街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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ロシア ・ サンクトペテルブルク建都310年の記念ポスターに登場したメンシコフ ~ 偉大な男が祝った街

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(C)Ленинградский зоопарк

国際オリンピック委員会(IOC)の理事会が開催されたり音楽祭「白夜の星」(Музыкальный фестиваль «Звезды белых ночей»)が開催されていたりなど、ここのところ話題が多いロシア第二の都市、サンクトペテルブルクです。 実は5月25日から3日間、建都310年の記念祝賀行事も行われています。 このサンクトペテルブルクの遷都については、Российская газета 紙の日本語版である"ロシアNOW" の2013年5月21日付けの記事、「サンクトペテルブルクに遷都」 をご参照下さい。 そういった中でサンクトペテルブルクのいろいろな団体が建都310年を記念するポスターを自主的に制作しています。 レニングラード動物園が制作したもの、それが冒頭のポスターです。 サンクトペテルブルク建都310周年に対して "C Праздником, любимый город! (おめでとう、愛する街よ!)" と書かれたポスターにレニングラード動物園の動物たちを代表して写っているのは、もちろんあのメンシコフです。
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メンシコフ Photo : Задачи проекта Летописи.ру

Menshikov proudly makes his appearance to the exhibit of
Leningrad Zoo, at St.Petersburg, Russia, on Mar.25 2012,

このメンシコフについてはあらためて何一つ申し上げることはないでしょう。 彼が日本のどの動物園の、どのホッキョクグマとどういう関係があるかについても、もう今更ここで申し上げる必要はないでしょう。 1989年9月、このメンシコフが彼の母親であるアンデルマ (現 ペルミ動物園) とともにロシア極北の街アンデルマに忽然と姿を現し、そしてレニングラード動物園のスタッフによってメンシコフ岬の付近で捕獲された経緯は以前、「ロシア・ペルミ動物園のアンデルマ、その日常の姿」という全体で4回からなる投稿ですでにご紹介しています(過去関連投稿参照)。 このメンシコフ、そして彼のパートナーであるウスラーダ、そして彼らの間の長女シモーナほど、海外の動物園に暮らすホッキョクグマとして私が今まで頻繁にここでご紹介してきたホッキョクグマはないといってよいほどです。

Menshikov finds himself relaxed at the exhibit of Leningrad
Zoo on Mar.25 2012.

一般的に動物園で飼育されているホッキョクグマのうちで 「野生出身」 というホッキョクグマは、実は本当に厳密な意味で 「野生出身」 と言ってよいかは微妙なのです。 何故ならばそういった 「野生出身」 と言われる個体は、誕生後約3か月ほどをお母さんと一緒に自然界の巣穴で過ごし、そしてお母さんと共に巣穴から出て外を歩き回り始めて間もない時期に狩猟者によってお母さんが射殺されたために人間によって食料を与えられて保護され、そしてその後に動物園で飼育されるようになったというのが事実です。 ですから「野生出身」とはいいつつも実質上は「飼育下の出身」ということに近いわけです。 よく飼育下の個体について、「彼 (彼女) は野生出身であるから気性が激しい」 などという言い方をする人がいますが、それはあまり正確な言い方ではないわけです。

Menshikov walks around at the exhibit of Leningrad Zoo, in St.Petersburg on Mar.25 2012.

一方で、この野生出身のメンシコフが他の飼育下の 「野生出身」 と言われる個体たちの大部分と大きく異なる点は、メンシコフは母親(アンデルマ)と共に実際に自然の中を歩き回り、そして母親(アンデルマ)が我が子を守り育てようと必死に食料を求めて大自然の中で格闘する様子を息子のメンシコフは巣穴から出たあと母親の傍らで半年以上にわたって実際に自分で見て、そして母親と共に体験しているということです。 そういった意味でこのメンシコフこそ真に 「野生出身」 の看板に偽りのないホッキョクグマであるといってよいでしょう。

Menshikov shows his great presence at the exhibit of
Leningrad Zoo, St. Petersburg, Russia, on Sep.17 2012

彼の偉大なる雄姿がいかに来園者を魅了するかは驚くべきものなのです。 ウスラーダが赤ちゃんたちの子育てをしている時期は多くの来園者はその親子の姿に見とれているわけですが、一般的にこうしてお母さんが子供たちの世話をしている場所に隣接した展示場にいる父親のほうには人はそれほど集まらないものです。 ところがこのメンシコフの場合は例外のようです。 やはり多くの人々がこのメンシコフの姿にも見入っているのです。 このメンシコフに匹敵するだけの雄のホッキョクグマは、世界の動物園でもまず絶対にいないと言って間違いありません。 野生下であっても彼ほどのホッキョクグマは稀有でしょう。 一度このメンシコフを見てしまえば、他のどのホッキョクグマを見ても彼に見劣りしてしまうわけです。 体の大きさだけではありません。 メンシコフには本質的な意味での「偉大さ」、「崇高さ」。「孤高の輝き」というものが存在しているわけです。 体の大きさもさることながら、実はこういったことが彼が唯一無二の至高の存在である所以なのです。 そういったメンシコフ、そして彼のパートナーであるウスラーダの今年2月24日のレニングラード動物園での 「ホッキョクグマの日」 の様子の一部は、こちらのページの映像でご覧ください。 この2頭の巨体のホッキョクグマが同居している姿は実に迫力があります。
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ウスラーダ Photo : Задачи проекта Летописи.ру

