街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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リトアニア・カウナス動物園のカスパル逝く ~ 右後脚膿瘍の病状の悪化のため遂に力尽きる

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カスパル Photo(C)Delfi

バルト海に面したリトアニアの都市カウナスの動物園で飼育されていた17歳の雄のホッキョクグマであるカスパルが18日にカウナス動物園の委員会の決定によって安楽死という方法でこの世を去りました。 まだわずか17歳という壮年期でしたがカスパルは右後脚に生じていた膿瘍のために激しい痛みに苦しんでいたそうで、その右後脚を切断すれば救える可能性が十分あるという獣医さんの診断もあったものの体重が500キロあるとされる彼がその巨体を支える脚を失うことは今後のカスパルの健康、そして尊厳の維持について非常に厳しい状態が予想されることでもあり、動物園側としては安楽死という苦渋の決断を行ったそうです。 多くの人々に愛されたカスパルの死をカウナス動物園では悼んでいます。 そしてリトアニアのマスコミも彼の死について大きく報じています。

検死によると彼の右後脚のこの傷は蜂巣炎性膿瘍 (flegmoniniai pūliniai/Phlegmonöse Abszess/phlegmonous abscess) だったことが判明したとのことです。 この蜂巣炎性膿瘍というのは調べてみましたら感染が原因で生じる細胞組織の壊死ですね。 カウナス動物園ではこのカスパルが感染症を患った原因が飼育展示場にあるわけではないと考えているようです。 というのも、このカスパルの前に飼育されていたマーシャというホッキョクグマは33歳まで生きたという事実を根拠に挙げています。
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カウナス動物園としてはカスパルの治療のためにリトアニア国内の獣医専門機関や外国の専門家にまで治療を依頼するなど努力をしてきたそうですが、そういった治療も功を奏しなかったとのことです。 先週には強力な鎮痛剤を投与したもののその効果もないほどの状態になっていたそうで右後脚の広い範囲からは出血が見られるようになっていたそうです。下の映像は一昨年7月のものでリトアニアのTV局の映像で園長さんや広報担当の方がインタビューに答えていますが、生前のカスパルの右後脚の状態も映っています。確かにこの状態は可哀想です。 右後脚を地面に付けることができない状態です。



それから下の昨年12月末のニュース映像で見るカスパルの右脚の状態ですが、かなり悪化していて本当に気の毒というか、胸が締め付けられるような映像です。



カウナス動物園の追悼文によりますと、このカスパルは一歳の時に生まれ故郷のエストニアのタリン動物園からカウナス動物園にやってきたそうですが、タリン動物園では人工哺育で育てられた経緯があったためか人間には親しみを感じていたそうです。 血統登録上はヤスペル(Jasper) だったそうですがカウナス動物園のスタッフは彼をカスパルと呼び、それがその後のカウナス動物園での彼の名前となったとのことです。 カスパルはたちまちカウナス動物園の人気者となったそうです。 このカスパルの生前の姿をご紹介しておきます。 この映像はおそらく彼の傷一時的に治癒した段階での映像だと思われます。



彼のこの今回の病状の推移ですが、3年ほど前からカスパルが右後脚を時々舐めるようにしていたのにかが付いた人はいたようですが、カスパルの右後脚に異常が外見的に認識されたのは2年前だそうで、その時から治療は始まっていたそうです。 
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この時に発見されたのは小さな傷で、その時は抗生物質の使用によって治癒したそうですが1年ほど経ってから傷の再発の徴候があり、この時はX線検査を行ったそうです。 結果は骨組織に損傷が発見されたそうですがその時はまだ初期の段階だったようです。 それから何度か麻酔をかけて繰り返し傷口の洗浄と抗生物質による治療が続いていたそうです。昨年暮れから目立って状態は悪化し、そして今回の安楽死と言う手段でしかカスパルの苦痛を取り除くことができない状況になってしまったという経緯です。
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カスパル Photo(C) Eric Ovčarenko/15min.lt.

このカスパルはリトアニアで唯一飼育されていたホッキョクグマですが、こうして彼は亡くなってしまったもののカウナス動物園では新しいホッキョクグマを導入したくても施設が基準を満たさない限り新しい個体の導入は不可能だろうと言っています。 こうしてリトアニアという国からホッキョクグマがいなくなってしまったわけです。本当に残念なことです。

苦しみから解放されたカスパルの冥福を謹んで祈ります。

(資料)
Lietuvos zoologijos sodas (BALTAJAM LOKIUI KASPARUI ATMINTI)
15min.lt (Jan.21 2013 - Užmigdytas baltasis lokys Kasparas bus paverstas iškamša Tado Ivanausko zoologijos muziejuje)
15min.lt (Jan.19 2013 - Zoologijos sode Kaune gyvenęs baltasis lokys Kasparas pralaimėjo kovą su liga)
15min.lt (Dec. 28 2012 - Nerimas Kauno zoologijos sode: lokys Kasparas serga sunkia liga)
Kaunodiena.lt (Jan.21 2013 - Ligos palaužtas lokys Kasparas taps muziejaus eksponatu)
Kaunodiena.lt (Jan.19 2013 - Kasparo jau nebeišvysime: ligotas lokys buvo užmigdytas)
Delfi.lt (Jan.23 2013 - Zoologijos sodo darbuotojai: ėmėmės visų įmanomų veiksmų jam išgelbėti)
„Lietuvos ryto“ televizija (Jan.21 2013 - Kauno zoologijos atstovė: padarėme viską, kad išgelbėtume sunkiai sergantį Kasparą)
„Lietuvos ryto“ televizija (Jan.21 2013 (Dec.28 2012 - Kauno zoologijos sodo lokiui Kasparui įtariamas vėžys, gyvūnas vaikšto trimis letenomis)
by polarbearmaniac | 2013-01-23 16:00 | Polarbearology

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