街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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アメリカ・アラスカの連邦地方裁判所がホッキョクグマ保護の「重要指定地区」の設定を無効と判断

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アイラ (2011年10月23日撮影 於 札幌・円山動物園)

2年ほど前に「アラスカにホッキョクグマ生息重要指定地区を設定へ」という投稿でアメリカ内務省の魚類野生動物保護局 (U.S. Fish and Wildlife Service - FWS)が、アラスカの北側の沿岸地区及び海上の約18万7千平方マイル(約48万4千平方キロ)を「重要指定地区 (Critical habitat designation)」に定め、この地区内での開発、その他の活動には内務省への事前教示申請によりFWSの承認を必要とさせるという規制を設定したことをご紹介しています。 まずその投稿から先にご参照頂きたいのですが、この魚類野生動物保護局 (U.S. Fish and Wildlife Service - FWS) の定めた行政規則に対して一昨年にアラスカ州政府とアラスカの石油ガス協会が規制の撤廃を求めて訴訟を提起していたわけです。
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その判決がアラスカの連邦地方裁判所 (U.S. District Court) より11日に下され、結果はこの魚類野生動物保護局が「重要指定地区」を定めた法的手続きには瑕疵があるとして規則の瑕疵を正させるべく連邦政府に送致する決定を下したそうです(アメリカにおける行政訴訟で規則 - Regulation の無効を求める訴訟では”decision” を「判決」ではなく「決定」と訳するのが正しかったはずですので、今回は「決定」と訳しておきます。 行政訴訟でもRegulation ではなく法律 - Act が憲法違反などで無効とされる場合には ”decision” は「判決」と訳するのが正しかったはずです)。 要するにアラスカの石油ガス協会の言い分が認められたということですね。 そして裁判所はホッキョクグマの保護のためのこのFWSの規制そのものの意義を大いに賞賛しながらも、その規則を定めた法的手続きに問題があったと判断したわけです。 つまり現在のこの規則による規制は無効となるわけです。 以下で今回の決定に関するニュース映像をご紹介しておきます。



アラスカの州知事は今回の裁判所の決定を大歓迎しているそうです。 アラスカ州の発展と雇用の確保のためにはこういったホッキョクグマの生息地を「重要指定地区」として設定して実質上開発に大きな規制をかけることには大反対というとのようです。 今回の裁判所の決定はなんとなく予想がつくような感じがします。 規制の意義は大いに認めて評価しておき、些細な手続きの瑕疵をあげつらって無効にする...要するにこうやって産業界の既得権益だけを守ろうとする裁判所のロジックはアメリカでも日本でも似たようなものです。 今回の決定を下したラルフ・バイスライン (Ralph Beistline) 判事の経歴を調べてみました。 この方は2001年に当時のブッシュ大統領からアラスカの連邦地方裁判所の首席裁判官 (Chief Judge) に任命されています。 要するに共和党寄りの考え方をされる方ですね。 過去の判決をいくつかざっと見てみましたところ石油会社などの利益を極力守ろうとする判決などがありました。 私個人的には今までのアメリカの大統領では共和党の大統領のほうが民主党の大統領よりも好きです。 しかし、共和党は銃砲所持規制とホッキョクグマの保護の問題については全くいただけません。

(資料)
Wall Street Journal (Jan.11 2013 - Court Reverses Rule Protecting Polar Bear Habitat)
AP (Jan.11 2013 - Judge Tosses Alaska Polar Bear Habitat Designation)
The Huffington Post (Dec.27 2011 - Ralph Beistline, Federal Judge, Ends BP's Probation For Alaska Oil Spill)
U.S. Fish and Wildlife Service (Marine Mammals Management - Endangered Species Act)
U.S. Fish and Wildlife Service (Final Designation of Polar Bear Critical Habitat)
U.S. District Court for the District of Alaska (Judges)
Wikipedia (Ralph R. Beistline)
The Daily journal of the United States Government (Dec.7 2010 - Endangered and Threatened Wildlife and Plants; Designation of Critical Habitat for the Polar Bear in the United States)

(過去関連投稿)
アラスカにホッキョクグマ生息重要指定地区を設定へ
by polarbearmaniac | 2013-01-14 22:00 | Polarbearology

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