街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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アメリカ・ニューヨーク州 ロチェスターのセネカ動物園でのオーロラへの人工授精、結果は実らず

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オーロラ (円山動物園 デナリの姉) Photo(C)Seneca Park Zoo

昨年5月の投稿で、アメリカ・ニューヨーク州ロチェスターのセネカ(公園)動物園が同動物園で飼育されている22歳のオーロラにホッキョクグマとしては史上初の人工授精を行ったという話題をご紹介していますので、まずそれをご参照いただければ幸いです。

ところが昨日セネカ動物園より正式発表があり、人工授精を行ったオーロラ(現時点では23歳)に妊娠が無かったことを明らかにしました。 さらに発表では、人工授精についてはその技術的な処置そのものは成功であったとし、実際にオーロラのホルモン値のレベルは妊娠を示すものであったあったが、それが実際の妊娠であるのか偽妊娠 (pseudopregnancy) であるのかを区別するだけのホッキョクグマの生殖にかんする生理学的な知識が現時点ではないと述べています。 そして今後のオーロラの繁殖については、彼女がすでに23歳と言う年齢になっているため、リスクの少ない排卵誘発をもたらす少量のホルモンを投与して自然繁殖を試みる意向であることも述べています。 オーロラとパートナーの雄のゼロはすでに同居を再開したそうです。
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オーロラ  Photo : ZooChat/blospz

セネカ動物園でのホッキョクグマに対する人工授精はこうして今回は結果を生みださなかったわけですが、もともとホッキョクグマの場合は飼育下での自然繁殖すら極めて難しいわけですから、今回一回の人工授精が成果を挙げなかったからといって人工授精に意味がないと考えるのは早計でしょう。 しかしどうでしょうか、私はこのホッキョクグマの人工授精についてはいささか懐疑的な見方をしています。 ホッキョクグマの生殖のメカニズムはまだ不明なことが多いわけで、人工授精というやり方自体が本当に有効な手段かどうかも判断がつきかねるように思います。

さて、このセネカ動物園のオーロラが円山動物園のデナリと父母が同じである姉であることはすでにご紹介しています。 冒頭のオーロラの写真、見れば見るほどデナリに似ています。 彼女は今回こうして人工授精の試みによって繁殖を期待されたわけでしたが、すでに4頭の子供たちがいるわけで決して繁殖能力の無い雌ではないということは知っておくべきでしょう。

以下にこのオーロラのパートナーであるゼロの3カ月前のお誕生会の映像をご紹介しておきます。



実はこのゼロの父親であるカリストこそ、以前から何度もご紹介していますデトロイト動物園で43歳10カ月というホッキョクグマでは歴代世界最高齢生存記録を持つデトロイト動物園のドリス(1948-91) がホッキョクグマの史上最高齢出産成功記録である35歳11カ月で出産した息子だったということです。この世界最高齢出産成功記録である35歳11カ月、私は今まで非常に懐疑的でしたが、どうも事実であるようです。

(資料)
Seneca Park Zoo (Feb.13 2013 - Zoo’s polar bear not pregnant following artificial insemination)
Rochester YNN (feb.13 2013 - Artificial Insemination of Polar Bear Unsuccessful)
Patheos (May.01 2012 - Seneca Park Zoo celebrates first artificial insemination of polar bears)

(過去関連投稿)
アメリカ・ニューヨーク州 ロチェスターのセネカ動物園が史上初のホッキョクグマの人工授精を行う
デナリ (円山動物園) とその母親、兄弟姉妹たちの姿 ~ ユタ州・ソルトレイクシティーの地元紙の記録
カナダ・マニトバ州、アシニボイン公園動物園の新展示場施設の建設  ~  偉大なるデビーの遺したもの
by polarbearmaniac | 2013-02-14 16:00 | Polarbearology

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