街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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ロシア・ハバロフスク動物園のゴシへの同情と共感 ~ 人間に弄ばれた運命

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ゴシ (2012年10月6日撮影  於 ロシア極東・ハバロフスク動物園)

さて、こうして連休はハバロフスク動物園 (Зоосад Приамурский имени В.П. Сысоева) のゴシに合ってきたわけですが、このゴシというホッキョクグマ、私に非常に強い印象を残しました。 

彼は以前ご紹介したようにサーカス団で生まれ、ロシア極東地域の巡回動物園を経て再びサーカス団に送られるという数奇な運命を辿ったわけです。 この巡回動物園というのは私設の動物園でありその状況は以前一度ご紹介していますが(「ロシア・モスクワ郊外の私設動物園の悲惨な現実」)実に悲惨極まりない飼育環境なわけで、ロシア国内にいくつか存在しているようです。 その中でも巡回動物園というのは田舎や町村を回ってその地域の人々に動物を見せるという目的の動物園だそうです。 しかしそこで彼は再びサーカスのトレーナーに見いだされて再びサーカス団に戻り、そして11年間を勤め上げたわけでした。 しかし彼はそのサーカス団で酷使されたようで、すっかり健康を害したためハバロフスク動物園が彼を引き取ったわけでした。 ゴシが2002年の夏にハバロフスク動物園にやってきたときの実に貴重な映像を以下にご紹介しておきます。 このニュース番組は昨年ゴシが身勝手な来園者の指を噛み切った事件についての検証番組ですが、開始後2分42秒から数秒間の映像に御注目下さい。 このゴシの姿を見て驚かない人はいないでしょう。 これはもうホッキョクグマの姿とは到底言い難い実に悲惨なゴシの姿で、見ているだけで悲しくなってしまいます。



しかし彼はこの動物園で見事に健康を回復したのでした。 今では地元の子供たちにちゃんと名前を呼んでもらえるほどの人気者になっています。 運命に翻弄され、ようやく安住の地を見出したゴシが、また昨年の事件で奇妙な形で脚光を浴びてしまうというのはある意味では悲劇でした。 こういった、人間に弄ばれたゴシは絶えず周りの空気に敏感なホッキョクグマになったようです。 しかし彼の眼はそういった苦境を通り抜けて、ある意味では達観した透明な眼差しをしていたのが実に印象的でした。 それは非常に心打たれるものでした。 本当に彼に会うためにハバロフスクに行ってよかったと思いました。どうしてもまた再び彼に会いたいと思っています。 世界にはこのように我々には想像もつかない経歴(巡回動物園、サーカス団など)を持つホッキョクグマがいるわけで、そうしたホッキョクグマに会うために今後も海外には積極的に出かけたいと思っています。そして彼らの姿を写真なり映像なりで記録して残しておいてやりたいと思っています。

ゴシのこれからの健康を心から願っています。

(過去関連投稿)
ロシア・モスクワ郊外の私設動物園の悲惨な現実
ロシア極東・沿海州、ハバロフスク動物園のゴシ ~ 氷上サーカスを去り動物園を安住の地に
ロシア極東、ハバロフスク動物園のゴシ、身勝手な来園者の指を噛み切る! ~ 後を絶たぬ来園者の規則違反
ロシア極東、ハバロフスク動物園でのゴシの 「来園者襲撃」事件の続報 ~ 自業自得の規則違反者
晩秋の気配濃厚なハバロフスク動物園へ ~ ゴシさん、はじめまして!
ゴシ、その悲哀を突き抜けて澄みきった眼を持つホッキョクグマの魅力
by polarbearmaniac | 2012-10-09 20:00 | Polarbearology

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