街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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ロシア・西シベリア、エカテリンブルク動物園での 「ウムカの日」 ~ 九死に一生を得た孤児ウムカの物語

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ウムカ   Photo(C)Алексей БУЛАТОВ/Комсомольская правда

ロシア・西シベリアのエカテリンブルク動物園で飼育されているホッキョクグマたちについては今まで何度か投稿してきました。 この動物園では、飼育しているホッキョクグマたちを盛り上げるいくつかのイベントを毎年行っていますが今回は「ウムカの日 (Умкин день)」 と名付けられたウムカの誕生会が先週土曜日の26日に催されました。 このウムカは野生孤児の出身ですので誕生日は当然わからないわけですが、こういった野生出身の個体について世界の動物園では任意の日を定めて「お誕生会」を行うというケースが多いようです。 あるいはその動物園に来園した日を記念日としてお祝いの日にしたりする動物園もあります。 今年の「ウムカの日」は単にホッキョクグマのウムカに来園者からのプレゼントのおやつを与えるといったことだけではなく、このウムカが野生孤児として保護されてエカテリンブルク動物園に送られた詳しい一連の経緯や、野生のホッキョクグマのおかれている現状といったものを施設内の部屋で飼育担当者が来園者に語るといった啓蒙的な内容の催し物も開催されたそうです。
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Photo(C)Екатеринбургский зоопарк

このウムカが野生孤児として保護された経緯をエカテリンブルク動物園では「ウムカの日」の催し物に先立って簡単に説明しています。 それによりますと彼は(1998年の4月に)ロシア極北のチェクチ半島の寒村であるビリングス (Биллингс) で住民たちが何頭かの犬に追いかけられている生後半年ほどのホッキョクグマの赤ちゃんを眼にしました。
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ロシア北東部・チェクチ半島のビリングス  Photo:Wikipedia

この赤ちゃんは犬たちに追い詰められ、ひどく噛まれていたのでした。 その赤ちゃんはその場は猟師によって救われましたが、住民は長い期間この赤ちゃんをそもまま保護することはできないと考え最終的には射殺するしか方法がないと考えたのでした。 この話を聞きつけたエカテリンブルク動物園はこの赤ちゃんが射殺される前に現地で保護して動物園に移送したのでした。 この赤ちゃん、つまりウムカはエカテリンブルク動物園での環境にすぐに慣れ、そしてこの動物園で飼育されるようになったという経緯だそうです。 実はこのウムカの何枚かの写真を見ますと頭に深い傷跡があるのが目につくのですが、これは多分このウムカが犬たちに襲われたときにできた傷が残っているのではないかとも考えられます。
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ウムカ Photo(C) Екатеринбургский зоопарк

ウムカが保護されたチェクチ半島のビリングスという村はホッキョクグマが付近に非常に出没するそうで、報道によりますと昨年10月には20頭ものホッキョクグマが次々に集合するといった、やや異常な光景が目撃されたそうです。 この寒村にはやはり何頭もの犬がいるそうですが、さすがに成獣のホッキョクグマに対しては恐怖感を持っているようで番犬の役目としてはいささか頼りないそうです。 そういった犬たちも生後半年ほどのホッキョクグマの赤ちゃんは恐れてはいなかったと見えて集団でウムカに襲いかかったということなのでしょう。 ウムカはこうして九死に一生を得てエカテリンブルク動物園に暮らしているわけです。

ここでウムカの映像をご紹介しておきます。 これはエカテリンブルク動物園のウムカからサンタクロースに宛てたメッセージという形式をとっています。 



上の映像でウムカのメッセージのロシア語のテロップの内容は、

「こんにちはサンタクロースさん。 地上最大の肉食獣がお便りを書いています。 僕はホッキョクグマのウムカです。 北の国で生まれ、一人ぼっちで迷って歩いていたところを人間に見つけられました。 人間たちは僕を救ってくれてエカテリンブルク動物園に送ってくれました。 僕は今年の『ミスター動物園』なんですよ。 僕はここが大好きで来園者の方々とやりとりするのが大好きです。 僕は大きなタイヤで遊ぶのが大好きなのですが僕は力が強いのですぐにタイヤは破壊されてしまうんですよ。 サンタクロースさんが今年も新しいタイヤをプレゼントしてくれました。 だからいつも楽しかったです。」 

...とでも訳せましょうか。
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Photo(C)Алексей БУЛАТОВ/Комсомольская правда

こうしてウムカは運よくエカテリンブルクで飼育されるようになりましたが、実際にこうして生き延びたホッキョクグマの赤ちゃんというのはごく一部であり、多くの野生孤児たちは一頭で生きていくことができないまま死んでいく(殺されてしまう)わけです。 ホッキョクグマの保護の観点から考えると、こうしたことは頭の痛い問題ですが、まず密漁といったものを徹底的に取り締まることが重要でしょう。 こういう一種の乱獲がホッキョクグマの今後の生息数に与える影響は実に大きいわけです。

В Екатеринбургском зоопарке отметят день рождения белого медведя Умки
25.01.2013 В Екатеринбургском зоопарке отпразднуют день рождения белого медведя Умки,- сообщили АПИ в пресс-службе зверинца. «Умкин день» пройдет в субботу, 26 января. Умка по праву является любимцем публики. Все любят наблюдать за тем, как он играет с колесом или плавает в своем бассейне, катается на спине или стоит на задних лапах,...

© 2013 - Мои года


(資料)
Екатеринбургский зоопарк (Наши новости Jan.25 2013 - В Екатеринбургском зоопарке пройдет «Умкин день»!)
Екатеринбург Он-лайн (Jan.25 2013 - В зоопарке отпразднуют день рождения белого медведя Умки)
Официальный портал Екатеринбурга (Jan.25 2013 - В Екатеринбургском зоопарке пройдет «Умкин день»)
Just­Media (Jan.25 2013 - В Екатеринбургском зоопарке пройдет праздник в честь белого медведя Умки)
ИА Апельсин (Jan.25 2013 - Белый медведь Умка отпразднует завтра День рождения)
АПИ-Екатеринбург (Jan.25 2013 - В Екатеринбургском зоопарке отметят день рождения белого медведя Умки)
Мои года (Jan.25 2013 - В Екатеринбургском зоопарке отметят день рождения белого медведя Умки)
Аи­Ф-Урал (Jan.25 2013 - Зоопарк Екатеринбурга отметит «Умкин день»)
Комсомольская правда (Jan.28 2013 - В Екатеринбургском зоопарке отметил день рождения самый большой хищник)
Комсомольская правда (Jun.22 2012 - Пир белых медведей)

(過去関連投稿)
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by polarbearmaniac | 2013-01-28 20:00 | Polarbearology

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