私がこのブログを開設してから3年半になりますが、その間にサンクトペテルブルクを4回訪れています。 とにかくこのメンシコフ、そして彼のパートナーであるウスラーダというペアに魅了され続けています。 私にとってこのメンシコフとウスラーダ、そしてモスクワのシモーナ・とウランゲリは札幌のララとデナリに匹敵するほどの親しみを感じているペアです。 実はこの最近の4回の訪問では一度もエルミタージュ美術館に入っていないのです。 それほどまでに近年ではメンシコフとウスラーダに首ったけという状態だからです。
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冬宮 (エルミタージュ美術館) Photo(C)Российская газета

定泊のホテルであるケンピンスキーホテル (モイカ22)からレニングラード動物園までぶらぶらと歩く際にいつもこの冬宮(エルミタージュ美術館)の横を通って行きます。 ソ連時代からエルミタージュ美術館には何回か入っており実際に素晴らしい体験をしていますので、また入ってみたいとは思っています。 やはり白眉なのはレオナルド・ダ・ヴィンチの2つの作品である “Мадонна Бенуа (聖母ブノワ)” と “Мадонна Литта (リッタの聖母)” です。
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エルミタージュ美術館の案内としては私の見たうちで以下の映像が優れていると思いますのでご紹介しておきます。 全体では約1時間45分という相当の長さですが実に内容のある映像と解説だと思います。 冒頭のサンクトペテルブルク市内巡りもなかなか美しいですので、最初の数分だけでもご覧いただきたく思います。



サンクトペテルブルクの簡単な案内ならばこの下の映像がコンパクトで美しいです。



サンクトペテルブルクという街は単にその歴史的な街並みを散歩していても過去の歴史的事件の現場を体験でき、古都の持つ独特の文化的、芸術的空間を楽しめ、プーシキンドストエフスキーアフマートヴァなどの偉大な詩人や作家たちの暮らした足跡を辿ることもでき、そして音楽では素晴らしいオーケストラと劇場があり、エルミタージュ美術館に入れば至福の体験ができ、そして動物園に行けばメンシコフとウスラーダという世界最高のペアに会える街...ということで、ホッキョクグマファンであり同時に歴史や文化に興味のある人間にとっては言うことなしの素晴らしい街です。
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レニグラード動物園

(資料)
Ленинградский зоопарк (Медведь белый - Семейство Медвежьи/Медведь белый (Ursus maritimus)
Город (Feb.26 2013 - Международный день белого медведя)
Задачи проекта Летописи.ру (Сетевой проект Живой символ Арктики/Белые медведи Ленинградского зоопарка)
Российская газета (日本語版 ロシアNOW)
サンクトペテルブルクに遷都
暗い過去併せ持つペテルブルク
サンクトペテルブルクの週末
サンクトペテルブルクが世界の観光地に

(過去関連投稿)
ロシア・ペルミ動物園、アンデルマの表情(1) ~ 捕捉し難き素顔
ロシア・ペルミ動物園、アンデルマの表情(2) ~ その存在への認識
ロシア・ペルミ動物園のアンデルマ、その日常の姿(1) ~ 遠征での映像より
ロシア・ペルミ動物園のアンデルマ、その日常の姿(2) ~ 遠征での映像より
ロシア・ペルミ動物園のアンデルマ、その日常の姿(3) ~ 遠征での映像より
ロシア・ペルミ動物園のアンデルマ、その日常の姿(4) ~ 遠征での映像より
ケンピンスキーホテルからレニングラード動物園へ ~ ウスラーダとメンシコフとの再会へ!
ウスラーダお母さんにスイカのプレゼント
世界で最も偉大なる母、ウスラーダの素顔
世界で最も偉大なる男、メンシコフの雄姿 ~ 彼こそ「男の中の男」という言葉にふさわしい!
ウスラーダとメンシコフの夏 ~ 日曜日の昼下がりの光景
至高のホッキョクグマ、メンシコフとの再会 ~ 来園者を魅了する偉大なる雄姿
メンシコフ閣下の充実した時間 ~ 肉のプレゼント
ウスラーダの赤ちゃんの登場を待つサンクトペテルブルクのレニングラード動物園
秋晴れのサンクトペテルブルクでウスラーダ一家と再会 ~ ロモノーソフ君、はじめまして!
ウスラーダの15番目の子供、ロモノーソフの素顔 ~ 一人っ子の温和な性格か?
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帝王メンシコフ、人々を魅了する美しき威厳
夕方から満を持して登場のウスラーダとロモノーソフの親子
ウスラーダさん、メンシコフさん、ロモノーソフ君、お元気で! ~ ホッキョクグマ体験の至福の3日間
理性のウスラーダと情愛のシモーナ ~ 偉大なるホッキョクグマ母娘の性格の違い
ロシア・サンクトペテルブルク、レニングラード動物園のロモノーソフのヤクーツク動物園への移動が決定
息子との間近の別れを予感しているウスラーダお母さん ~ 冬の日のサンクトペテルブルクの親子の情景
ロモノーソフとウスラーダお母さんの親子最後の一日 ~ サンクトペテルブルクでの別れ
ロモノーソフ、無事にヤクーツク動物園に到着 ~ そして息子の去った日のウスラーダお母さんの姿
仙台・八木山動物公園のカイのロシア時代の写真
ウスラーダお母さんの10番目の子供、カイ (八木山動物公園 / ロシア名 : ラダゴル )のロシア時代の姿
ロシアのマスコミ、カイ(仙台)とロッシー(静岡)の地震・津波からの無事を大きく報じる
カイ (仙台・八木山動物公園 / ロシア名:ラダゴル) とウスラーダお母さんの物語
ロシア・サンクトペテルブルク、レニングラード動物園での「国際ホッキョクグマの日」のイベント
ロシア・サンクトペテルブルク、レニングラード動物園の名ペア、ウスラーダとメンシコフの新たなる挑戦
by polarbearmaniac | 2013-06-01 06:00 | Polarbearology

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