街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


by polarbearmaniac

プロフィールを見る

ロシア・西シベリアのオムスク近郊、ボリシェリェーチェ動物園に暮らすグーリャ ~ 人間への不信と無関心

a0151913_21571382.jpg
ボリシェリェーチェ動物園のグーリャ
Photo(C)Новости Большеречья и Большереченского района

ロシア・西シベリアの都市オムスクの近郊の田園地帯にあるボリシェリェーチェ (Большеречье) の動物園に1頭で暮らす推定23歳になる雌のホッキョクグマ、グーリャ (Гуля – 正式には Гулина - グリーナ) は来園者に全く無関心なホッキョクグマとして地元では知られています。 アプリコットジャム入りのサンドイッチを大好物にしているこのグーリャにとって友達といえば飼育展示場の横の池にやってくる水鳥たちだけのようです。 そうした彼女の態度を見て、それを人間への不信感ととらえる地元マスコミの記者の感じ方もあながち思い過ごしではないのもかもしれません。
a0151913_20551869.jpg
a0151913_20433298.jpg
Photo(C)Омская правда

このグーリャは1990年にロシア極北の沿岸で密漁者に射殺された母親のそばで血を流している生後5か月ほどの赤ちゃんだったときに地質学者によって発見・保護され、その後はサンクトペテルブルクのレニングラード動物園で飼育されるようになったのでした。 (レニングラード動物園にて私が得た情報によりますと、このグーリャがレニングラード動物園で繁殖目的に最初に引き合わされた雄は、なんとあの偉大なるメンシコフだったそうで、この時にはメンシコフがこのグーリャを非常に嫌って攻撃的な態度をとったためにレニングラード動物園はメンシコフとグーリャとの組み合わせを断念したという経緯があったそうです。その後メンシコフのパートナーになったのがウスラーダであることは言うまでもありません。そしてメンシコフとウスラーダがレニングラード動物園で世界最高のペアとして現在まで君臨し続けていることも今更申し上げるまでもないでしょう。)
a0151913_20465393.jpg
グーリャ Photo(C)Филиал "ОМО им. П.И. Баранова"

その後グーリャはルハリャーダ (Рухляда) という同じ年齢で仲良しの雌のホッキョクグマと一緒にレニングラード動物園からこのボリシェリェーチェ動物園 (Большереченский зоопарк) に移動となったのでした。それから一年半の間、グーリャとルハリャーダは仲良くこの動物園で暮らしたのですが、やがて二頭に別れの時がやってきます。 ルハリャーダはフランスの動物園で飼育されていた一頭の雄のパートナーとしてフランスに旅立ってしまったのです。 一頭になってしまったグーリャに雄のパートナーは来ませんでした。(地元マスコミの報道ではグーリャの遺伝的形質に問題があったという内容が記されていますが、これは事実ではないでしょう。)
a0151913_20481455.jpg
Photo(C)Zoo55.ru

その後ずっとグーリャは母となるチャンスを与えられないままずっとこのボリシェリェーチェ動物園で一頭で暮らしてきたのです。 彼女の人間嫌い、人間への不信と無関心をこうした彼女の悲運に結びつけたくなる気持ちはわからないではありません。 このグーリャの姿を伝える映像はネット上にはほとんど存在せず、わずかに下のボリシェリェーチェ動物園の様子を映した一般の来園者が撮影した映像の一部で見ることができるだけです。開始後1分40秒あたりから約10秒間の映像です。



このボリシェリェーチェ動物園というのは、まず日本人で行ったことのある方はまずいないのではないかと思われます。 この動物園の様子をいくつかの映像で見ますと、ロシアの地方都市の典型的な動物園という感じがしますが、その一方で周囲の自然環境も含めてホッキョクグマ飼育展示場の環境は悪くないようで、グーリャの暮らす場所には大きな池のようなプールもあるのがみてとれます。
a0151913_2040490.jpg
ボリシェリェーチェ動物園のホッキョクグマ飼育展示場
Photo(C)Obzor.westsib.ru

こういったロシアの地方都市の動物園に暮らすホッキョクグマに光が当たることは滅多にありませんので今回の投稿では、グーリャの歩んできた生涯、そして最近の彼女の姿を比較的多くご紹介しておきたいと思ったわけです。 このような日の当たらないホッキョクグマ (おおむねそれは不幸な境遇にあるホッキョクグマである場合が多いわけですが)を取り上げることはホッキョクグマファンとしてやっておかねばならないことだと思っています。
a0151913_21252942.jpg
Photo(C)валерий Гашеев / РИА НОВОСТИ

(資料)
Большереченский зоопарк (Белый медведь)
Большереченский зоопарк (Feb.21 2012 - "День полярного медведя")
Obzor.westsib.ru (Jul.25 2011 - Зоопарки России-1. Большереченский зоопарк)
Омская Газета (Jun.11 2003 - ПАРИЖАНЕ ЗАПРЕТИЛИ РОЖАТЬ)
Омская правда (Mar.17 2010 - Гулина доля)
by polarbearmaniac | 2013-02-06 22:00 | Polarbearology

カテゴリ

全体
Polarbearology
しろくま紀行
異国旅日記
動物園一般
Daily memorabilia
倭国旅日記
しろくまの写真撮影
旅の風景
幻のクーニャ
エッセイ、コラム
街角にて
未分類

最新の記事

ロシア・西シベリア、ボリシェ..
at 2017-09-21 01:00
アメリカ・オレゴン動物園のノ..
at 2017-09-21 00:30
ピョートル(ロッシー)とクラ..
at 2017-09-20 06:00
ロシアのサーカス団の4頭のホ..
at 2017-09-20 00:30
デンマーク・オールボー動物園..
at 2017-09-19 01:15
ポーランド・ワルシャワ動物園..
at 2017-09-18 02:00
ロシア極東・沿海州、ハバロフ..
at 2017-09-17 03:00
ロシア・ノヴォシビルスク動物..
at 2017-09-16 06:00
とくしま動物園のポロロの充実..
at 2017-09-15 03:00
ロシア・カザン市動物園がバル..
at 2017-09-14 03:00

以前の記事

2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月

検索

ブログパーツ

  • このブログに掲載されている写真・画像・イラストを無断で使用することを禁じます。

ライフログ


人生と運命 1


スターリン―青春と革命の時代


モスクワは本のゆりかご


私のモスクワ、心の記憶


自壊する帝国 (新潮文庫)


甦るロシア帝国 (文春文庫)


嘘つきアーニャの真っ赤な真実 (角川文庫)


ロシア 春のソナタ、秋のワルツ-1999-21st


それからのエリス いま明らかになる鴎外「舞姫」の面影


ミチコ・タナカ 男たちへの讃歌 (新潮文庫)


わがユダヤ・ドイツ・ポーランド―マルセル・ライヒ=ラニツキ自伝


ベルリン戦争 (朝日選書)


Hof――ベルリンの記憶


カチンの森――ポーランド指導階級の抹殺


北京烈烈―文化大革命とは何であったか (講談社学術文庫)


慟哭の通州――昭和十二年夏の虐殺事件


主題と変奏―ブルーノ・ワルター回想録 (1965年)


藤田嗣治 異邦人の生涯


Barle's Story: One Polar Bear's Amazing Recovery from Life As a Circus Act


Lenin's Tomb: The Last Days of the Soviet Empire


Resurrection: The Struggle for a New Russia


Hotel Adlon: Das Berliner Hotel, in dem die grosse Welt zu Gast war


Ein seltsamer Mann


Alma Rose: Vienna to Auschwitz


St Petersburg: A Cultural History


Gulag