮は日本語が通じる日本国内の動物園とは到底比較になりません。 ロシア・シベリアの地方都市、しかも「閉鎖都市」ともなれば訪問の困難さは言わずと知れた話です。 私はこのセヴェルスクを訪問するための許可書発行要件というものを調べてみましたが、一般的には動物園のみ訪れるという条件で子供たちをグループで集め、そのグループを引率する形をとって訪問の10日前までにトムスクの所定の機関に旅券と共に「訪問許可書」を申請しなければいけないそうです。 申請中は手元には旅券がないわけですから、トムスクから動けません。 なぜならロシア国内の移動にも旅券所持が必要だからです。 さて、ロシア人の子供たちをかき集めてなんとか許可書の発行を受けても、今度は彼らを引率しマイクロバスをチャーターして私が運転して...ということになりますね。 これまた容易な話ではありません。 別の許可書申請手段があるかもしれませんが、多分それもかなり複雑な許可申請手続きが必要でしょう。 「ロシアの行政書士」に許可申請書作成を依頼することとなると思いますが、このセヴェルスクという都市の性格上、外国人の訪問申請は困難を極めそうです。 しかも日本では重大な原発事故を起こしていますから日本人である私に許可書が出るかどうかは非常に悲観的なようにも思います。 しかし、こういったものを突破してまでシベリアの秘境都市に住むたった一頭のホッキョクグマに会いに行く、これこそが正真正銘のホッキョクグママニアでしょう。私も是非そうありたいものです。
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セヴェルスク動物園 Photo(C)Евгения Швецова/Томский Обзор

というわけで、このセヴェルスク動物園で一頭で暮らしているホッキョクグマのウドについてもマスコミの報道から得られる情報は非常に少ないわけですが過去に二回ほど、このウドについて投稿しています(過去関連投稿参照)。 このウドの写真というのは非常に少ないわけですし、ましてや映像ともなれば今までネットには出たことがなかったわけですが、今回実に興味深い映像を見つけましたので御紹介しておきます。 それは車でこのセヴェルスク動物園を訪問する映像であり、この「閉鎖都市」であるセヴェルスクの入口の検問所を通過して動物園に至る道程が映されています。 「幻のホッキョクグマのウド」は開始後1分7秒の付近で登場します。実に貴重な映像だと思います。

Contest "I Love Snowboarding" Seversk 19.02.11 Part 1[ZOO and qualification] from astorm on Vimeo.

(*追記 - 本日21日になってロシア第一TV がこのセヴェルスク動物園のウドが飼育員さんに水をかけてもらっているニュース映像をネット上に公開しましたのでご紹介しておきます。 ここをクリックして下さい。
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Image(C)Государственная телерадиокомпания «Томск»,

このセヴェルスク動物園では一時は動物たちへの飼料も十分には手当できないことがあり、またスタッフの給与も滞りがちという惨状であったことも以前の投稿でご紹介していますが、最近は少し明るい話も出ているようです。 シベリアは我々がシベリアと聞くと想像するような寒さとは正反対に夏はかなり暑くなるわけで、冒頭の写真のようにホッキョクグマのウドもホースで体に水をかけてもらうなど、スタッフも彼には気を遣っているようですね。 このセヴェルスク動物園には新しい動物園の建設計画が持ち上がっているそうです。 このセヴェルスクに住む子供たちがノヴォシビルスク動物園をグループで訪れてその大きさに驚き、セヴェルスクに戻ってからは子供たちそれぞれが「新セヴェルスク動物園」への夢を絵に描いたりしているそうで、セヴェルスク動物園ではそういった絵を園内に展示して新しい動物園への期待を盛り上げようとしているようです。
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当局者も新セヴェルスク動物園は広くて訪問者が楽しめるような娯楽性を動物園に持ち込もうとしているようです。 計画の基本案は年内に決まる模様です。 しかし紆余曲折はあるでしょうけれどなんとか新動物園を早く実現してもらいたいところです。 ホッキョクグマのウドももっと広い場所で暮らせる日は早く来てほしいと思います。

(資料)
РИА Новости Томск (Jul.14 2012 - Медведи северского зоопарка стали чаще принимать душ из-за жары)
Северский зоопарк (Дети нарисовали «Новый северский зоопарк»)
Ru09.ru (Jan.22 2010 - Прогулка по северскому зоопарку)
Obzor.westsib.ru (Aug.18 2012 - Зоопарки России-3. Северский зоопарк)
«Городской портал «В Томске» (Jun.7 2012 - Северский зоопарк выйдет за «колючку»)
Комсомольская Правда – Томск (Jan.31 2006 - В Северском зоопарке звери голодают)
Новости. Городской портал «В Томске» (Feb.4 2010 - В северском зоопарке опровергают информацию об отстреле животных)
Государственная телерадиокомпания «Томск», (Jul.20 2012 - Сотрудники северского зоопарка спасают от жары белых медведей)

(過去関連投稿)
ロシア・セヴェルスク動物園で空腹に悩むホッキョクグマ ~ 地方小都市動物園の窮状
ロシア・西シベリア、セヴェルスク動物園のウドに差し入れによるご馳走のプレゼント
by polarbearmaniac | 2012-07-20 17:00 | Polarbearology

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