街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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スウェーデン、オルサ・グレンクリットのベアパークのヴィックスが再び生まれ故郷のロッテルダム動物園へ

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ヴィックス Photo(C)ANP

また奇妙なニュースが流れてきました。 2010年の12月6日にオランダのロッテルダム動物園でオリンカお母さんから生まれた雄のホッキョクグマのヴィックスは昨年ロッテルダム動物園の展示場の水槽のガラスを岩で割ったことですっかり世界的に有名になったわけですが、2010年の11月24日生まれにオランダ・レネンのアウヴェハンス動物園でフリーダムお母さんから生まれた雌のセシと一緒に昨年10月22日にスウェーデンのオルサ・グレンクリットのベアパークに移動しています。 そういった一連の経緯は過去関連投稿をご参照下さい。 ヴィックスとセシは将来のペアとして、多分ウィーンのシェーンブルン動物園の新施設完成後にそこに送られるという見方が有力だったわけですが、実はなんとフランス東部のミュルーズ動物園への移動が内定していたそうです。 ところがこのミュルーズ動物園での新施設建設の完成が遅れていることとオルサ・グレンクリットのベアパークの飼育スペースの都合から、とりあえず生まれ故郷のオランダのロッテルダム動物園に戻ってくることになったそうです。 ミュルーズ動物園の新施設の完成は今年の秋までずれ込むようです。

このフランスのミュルーズ動物園の新施設建設というのは以前に 「フランス・アルザス地方のミュルーズ動物園の新施設建設計画 ~ 2頭のホッキョクグマの移動について」 という投稿でご紹介したことがありました。 しかしこのミュルーズ動物園にはティナとジュリという2頭のホッキョクグマが飼育されていて現在は一時的に同じフランスのパルミール動物園に預け入れられているわけです。 それなのに、新施設完成後にそれに加えてまたヴィックスを飼育しようということなのでしょうか。 一方、ヴィックス一緒にスウェーデンに行ったセシは果たしてどこに行くのでしょうか。 最終的にはやはりヴィックスとペアになることは間違いないわけですが、ミュルーズ動物園の施設の完成の遅れとスウェーデンのオルサ・グレンクリットのベアパークのスペース上の関係で、やはりとりあえず生まれ故郷のレネンのアウヴェハンス動物園に戻るのでしょうか? そう考えるほかありません。 しかしそうなると昨年の秋のヴィックスとセシのスウェーデンへの移動はいったい何だったのかが問題です。 ヴィックスの母のオリンカとセシの母のフリーダムの今年の繁殖のため...結果的にはそれ以上でも以下でもなかったということになるでしょう。 
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スウェーデンでのヴィックスとセシ Photo(C)Orsa Björnpark

やはりEAZAのコーディネーターがホッキョクグマの若年個体同士の組み合わせと飼育場所のアレンジに相当苦慮しているのだと考えることができます。 ホッキョクグマを飼育していく施設の環境基準のハードルが高くなり、それに適合した施設を見出すのに苦労しているわけです。 ホッキョクグマを可能な限り広くて環境の良い施設 (それは最近欧米の各地で完成しつつある新施設であるわけですが)に入れてやりたいと考えるのは当然のことなのですが、繁殖に成功して生まれた個体を新しいペアとして別の施設で飼育しようとしたときに、すでにそこで飼育されてるホッキョクグマを追い出すわけにはいきません。 ホッキョクグマを大事に飼育しようとするがあまり飼育環境基準を上げたがために、回り回って今度は自分で自分の首を絞めてしまう状態に陥りつつあるというのが昨今の欧州の現実ではないでしょうか。 そしてとうとう、ドイツ・ニュルンベルク動物園のグレゴールとアレウトについては、私が実際に訪問して自分の眼で見た限りでは明らかに欧州における新しい飼育環境基準を満たしていないと思われるポーランドのワルシャワ動物園に移動させるという苦心惨憺の決定 を行わざるを得なくなったということでしょう。 札幌・円山動物園がホッキョクグマ飼育の新施設を建設して仮に多少なりとも欧州との結びつきを構築するということであれば、現在のこうした欧州の状況を考えると、円山動物園にとってはチャンスかもしれません。 ただし、相当立派な施設を建設する必要があるでしょう。
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スウェーデンでのヴィックス(右)とセシ(左) Photo(C)Orsa Björnpark

いずれにせよ、ロッテルダム動物園では人気者のヴィックスが戻ってくることには歓迎のようで、また元気に動き回る姿を期待しているそうです。 私も一昨年の5月にロッテルダム動物園で生後半年のヴィックスに会っていますが(過去関連投稿をご参照下さい)、彼も本当に元気一杯のホッキョクグマで見ていて大変に楽しかったことを覚えています。

以下に再度、ヴィックスがロッテルダム動物園のプールのガラスを石で割った世界的にも有名になった映像をご紹介しておきます。



(資料)
RTV Rijnmond (May.4 2013 - IJsbeer Vicks tijdelijk terug in Blijdorp)
Telegraaf.nl (May.4 2013 - IJsbeer Vicks terug in Rotterdam)
Nieuwsbank (persbericht) (May.4 2013 - Ijsbeer Vicks tijdelijk terug in Blijdorp)

(過去関連投稿)
オランダ・ロッテルダム動物園でホッキョクグマの赤ちゃん誕生!
オランダ・ロッテルダム動物園で誕生の赤ちゃんの産室内の映像(追加)
オランダ・ロッテルダム動物園の赤ちゃん、産室から一歩を踏み出す
オランダ・ロッテルダム動物園の赤ちゃん、とうとう戸外に姿を現す!
オランダ・ロッテルダム動物園のヴィックスの性別への地元ファンの関心 ~ 要求された奇妙な写真
オランダ・ロッテルダム動物園、オリンカ親子の姿 ~ 発散するヴィックスの魅力
オランダ・ロッテルダム動物園で昨年12月に誕生したヴィックスの順調な成長 ~ 最近の映像より
オランダ、ロッテルダム動物園のヴィックスの1歳の映像
オランダ・ロッテルダム動物園のヴィックス、石でプール観客側のガラスを割る!
オランダ・ロッテルダム動物園のヴィックスが9月に他園へ旅立ち
オランダからスウェーデンへ ~ ヴィックスとセシの新ペアとしての旅立ちの日ついに来る
オランダ・ロッテルダム動物園のヴィックスの同園での最後の一日 ~ 最終移動先はウィーンか?
スウェーデンのオルサ・グレンクリットのベアパークに到着後のヴィックスとセシ
フランス・アルザス地方のミュルーズ動物園の新施設建設計画 ~ 2頭のホッキョクグマの移動について
(以下、2011年ロッテルダム動物園訪問の現地レポート)
ロッテルダム動物園へ!
親子3頭の同居? ~ 常識に挑戦したロッテルダム動物園の方法
泰然自若のオリンカお母さん、その貫禄の子育て
お母さんの庇護の下で自由を謳歌するヴィックス
by polarbearmaniac | 2013-05-05 14:00 | Polarbearology

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