街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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アメリカ・メリーランド州ボルチモアのメリーランド動物園のアラスカ逝く ~ サーカス後の安住の地での死

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アラスカ Photo(C) Karl Merton Ferron / Baltimore Sun

アメリカ・メリーランド州ボルチモアのメリーランド動物園で飼育されていた推定27歳の雌のホッキョクグマのアラスカが以前から患っていた腎臓疾患が悪化したため、昨日1月15日に安楽死という方法でこの世を去ったことを同動物園が発表しました。
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Photo(C)The Maryland Zoo

このアラスカというホッキョクグマですが以前にもご紹介したことがありましたが2002年にメキシコの「スアレス・サーカス団」がプエルトリコで興行していたときPETAなどの動物保護活動団体の告発を受けて動いたアメリカの魚類野生動物保護局がサーカス団から押収したホッキョクグマのなかの一頭でした。 この「スアレス・サーカス団」におけるホッキョクグマの劣悪な飼育環境については、これも以前にご紹介していますが以下の映像をご参照下さい。



こうしてこのアラスカは2002年にメリーランド動物園で飼育されることになったわけですが、彼女がメリーランド動物園に来園した当初は体重が過多であり筋肉に異常が見られたそうです。 また周囲の音にも無反応でしたので獣医さんが検査したところ彼女には聴力が失われていることがわかったそうです。 飼育員さんたちはアラスカにダイエット療法を行い、さらに手などの体を使ったシグナルによってアラスカへのトレーニングを行ってアラスカがそういったシグナルに反応するようになりました。 彼女はプールでの泳ぎも習得し動物園における生活に次第に順応していったわけでした。 このメリーランド動物園でのアラスカの映像を2つご紹介しておきます。





こうしてアラスカはメリーランド動物園での順調な生活を送り2006年には成育はしなかったものの一頭の赤ちゃんをも出産したわけでした。2008年頃から腎臓疾患の徴候が見られはしたものの飼育員さんと獣医さんの緊密な連携によって定期的なサンプル検査や食事療法によって彼女の腎臓疾患の悪化を可能な限り食い止めることに成功したわけでした。 しかしここ数週間、彼女の病状が急激に悪化し、とうとう昨日15日の朝に安楽死という手段によってアラスカはこの世を去りました。 このアラスカの死を伝える地元メディアの映像をご紹介しておきます。



今回のアラスカの死に関してメリーランド動物園の飼育員さんたちが彼女を偲んで在りし日の彼女の思い出を心のこもった言葉で語っています。 いちいち内容はご紹介はしませんがこちらで読むことができますので是非ご覧になってみて下さい。 かねてからそうですが、アメリカの動物園でホッキョクグマなどの動物が亡くなった際の動物園の告知には実に温かみを感じさせる文章が掲載されます。 そういった中でも今回のメリーランド動物園のHPでの告知や追悼記事はとりわけ素晴らしいもののように感じました。 彼女を失ったことへの悲しみ、そして今までの彼女の存在への感謝の念をコミュニティーで共有しようという姿勢に共感が持てます。 以下に同園が開設したfacebook のページから引用いたします。 飼育していたホッキョクグマの死に対してこれだけの文章はなかなか書けません。

>There are few words adequate enough to express the loss
being felt here at the Zoo today. It's with heavy hearts
we share the passing of our beloved polar bear, Alaska.
This morning, Zoo vets and keeper staff were by her side
after a very difficult decision based on her declining health
and quality of life.

Alaska's unique story of how she came to the Zoo in 2002
was one that inspired guests and connected staff to her
in a very deep way. Her wonderful spirit and her ability to
overcome adversity taught us invaluable lessons that will
continue to shape how we care for animals, and enhance
conservation efforts of vulnerable and threatened species.

We encourage you to read more about Alaska and share
your own thoughts and memories, as we know she connected
to many of you, as well. Though it's a difficult day here, our
staff is encouraged and, more than anything, privileged to
have been part of her amazing journey.  
Thank you for being part of it, too.


それからこの下の Wallwisher という「寄せ書き」ページ、なかなか効果的ですね。 こういうページを動物たちの訃報に際して動物園のHPに設置するというのは素晴らしいと思います。



最後に謹んでアラスカの冥福を祈ります。 本当に今までご苦労様でした。
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(資料)
The Maryland Zoo in Baltimore (Zoo News Jan.15 2013 - Maryland Zoo Bids Farewell to Alaska the Polar Bear), (Remembering Alaska)
ABC News (Jan.15 2013 - Baltimore bids farewell to Alaska, the Polar Bear)
Baltimore Sun (Jan.15 2013 - Polar bear dies at Maryland Zoo)
BBC News (Mar.7 2002 - Polar bear says goodbye to circus)

(過去関連投稿)
サーカス団のホッキョクグマ今昔物語
by polarbearmaniac | 2013-01-16 12:00 | Polarbearology

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