街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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デンマーク・オールボー動物園の異母兄弟ミラクとアウゴの同居 ~ 果敢な試みは大成功となる

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アウゴとミラク  Photo(C)Aalborg Zoo

デンマークのオールボー動物園にはヴィクトリア/ミラク(2008年12月生まれ)、及びマリク/アウゴ(2010年11月生まれ) の二組の親子(母息子)が飼育されています。 私が昨年7月にオールボー動物園を訪問した時にはこの二組の親子は地面に目立たない仕切りのようなもので分けて飼育されていました。 この仕切りのようなものがどういう仕掛けであったのか未だに私ははっきりとはわからないのですが(写真は以前の投稿で掲載しています)、しかし互いに相手方が良く見えたわけで、実質上は二組が同居しているように見えたものでした。

さて、今年の4月にちょっとした事件があったそうです。 それは、三歳半になるミラクが母親のヴィクトリアから急に敵対的な態度をとられてしまったということです。 ミラクはもう三歳半になっている雄ですのでヴィクトリアお母さんももう彼のことを息子扱いしたくなかったのかもしれません。 また、ヴィクトリアお母さんに発情期の徴候があったのかもしれません。 いずれにせよ、こういう事態にオールボー動物園としてはミラクを母親ヴィクトリアから引き離すことにしたのですが問題は飼育スペースです。 飼育展示場の片側は一歳半になるアウゴとマリクお母さんが暮らしているわけですが、いったいどうしたらよいでしょうか? 飼育員さんが思い切ってミラクをマリクとアウゴの親子を同居させてみることにしたわけでした。 ちなみにミラクとアウゴは腹違いの兄弟であり父親は共にドイツ・ニュルンベルク動物園のフェリックスです。 ホッキョクグマの場合、兄弟かどうかなどは同居の成否には無関係です。ですからこれは非常に危険な同居となる可能性があったわけです。 マリクお母さんにしてみれば自分が子育てしている空間に3歳半とはいえ別の雄が入ってくるわけですからこれは大変です。

さて、こうして3歳半のミラクは1歳半のアウゴ、そしてその母親マリクとの3頭同居が開始となりました。 ところが心配していたようなことは起こらず、ミラクとアウゴは仲良く遊び始めたということです。 この2頭はこうしてお互いに良い遊び相手となったのだそうです。 ミラクはアウゴの母親であるマリクの立場も尊重する様子さえあったようです。 同居は大成功だったわけでした。 こういった一連の経緯を説明する飼育員さんの話のあと、56秒あたりからミラクとアウゴが一緒に遊ぶ姿を下の映像で見ることができます。



こういった類似のケースは最近オランダ・レネンのアウヴェハンス動物園でも2組の親子、合計6頭を同居させるというやり方をやっていることはすでに「オランダ・レネン、アウヴェハンス動物園での三世代同居の試み」という投稿でご紹介しています。 アウヴェハンス動物園の場合は2頭の母親自体も母娘ですので三世代同居ということになるなど、もっと徹底した同居となっています。 またすでにこのオールボー動物園でも以前、ヴィクトリアお母さんが息子のミラクの子育て中に、そのスペースにマリクを同居させたことがありました。 その時の興味深い営巣は「ホッキョクグマ母子の空間に他の雌を入れたらどうなるか? ~ デンマーク・オールボー動物園での実例」という投稿でご紹介したことがありました。

こうした同居は飼育スペースをやりくりしようという考えが発端で開始されたわけですが、飼育下のホッキョクグマの行動を観察するうえで実に興味深いものだと思います。 こうした思い切ったことを行うのもデンマークやオランダの動物園によく見られる傾向です。 日本ならば、あれこれと意見が出てくるでしょう。 しかしこうしていろいろと試してみることは悪いことではありませんし、むしろ機をとらえて試みる勇気も必要でしょう。

(資料)
Aalborg Zoo (News May.21 2012 - Augo og Milak er blevet legekammerater)

(過去関連投稿)
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オランダ・レネン、アウヴェハンス動物園での三世代同居の試み
by polarbearmaniac | 2012-09-11 19:30 | Polarbearology

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