街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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中国・浙江省杭州市の極地海洋公園のハイブリッド ~ 奇々怪々とした中国民間施設でのハイブリッドの存在

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宝宝  Photo(C)中新網/極地海洋公園

さて、たかが大連に行ってハイブリッドを見た程度でそれをどうこう講釈しようなどという私を嘲笑するが如く、中国の別の民間商業施設に何頭もハイブリッドが存在している事実をここでご紹介せざるを得ません。 大連、天津、烟台...それから以前ご紹介している南昌、それだけではないということです。 今回ご紹介するのは杭州市の極地海洋公園で飼育されているハイブリッドです。 しかしこの施設のハイブリッドの実態はよくわかりません。 まず時計の針を2008年の11月に戻すことからはじめてみましょう。

この杭州市の極地海洋公園に近代的なホッキョクグマ展示場が完成したのは2008年の10月だったようです。 報道が正しければこの時点ですでにこの極地海洋公園には4頭のホッキョクグマが飼育されていたようです。 このうち少なくとも1頭は雌のホッキョクグマだったようです。 この雌のホッキョクグマは2000年にこの施設に来たようですね。 そして2008年の11月に冒頭の写真である雌の宝宝が欧州からやってきたことを報道は伝えています。 この宝宝は12万ユーロ(当時の日本円の換算では約1400万円)でこの施設が購入したそうです。 ハイブリッドにしては随分高価だと思いますが、報道では雌のホッキョクグマを入手することが非常に難しいから高価なのもしょうがないのだというニュアンスで報じています。 この2008年11月の時点でこの施設には合計5頭のホッキョクグマを飼育することになったはずですし報道記事も5頭と記述しています。冒頭の写真の宝宝がハイブリッドかどうかですが、私にはハイブリッドに見えますが100%断言はできません。 この宝宝がどこから来たかですが、やはりセルビアのベオグラード動物園の可能性が極めて大でしょう。

次にこの施設のホッキョクグマについて報じられたのは2010年12月のことでした。 1歳の雄のホッキョクグマがセルビアからこの施設に来たと報じています。名前はなんとバベ(贝贝)です。 つまりこのバベは私が2011年の4月に「秋田県が購入断念の『幻の東欧の個体』、突然中国にその姿を現す!」及び、「中国に突然現れた『幻の東欧の個体 』はヒグマとの混血か? ~ 深まる謎」 で投稿した中国・江西省、南昌市の南昌海洋公園に突如現れた、やはりバべ(贝贝)という名前の個体と同一個体に違いありません。 つまりこのバべは2010年12月にセルビアから一度この杭州市の極地海洋公園に到着し、その後4か月ほどして江西省・南昌市の南昌海洋公園に移動したということになります。このバべがセルビアから杭州市の極地海洋公園に到着したときの写真を下にご紹介しておきます。
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バベ(贝贝) Photo(C)杭州極地海洋公園

このバベがハイブリッドであることは間違いありません。 このバベはやはりベオグラード動物園から来たことになりますが、では2008年11月にこの施設に来た宝宝と両親が同じであるかどうかは微妙です。 少なくとも私は片親は違うと予想します。 何故なら宝宝とバベとではホッキョクグマ以外の血の濃淡にかなりの差があるように思うからです。 私が「ホッキョクグマの雑種(Ursid hybrid)を考える(2) ~ セルビア ・ ベオグラード動物園を覆う深い謎」で予想したように、ベオグラード動物園にはハイブリッドの雄のパートナーとして雄と同じハイブリッドの雌一頭と、ハイブリッドであったとしてもホッキョクグマ以外の血が比較的少ないホッキョクグマの雌一頭、合計2頭の繁殖可能な雌がいる可能性が大きいように思われます。

次に2010年5月にこの施設のホッキョクグマが紹介されていますが、それが下の写真です。
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Photo(C)钱江晚报

これもやはりハイブリッドです。 この上の写真は宝宝と同一の個体でしょうか? ちょっとわかりません。 バペに似ているような気もしますが、しかしこの写真が撮られた時期には南昌市の南昌海洋公園に移動していたはずですから、バベとは言えないと考えるべきでしょう。

そして一昨日2012年7月25日付けの報道で再びこの杭州市の極地海洋公園のホッキョクグマが紹介されています。それが以下の写真です。
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Photo(C)杭州網

この上の3枚の写真の個体は2010年にロシアから来たという現在3歳の雌のホッキョクグマだそうです。これも写真で見る限りは間違いなくハイブリッドです。しかし彼女がロシアから来たというのは事実に反するでしょう。やはり彼女もセルビアのベオグラード動物園から来たと考えるのが筋が通っています。 いったい現在この施設には何頭のホッキョクグマがいるのでしょうか? さっぱりわかりません。要するにこの施設で飼育されているホッキョクグマで2008年以降にやってきたホッキョクグマは全てがハイブリッドと考えてよいと思われます。以下にいくつかこの施設で撮られたホッキョクグマの映像をご紹介しておきます。まずこの下の2つはハイブリッドですね(最初にCMが入る場合があります。また、夜の時間帯は映像がうまく load されない場合があります。)。




しかし以下の映像に写っている個体はハイブリッドではない普通のホッキョクグマのように見えます。



さらにこの下の映像は撮影者はバベの映像だとキャプションを入れていますが、私には普通のホッキョクグマのようにも見えます。ですからバベの映像だとは言えないようにも思いますがどうでしょうか。



中国、特にこの施設のように民間の営利施設のホッキョクグマの動きには不明な点が多すぎます。 たとえ現地に出向いても飼育されている個体が全てそこで展示されていればある程度の推理を働かせることは可能です。 しかし仮にバックヤードで飼育されているような場合はお手上げです。係員に聞いてもまず正確なことは言わないでしょう。 しかしそうはいってもやはり現地に一度は出向かなければいけないと思います。 この中国におけるホッキョクグマのハイブリッドの存在の詳細について調べたホッキョクグマファンは多分いないでしょう。 しかし私はやはり真相を追及してみたい気がします。

(*後記 - 本件については後日投稿している「セルビア・ベオグラード動物園のハイブリッドの正体 ~ “Polar Bear/Kodiak Bear Hybrid”」をご参照下さい。)

(資料)
钱江晚报 (Jul.25 2012)
杭州网 (Jul.25 2012)
中新網 (Nov.11 2008)
钱江晚报 (May.4 2012)
杭州極地海洋公園 (報道 Dec.25 2010)

(過去関連投稿)
秋田県が購入断念の「幻の東欧の個体」、突然中国にその姿を現す!
中国に突然現れた「幻の東欧の個体」はヒグマとの混血か? ~ 深まる謎
ホッキョクグマの雑種(Ursid hybrid)を考える(2) ~ セルビア ・ ベオグラード動物園を覆う深い謎
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中国・烟台市の蓬莱海洋極地世界の赤ちゃん元元が公開へ ~ 中国で増加するハイブリッド展示上の問題点
by polarbearmaniac | 2012-07-27 01:00 | Polarbearology

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