街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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ロシアにおけるホッキョクグマの密猟について

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ホッキョクグマの毛皮敷物 (60万ルーブル/約150万円) Photo : N.N.

ロシアでホッキョクグマの狩猟が禁止されたのはソ連時代の1956年のことですが、2007年に一部チェクチ半島の原住民に狩猟枠を与えはしたものの、2011年には再び全面禁止としています。 これについては以前の投稿である「ロシア、ホッキョクグマ狩猟割当数を放棄 ~ 全面禁猟へ踏み出す」をご参照ください。 とはいっても、相変わらず違法なホッキョクグマ狩猟が後を絶たないようです。 ロシア政府によれば年間100頭ものホッキョクグマがこうして犠牲になっているそうです。 しかし過去に2件しか捜査が行われなかったとのこと。違法な狩猟がなされている地域が自然環境の厳しい極北地方であるだけに、そういったものに対する当局の取り締まりは困難を極めるケースがほとんどのようです。 違法なホッキョクグマ狩猟が行われる目的は毛皮の売買であることから、当局はなんとかこの毛皮売買にメスを入れようとしています。 また、WWFロシア支部もホッキョクグマの密漁情報をもたらせてくれた人には千ドルの謝礼金を支払って、なんとかホッキョクグマの密猟を防ごうとしています。
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おもしろいニュースが6月に報道されていました。 シベリアのヤマル半島でホッキョクグマの毛皮の購入をもちかけてきた男に対して毛皮密売人は35万ルーブル(約90万円)でホッキョクグマの毛皮を売ったわけでした。ところがこの毛皮を買った男は当局の密売取締官であり、現金の受け渡しがなされた瞬間に密売人は逮捕されてしまったわけです。 いわゆる「おとり捜査」というやつです。 当局はこの密売人の倉庫を家宅捜査したところ2枚のホッキョクグマの毛皮とチョウザメが見つかったということで、これらはすべてロシアではレッドリストに分類されているものです。

イズベスチア紙の記者はそういったホッキョクグマの毛皮密売人を訪ねてインタビューを試みました。 この密売人はロシアのホッキョクグマの毛皮だけでなくカナダのホッキョクグマの毛皮も売買しているそうです。 ネットのオークションで入手したものだそうですが、こういったホッキョクグマの毛皮の相場は「カナダ産」で130万ルーブル(約320万円)で「ロシア産」は25万から32万ルーブルと価格的にはかなりの差があるものの品質的には変わらないとのこと(それはそうでしょう)。 冒頭の写真は「頭部付き」なので60万ルーブルと高くなっているようです。 許可書も3万ルーブル払えば入手可能だそうで、何事にもいい加減なロシアらしい話です。 そして、こうした毛皮を買いたがる人々がいる限り密売人の存在は後を絶たないのは実に困ったことです。
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Photo(C)photopolygon.com

 (資料)
Известия (Jun.16 2012 - В России процветает черный рынок белых медведей)
Регион89.рф - региональный информационный портал (Jun.13 2012 - Ямальские полицейские купили шкуру белого медведя)
New York Times (Apr.16 2007 - Russia Tries to Save Polar Bears With Legal Hunt)
The Daily Telegraph (Mar.18 2011 - Russia lifts ban on polar bear hunting)
smh.com.au (Apr.15 2011 - Russia 'will not lift' polar bear hunting ban)
photopolygon.com (Mar.16 2011 - "Не стреляй!" )
WWF (WWF Russia announces anti-polar bear poaching award)

(過去関連投稿)
ロシアのプーチン首相、ホッキョクグマ保護への施策推進の支持を発表
ロシア・プーチン首相のホッキョクグマ保護政策の後ろにあるもの
ロシア、ホッキョクグマ狩猟割当数を放棄 ~ 全面禁猟へ踏み出す
by polarbearmaniac | 2012-09-10 23:00 | Polarbearology

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