街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


by polarbearmaniac

プロフィールを見る

アルゼンチン・メンドーサ動物園がアルトゥーロの引き取りについてのカナダ側の申し出を断る

a0151913_13215863.jpg
メンドーサ動物園のアルトゥーロ Photo : Winnipeg Free Press

先日、「カナダ・アシニボイン公園動物園がアルゼンチン・メンドーサ動物園のアルトゥーロを引き取る交渉を開始」という投稿でアルゼンチンのメンドーサ動物園で飼育されている27歳のアルトゥーロについてカナダ・ウィニペグのアシニボイン公園動物園がその引き取りを申し出ている件について投稿しています。 これはメンドーサ動物園のホッキョクグマの飼育環境を問題視した地元の動物保護活動グループがカナダに住むアルゼンチン出身者と連携して行っている運動によりアシニボイン公園動物園がアルトゥーロを引き取るべく動き出したという件については前回の投稿でご紹介した通りです。

この件についてカナダ側の報道が出てきています。 それによりますと、メンドーサ動物園はこのアシニボイン公園動物園の申し出を丁重に断ったとのことです。 動物保護活動家グループがアルゼンチン政府やブエノス・アイレスのカナダ大使館にも働きかけていたそうです。 アシニボイン公園動物園のシンクレア・スミス園長は引き続きこのアルトゥーロを引き取る姿勢は維持するそうで、メンドーサ動物園の方針転換を見守りたいという態度のようです。 カナダ放送協会の放送したこの件についてのニュースをご覧いただきましょう。



ズーチェックという動物園監視グループも動き出したのは奇妙ではあります。 彼らはもともと動物園否定論者ですから、仮にアルトゥーロをカナダに移送しても保護される場所がアシニボイン公園動物園というわけですから本来こういった移送の問題に対しては態度を示すことができないはずですが、「メンドーサ動物園よりは、はるかに良い」 という理由で今回の件についてはアルトゥーロの移送を支持しています。 要するにこういう件に喰らいついてメンドーサ動物園を批判したいという意図からでしょう。



しかしまあカナダのアシニボイン公園動物園が輸送費用を全額負担するということですから私は今回の件は決して悪い話ではないようにも思います。 しかし一方で、メンドーサ動物園がアルトゥーロの移送に同意した場合に、メンドーサ動物園はそもそもその飼育環境という客観的評価の難しい問題について自分たちに非があると認めた結果であると受け取られるであろうことは確実であるということと、ホッキョクグマのような人気動物を手放すことに抵抗があるであろうことは間違いないでしょう。 そもそもメンドーサ動物園にとってはアルトゥーロを移動させなければならない理由を彼ら自身が見いだせないわけです。 こういったことをクリアせねばならないわけですから問題は単なる金銭の問題ではないことは当然で、ここに今回の件の難しさがあるわけです。

(資料)
Winnipeg Free Press (Apr.13 2013 - City zoo tries to save Argentine polar bear)
CBC (Apr.12 2013 - Send 'sad' Argentinian polar bear to Canada, supporters urge)

(過去関連投稿)
南米アルゼンチン・メンドーサ動物園のペルサ逝く
アルゼンチン・ブエノスアイレス動物園のウィネル、真夏の気温上昇による高熱症で亡くなる
南米アルゼンチン・メンドーサ動物園のアルトゥーロ ~ 同国唯一となったホッキョクグマの健康への配慮
カナダ・アシニボイン公園動物園がアルゼンチン・メンドーサ動物園のアルトゥーロを引き取る交渉を開始
(*以下、アシニボイン公園動物園関連)
カナダ・マニトバ州、アシニボイン公園動物園内に建設中のホッキョクグマ保護・厚生センターについて
カナダ・マニトバ州、アシニボイン公園動物園内にホッキョクグマの保護・厚生施設が完成
カナダ・マニトバ州、アシニボイン公園動物園の新展示場施設の建設  ~  偉大なるデビーの遺したもの
by polarbearmaniac | 2013-04-15 17:00 | Polarbearology

カテゴリ

全体
Polarbearology
しろくま紀行
異国旅日記
動物園一般
Daily memorabilia
倭国旅日記
しろくまの写真撮影
旅の風景
幻のクーニャ
エッセイ、コラム
街角にて
未分類

最新の記事

フィンランド・ラヌア動物園の..
at 2017-11-24 00:30
ドイツ・ミュンヘン、ヘラブル..
at 2017-11-23 00:30
ロシア・サンクトペテルブルク..
at 2017-11-22 06:00
ロシア・ノヴォシビルスク動物..
at 2017-11-22 00:30
ロシア・サンクトペテルブルク..
at 2017-11-21 01:00
エストニア・タリン動物園のノ..
at 2017-11-21 00:30
エストニア・タリン動物園、新..
at 2017-11-20 01:00
仙台・八木山動物公園、苦心す..
at 2017-11-19 00:30
ロシア・イジェフスク動物園が..
at 2017-11-18 01:30
南フランス・アンティーブ、マ..
at 2017-11-18 00:30

以前の記事

2017年 11月
2017年 10月
2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月

検索

ブログパーツ

  • このブログに掲載されている写真・画像・イラストを無断で使用することを禁じます。

ライフログ


人生と運命 1


スターリン―青春と革命の時代


モスクワは本のゆりかご


私のモスクワ、心の記憶


自壊する帝国 (新潮文庫)


甦るロシア帝国 (文春文庫)


嘘つきアーニャの真っ赤な真実 (角川文庫)


ロシア 春のソナタ、秋のワルツ-1999-21st


それからのエリス いま明らかになる鴎外「舞姫」の面影


ミチコ・タナカ 男たちへの讃歌 (新潮文庫)


わがユダヤ・ドイツ・ポーランド―マルセル・ライヒ=ラニツキ自伝


ベルリン戦争 (朝日選書)


Hof――ベルリンの記憶


カチンの森――ポーランド指導階級の抹殺


北京烈烈―文化大革命とは何であったか (講談社学術文庫)


慟哭の通州――昭和十二年夏の虐殺事件


主題と変奏―ブルーノ・ワルター回想録 (1965年)


藤田嗣治 異邦人の生涯


Barle's Story: One Polar Bear's Amazing Recovery from Life As a Circus Act


Lenin's Tomb: The Last Days of the Soviet Empire


Resurrection: The Struggle for a New Russia


Hotel Adlon: Das Berliner Hotel, in dem die grosse Welt zu Gast war


Ein seltsamer Mann


Alma Rose: Vienna to Auschwitz


St Petersburg: A Cultural History


Gulag