街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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理性のウスラーダと情愛のシモーナ ~ 偉大なるホッキョクグマ母娘の性格の違い

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ウスラーダ (2012年9月17日撮影 於 サンクトペテルブルク・レニングラード動物園)
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シモーナ (2012年9月20日撮影 於 モスクワ動物園)

今回の旅行の目的はウスラーダ(すでに15頭出産)とシモーナ(すでに13頭出産)という現在ロシアの誇る2頭の名ホッキョクグマ母娘が子供たちにどう接しているかをじっくりと観察することが目的だったわけですが、レニングラード動物園3日間、モスクワ動物園4日間と開園からほぼ閉園まで、じっくりと時間をとれたことにより目的はほぼ達成されたと考えています。

このウスラーダ(現レニングラード動物園/1987年 カザン市動物園生まれ)とシモーナ(現モスクワ動物園/1994年 レニングラード動物園生まれ)は現在のロシアを代表するホッキョクグマ母娘であり、同時に日本との関係も非常に深いホッキョクグマです(今更ここで繰り返しません)。 しかしこの母娘が子供たちへのアプローチは正反対なものと言ってよいように思います。 それはさしずめ、理性のウスラーダ、情愛のシモーナと呼んで差支えないでしょう。 つまり理性のホッキョクグマ・ウスラーダから生まれた長女シモーナは、いざ自分が母親になった時にはウスラーダと正反対のアプローチで子供たちに接しているということになります。 というよりも、シモーナは母親ウスラーダとは全く異なる性格を持っていると考えた方が正確でしょう。 母親が子供に接する態度はその母親の性格が大きく影響しているであろうことは容易に想像がつくわけで、そういった意味ではこのウスラーダとシモーナの母娘は正反対の性格を持っていると思われます。

ウスラーダ (2012年9月17日撮影)

シモーナ (2012年9月21日撮影)

さて、ではこのウスラーダをカザン市動物園で生み育てた往年の名ホッキョクグマであったディクサ (1973~2006) がどのような性格を持ちどのように子供たちに接していたかについては全く資料がありませんので何とも言えません。 このディクサの姿は以前私がカザン市動物園を訪問した際に同動物園に展示してあった写真を撮影していますのでこちらをご参照下さい。 さて、ではこのディクサの性格を推し量ってみるとすれば娘であるウスラーダ以外の子供の性格を探っていくことで何かのヒントが得られるかもしれません。 ディクサの娘、すなわちウスラーダの妹で現在もカザン市動物園で飼育されている雌のマレイシュカを見ていくことにしましょう。 このマレイシュカについてはやはり私が昨年9月にカザン市動物園で会っていますのでこちらをご覧ください。 私が彼女に会ったのはたった2日間だけですし、しかも子育てをしているのを見ていませんので確定的なことは言えませんが、しかし私の見た限りマレイシュカはやはり姉のウスラーダに似た理知的な性格であるようにも感じました。 このマレイシュカが2009年12月に産んだピムとの映像を下にご紹介しておきますが、これだけでマレイシュカの母親としての子供への接し方を知るのには全く不十分でしょう。



つまりどうやってもウスラーダとマレイシュカの母親であるディクサの性格まで推し量る材料は得られないということになります。 では今度はウスラーダの娘であるシモーナの生んだ雌の子供の性格を考えたいのですが、やはりそれはドイツ・ニュルンベルク動物園の雌のヴェラの性格を見ていくことになります。 実はこのヴェラにも昨年の4月に私は現地で会っています。その時のレポートである「ヴェラお母さんの性格と子育て」をご参照いただきたいのですが、このヴェラというのは非常に神経質な母親でした。 そういったヴェラの性格が表れている映像となると非常に難しいのですが、以下などはなんとなくその感じが出ているような気がしないでもありません。


ということでこのヴェラと彼女の母親であるシモーナとはまたかなり性格が異なるということになります。 つまり、ホッキョクグマは母娘だからといって性格(そして子供への接し方)が似るということはないのではないかという気がしますが例が少なくてそう断言することも難しいでしょう。 たとえば札幌・円山動物園のララの母親であるクーニャですが、少なくとも私がクーニャがまだ元気であるときに何度か会った印象では、彼女は来園者に対して親愛の情を示すようなホッキョクグマではなく、むしろ人間に対して警戒心と敵対心に満ちていたホッキョクグマという感じを強く持ちました。 そしてさらにクーニャというのは非常にプライドの高いホッキョクグマだという印象も持ちました。 つまり、クーニャとララの性格はかなり似ているように思います。 私に言わせれば私の会った雌のホッキョクグマの性格のうち対極にあるのが今は亡きクーニャとモスクワ動物園のシモーナだという印象を強く持ちます。 ウスラーダとララも性格は全く違いますね。 ララは幾分気分屋ですがウスラーダは怜悧な性格です。

ホッキョクグマのお母さんは人間に負けず劣らず個体によって母親像が大きく異なっていることに気が付きます。 こういう視点で見ていくと実に興味深いものがあります。

(過去関連投稿)
カザン市動物園へ ~ 貧弱な飼育環境と大きな繁殖実績との間の巨大なパラドックス
カザンの星、マレイシュカお母さんの素顔
ヴェラお母さんの性格と子育て
ロシア・サンクトペテルブルクのレニングラード動物園でウスラーダが15頭目の赤ちゃんを出産!
by polarbearmaniac | 2012-09-28 07:00 | Polarbearology

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