街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum
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カナダ北部、ヌナブト準州の村落近くでホッキョクグマ親子3頭が射殺される ~ 経験と科学の相克
カナダ北部のヌナブト準州 (Nunavut) は現在はイヌイットの自治準州となっており、ホッキョクグマの生息地でもあります。 報道によれば、このヌナブト準州のバフィン島東岸にあるクライドリバー(Clyde River)というイヌイットの村落で今週、三頭のホッキョクグマ(母親と二頭の子供)が村長により射殺されました。 火曜日にこの親子が姿を現した時には追い払ったものの再び現れ村落に接近してきたため射殺したそうです。 母親は痩せていてかなり飢えていた様子だったそうですが子供たちも似たり寄ったり(little better) の状態だったそうです(この冒頭の写真の親子は無関係です)。 この秋の狩猟枠はすでに使い果たしていたため村民はホッキョクグマの出現に怯えていたそうで、このように村落に姿を現すホッキョクグマの姿は今年は例年よりも増えているとのこと。 やはりこれは氷の張る時期が今年は遅いことと関係があるだろうと村長は語っています。 この射殺されてしまったホッキョクグマのお母さん、本当に気の毒なことです。 自分の身を削って双子の子供にお乳を与え続けてきたものの、もう限界に来ていたのでしょう。
ただし狩猟枠について考える場合に、野生下のホッキョクグマの頭数に対する科学的調査というのもかなり危うい面があります。 つまりある特定の地域に限って調査する場合、そこに暮らしていたホッキョクグマが他地域に移動したならばそれをどう評価するかという問題が出てきます。 イヌイットに言わせれば、「昔はホッキョクグマの姿などそれほど見かけなかったのに最近は頻繁に見かけるようになった。 ホッキョクグマの頭数は減少していない。」というような一種の経験をもとにした主張に対して、それを完璧に打ち破るまでには至っていないように思われます。下のCBCのニュース映像では「Science vs, Experience」という対比の観点でこのことを取材しています。 ホッキョクグマの著名な研究者であるイアン・スターリング氏が登場していますが、私には氏が自信に満ちた主張を行っているようには必ずしも聞こえません。 (最初に2つほどCMが入ります。)
(*上がご覧になりにくい場合は下を見て下さい。)
このホッキョクグマの頭数推移の問題については改めて詳しく投稿したいと考えています。 このことはすでに以前この予告は」していましたが、仕事などでバタバタしているうちにホッキョクグマの赤ちゃん誕生のシーズンになってしまい頭数推移の問題を投稿する時期を逸しつつあります。 「ホッキョクグマの頭数は減少している。」という主張と、「ホッキョクグマの頭数はこれからもっと減少する。」 という主張は実は二つであって一つではないという厄介な問題があるように私には見えます。 このことは稿を改めて投稿する予定です。
(資料)
CBC News (Nov.14 2012 - More polar bears spotted in N.W.T., Nunavut communities) (Jun.15 2007 - Counting polar bears)
(過去関連投稿)
イギリスで議論を呼んだホッキョクグマ狩猟の映像 ~ Inside Nature's Giants : Polar Bear (Channel 4)
ホッキョクグマ狩猟枠を観光客に売却して現金化するイヌイットたちを批判する
(*追記) どのブログでもどういった単語で検索してそのブログにたどりついたかがわかる機能があります。 実はここ3ヶ月ほど、いやもっと前からでしょうか、毎日のように 「ホッキョクグマ、個体数、生息数、頭数、変化、減少、グラフ」 というような類似の単語を複数組み合わせて入れてこのブログをご訪問していただいていらっしゃる方がいるようです。 ご訪問ありがとうございます。 まずはお礼申し上げます。 それだけ長い期間、同じような検索を続けていらっしゃるということは、そういうグラフがまだ見つからないからでしょうか。 学生さんでしょうか? 何かのレポートに御必要ですか? その方に申し上げておきたいのですが、以前にも書きましたように日本語という言語ではホッキョクグマに関する重要なことは何一つわからないので日本語で検索しても時間の無駄なのではないかという点が一つ。 それから二つ目に、仮に英語その他の言語で検索しても通常の方法ではこのグラフはまず出てきません。何故出てこないのか...それをお考えいただきたいのです。 実は全く存在していないというわけではありません。 (ただし見るのには特殊な方法があります。 実は科学者たちはあまりそれを見せたがらないということです。 しかしこのことは、この生息頭数のグラフがネット上にほとんど存在していないという理由とは別のことです。) しかし、仮にそういったグラフが存在していたとしてそれが果たしてどれだけ意味のあるものでしょうか? 実はこのこと(つまり、何故ほとんどそういったグラフが存在していないのかということ)が 「ホッキョクグマの生息頭数推移」の問題を考える場合に非常に重要な点なのです。 一つだけ下に御紹介しておきます。 しかしこれは多分、その方にとっては有用なものとは言えないグラフではないかと思います。 PB は Polar Bear の略です。
(*追記2) 「ワシントン条約(CITES)第16回締結国会議とホッキョクグマの保護について ~ 賛成できぬWWFの見解」という投稿の中で一つのグラフを紹介しています。 それも是非ご参照ください。
by polarbearmaniac
| 2012-11-16 07:00
| Polarbearology
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