街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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カナダ・ケベック州、サンフェリシアン原生動物園のエサクバク、展示場に復帰 ~ 本命の意外な失望結果

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飼育展示場に戻ったエサクバク 
Photo(C) Zoo sauvage de Saint-Félicien

先日「2012~13年のホッキョクグマの赤ちゃん誕生シーズンを終えて」という投稿でホッキョクグマ誕生シーズンの終結を勝手に宣言してしまいました。 その投稿のなかで、正式発表はないものの出産した可能性があると思われる雌について触れました。 実はそれがカナダ・ケベック州のサンフェリシアン原生動物園のエサクバク (Aisaqvaq /Aisakvak) です。 ところがサンフェリシアン原生動物園より、エサクバクは先週の金曜日(1日)に飼育展示場に復帰した旨の正式な発表が昨日4日付けでありました。 これは非常に残念なことです。
(*追記) 断片的な情報を組み合わせますと出産はあったとも推測できます。 まず第一に正式発表の表現ではこう言っています。
C'est officiel, nous n'avons pas eu d'oursons, ours blanc. 
(「私たちはホッキョクグマの赤ちゃんを得ませんでした。」) 
非常に微妙な言い方ではありますが、つまり生まれたかどうかを直接述べず、「赤ちゃんを得られなかった」 とだけ述べています。 ただし日本語で「出産がなかった。」 という内容でもフランス語としては間接的にはこういう表現にはなりえます。 それから第二に、このサイトを見ますと、ある方が1月10日の段階でメールで投稿しており、サンフェリシアン原生動物園のエサクバクは秋の段階で妊娠の兆候を見せていたものの(1月になって)食欲を取り戻したという同動物園の上層部の発言を伝えています。そしてすでに食害があった可能性も否定できないものの、同動物園としては出産の有無についての判断に苦しんでいるという情報が投稿されています。 しかしこれが信頼性のある情報が否かの判断は私にはできません。 考えてもみれば、出産を待って1月末までエサクバクを産室に閉じ込めておいたというのはやや我慢のし過ぎのようにも思います。 以上のことから結論を言えば、「出産はあったかもしれないが、食害があったか虚弱で死亡してしまった。」 と理解するほうが状況には合っているかもしれないということです。 微妙ですね。
 

このサンフェリシアン原生動物園というのはホッキョクグマの赤ちゃん誕生発表からその成長の過程の情報を実に見事にネットで公開することに優れた動物園です。 前回の2009年にエサクバクがタイガとガヌークの双子を出産した際の情報発信の素晴らしさには目を見張るようなものがありました。 今回もそのようなものの再現を大いに期待したわけですが、肝心の結果が得られないことには残念な話となりました。

2012~13年の出産シーズンにおいて世界の動物園の中で一番出産の可能性が高い本命中の本命は札幌・円山動物園のララで、次の本命としてはアメリカ・トレド動物園のクリスタルとカナダ・サンフェリシアン原生動物園のエサクバク、その次がチェコ・ブルノ動物園のコーラといったところが正当な評価だと私は思っていました。 このうちララ、クリスタル、コーラには実際に出産があったことはご承知の通りです。 ただしエサクバクの場合、今回問題だったのはパートナーの雄が前回のイヌクシュクではなくイレ (Yellé) だったことが気にはなっていました。 このイレ (Yellé) は以前ご紹介していますがオランダの「動物帝国」より個体交換でカナダにやってきたジェル(Jelle) のことですが、彼は昨年春の時点で6歳だったわけでまだ繁殖の実績がないという点で少々不安もあったわけでした。 仮にパートナーが前回同様イヌクシュクでしたらララと十分に並ぶ、いやひょっとしたらそれ以上の出産の確率だっただろうとは思います。 この下の映像は昨年3月末のエサクバクとイレの繁殖行為の様子です。



以下の写真は先月行われたイレの7歳のお誕生会の様子です。
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Photo(C)TVA Nouvelles

サンフェリシアン原生動物園では数日以内にエサクバクとイレの同居を開始するそうですので今年の11~12月に再び期待したいと思います。

(注)イヌイット語が起源と思われるエサクバク (Aisaqvaq) を現地のフランス語の放送では「アイサクバク」と発音していますが、当ブログでは一般的なFrancophone の発音ルールに従って「エサクバク」と表記しています。 それから、エサクバクには "Aisakvak" という綴りと "Aisaqvaq" という綴りの2つがあります。 後者のほうがイヌイット語の語源に近いと思います。

(資料)
Zoo sauvage de Saint-Félicien - facebook (Feb.4 2013 - Aisaqvak rentre au bercail)
Canoë (Jan.13 2013 - L'ours polaire Yellé a célébré ses 7 ans)

(過去関連投稿)
カナダ・サンフェリシアン原生動物園の情報発信力の質の高さ ~ 新しい時代の繁殖へ
2012~13年のホッキョクグマの赤ちゃん誕生シーズンを終えて
オランダとカナダの施設のホッキョクグマ個体の交換が発表 ~ 遂に再開された北米・欧州間の個体交換
カナダでの飼育下期待の星、イヌクシュクの物語
by polarbearmaniac | 2013-02-05 12:00 | Polarbearology

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