街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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ロシア・ヴォルガ川流域、ペンザ動物園の苦境続く ~ ベルィ に仮仕様のプールが完成 

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ベルィ Image(C)Россия-1

2011年の10月にロシア極北の地で1歳にならないうちに孤児として漁民に保護された後にモスクワ動物園に送られ、そして昨年の11月末に今後飼育されることが決まったヴォルガ川流域の街のペンザの動物園に送られたウムカの新しい名前がベルィに決定したところまでの一連の経緯は全て投稿しています(過去関連投稿参照)。
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ペンザ市の位置 

現在非常に問題になっているのは、ペンザ動物園内に新設される予定の新ホッキョクグマ舎が当初の予定通りに完成してないことです。 それどころか工事は停滞・中断したままの状態のようです。 実はペンザ動物園ではこの新ホッキョクグマ舎だけではなく園内の施設の大幅な改修工事が行われていたわけですが、それらが一向に進行していないという状況のようです。 下のTVニュースの動画を再生していただくと、建設の中断したままの新ホッキョクグマ舎建設現場の映像を見ることができます。


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放置されたままの園内の工事
Photo(C)ПензаИнформ

私はこの件について地元のいくつかの報道を以前から注意深く追いかけているのですが、いろいろと複雑な事情があることがわかってきました。 そもそも、このペンザ動物園の大改修計画はペンザ市の都市基盤整備計画の一環として計画されていたようで、単にペンザ動物園の新ホッキョクグマ舎建設計画といった規模をはるかに超えたもののようです。 詳しく書いていきますとこれはホッキョクグマの飼育の問題というよりも、ロシアの地方都市の公共事業のありかた、そしてロシアの地方都市の社会・経済を覆う問題点とモスクワとの関係といったような大きな規模の話になってしまいますので簡単にはいきません。 今回の件も工事を受注したモスクワのゼネコンとペンザ市の下請け業者との間の関係をはじめとして、いくつも興味深い問題点が浮かんでくるのですが、それらを全てご紹介するとすれば本ブログの本来の趣旨を大きく超えることになりますので、ともかく今回はペンザ動物園のホッキョクグマの件にだけ話題を絞ることにします。 ともかくこういった一連の状況について伝えるロシア第一TV ペンザ支局の報道をご紹介しておきます。 春の段階のペンザ動物園内の状態はある程度把握できます。



ペンザ市は一連の工事の大幅遅延に対してモスクワのゼネコンを相手に裁判所に訴えて勝訴し、その結果としてモスクワのゼネコンから損害賠償金を得ることには成功しています。 そして少なくともペンザ動物園内の施設の大幅改修工事については、地元の業者に工事を引き受けさせることになったそうです。 しかし、もうこの地方では夏が到来していますので、とりあえず現在このホッキョクグマのベルィを飼育している仮飼育場に簡単なプールを作ってやることにしたそうで、その費用は市民からの募金でまかなわれているようです。 新ホッキョクグマ舎の工事をはじめとして園内の大改修工事には地元の業者がモスクワのゼネコンに代って引き受けることが先月末に決定し、今週の月曜日から130人の人員を2シフトで働かせて突貫工事を行う予定とはいうものの、6月中に完成などという計画がそのままうまくいくとは到底考えられません。 さらに、追加費用として動物園側が負担しなければいけない費用も発生していりそうですから、まだ完成には紆余曲折があるでしょう。とりあえず完成した簡素なプールでベルィが水浴びしているTVニュースの映像がありますので、下の写真をクリックしていただき、現れたページの動画を再生してみて下さい。
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ペンザ動物園としては今回の件ではペンザ市に頼ることは極力避け、独自にいろいろと動いていたようです。 というのも、この園内の大改修工事がさっぱり進まないために他の動物園に動物たちの何頭かを移動させたり、今までの貧弱な飼育環境の旧施設を可能な限りいじったりして動物たちを少しでも快適にしてやろうと努力していたわけです。 園内の敷地には建築資材が放置されていたりして一部の場所では混乱した状態になっているため、そういったものをきちんと整理しようとしたりもしていますが、市民のボランティアを集ったりもしていますが、これからの季節は本来でしたら多くの来園者を期待できるシーズンにもかかわらず、こういったことでそれもままならず、入園料の十分な収入は望めそうもないようです。 依然として苦境な状態にあることは間違いなさそうです。
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工事中断で園内敷地に放置された資材 
Photo(C)Пензенский зоопарк/Российская газета

とにかくロシアという国では物事は簡単に進みません。ましてや、地方ではいろいろな点で惨憺たる状態である都市がいくつもあるのです。

(資料)
ПензаИнформ (Apr.2 2013 - Реконструкция Пензенского зоопарка приостановлена)
Российская газета (Apr.3 2013 - Пензенский зоопарк попросил о помощи)
Государственный интернет-канал «Россия» (Apr.8 2013 - Реконструкцию пензенского зоопарка завершат в июне 2013 года)
ПензаИнформ (Apr.10 2013 - Пензенский зоопарк не берет от горожан деньги на реконструкцию)
ПензаИнформ (Apr.21 2013 - Пензяки увидят в зоопарке жирафов только в следующем году)
ПензаИнформ (May.30 2013 - В Пензенском зоопарке произошла смена подрядчика)
ПензаИнформ (Jun.2 2013 - В Пензенском зоопарке белый медведь радуется построенному бассейну)

(過去関連投稿)
ロシア極北で漁民に保護された1歳の野生孤児が中部ロシアのペンザ動物園での飼育が決定
ホッキョクグマ飼育経験のないロシア・ペンザ動物園が飼育準備を開始 ~ 「親和性」、「運」とは?
ロシア極北で保護された孤児のウムカ、依然としてモスクワ動物園で待機か? ~ 野生孤児保護の問題点
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モスクワ動物園で待機中だった野生孤児のウムカが陸路、ペンザ動物園に無事到着
ロシア・ヴォルガ川流域のペンザ動物園にモスクワから移動したウムカの近況 ~ 待たれる新施設の完成
ロシア・ヴォルガ川流域、ペンザ動物園のウムカの新しい名前を公募することが決定
ロシア・ヴォルガ川流域、ペンザ動物園のウムカの新しい名前が「ベルィ」に決まる
by polarbearmaniac | 2013-06-03 23:30 | Polarbearology

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