街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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アメリカ ・ バッファロー動物園でルナとカリーの正式な同居展示が開始 ~ カリーの今後について

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カリー(左)とルナ(右) Photo(C) Derek Gee/Buffalo News

アメリカ・ニューヨーク州のバッファロー動物園で先週の土曜日にあのルナとカリーという全米で有名となった2頭の赤ちゃんの屋外での初めての顔合わせがあった件については、「アメリカ ・ ニューヨーク州、バッファロー動物園で遂にルナとカリーが初顔合わせ」 という投稿ですでにご紹介しています。 バッファロー動物園では実はこのルナとカリーの正式な同居展示は今週の月曜日からを予定していたわけですが、それを前にして事前練習のような形で2頭の顔合わせを行ったものをNBC が特ダネのような形で映像を放送したわけでした。 しかしとうとう今週の月曜日から毎日、午前11時半から午後2時までという時間を区切っての正式な同居展示が始まりました。
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Photo(C)WBFO News

初顔合わせのときからそうですが、この2頭はなかなか相性の良いところを見せているそうです。 やはりルナのほうカリーよりも、大勢の人々から見られることには慣れているようで、カリーはいささか緊張したような様子も見せることがあるようです。 この2頭の同居を是非見たいということで遠方からの来園者もあるそうで、そういった多くの来園者の行列を整理するための仕切りを設けたりもし、またこの列に並んでいる人々には列をどんどん前に進んでいってほしいなどの呼びかけも行うほどの盛況のようです。 そういったこの2頭の今週月曜日の様子を見てみましょう。 (2番目のTVニュースの冒頭にはCMが入ります。)



Kali makes debut at Buffalo Zoo


すでに以前にも書きましたがバッファロー動物園では見切り発車で計画が進行している総工費1400万ドルの新施設 (“Arctic Edge Polar”) の建設資金のうちで不足している400万ドル分の寄付を募っていましたが、そのうちの100万ドルは寄付が集まったものの、まだあとの300万ドルについては引き続き寄付を呼びかけている状況です。当初の予定通りに全ての工事が完成するためには7月中旬までにこの金額を集めねばならないわけですが見通しは楽観を許さない状況のようで、バッファロー動物園は市からのさらなる援助を求めることや、またニューヨーク州に対しても援助の要請を行いたい意向のようです。 カリーがバッファロー動物園に滞在するのは8月の終わりまでだということを同園でも了解しているようで、こうしてルナとカリーの同居展示はそれまでの期間は続くものの、その後のカリーについてどうなるかは依然として公式的には未定のようです。 こういった状況は以前もご紹介した時と変化はないようです。

一方でセントルイスからの報道ではセントルイス動物園の園長さんはカリーの所有権を持つ魚類野生動物保護局 (U.S. Fish and Wildlife Service) が最終決定を下してカリーがセントルイス動物園に移動してくることにはかなりの自信を持っているようです。 セントルイス動物園が全米でもトップクラスのホッキョクグマの展示場の建設にすでに着手したもう一年も前から、同園は魚類野生動物保護局 (U.S. Fish and Wildlife Service) と接触して、こうやって孤児となったホッキョクグマの受け入れについての交渉を行っていた模様で、こうやってカリーがアラスカで保護されたことはまさにセントルイス動物園が願っていた個体が現れたことを意味するわけです。 一方のバッファロー動物園は、新展示場の建設資金が仮に予定通りに手当できない場合にはカリーは当然のこと、ルナも他園に出さざるを得ないというところまで追い込まれてしまっていることを明確に自覚しているわけです。 AZA の飼育基準をクリアできない動物園では、こうしてホッキョクグマを手放さざるを得なくなるわけで、まさにここでも 「飼育基準」 というものが大きな意味を持ってきているわけです。 それも、そういった基準さえも大幅に上回るだけの規模の新施設を持つ動物園が強い立場に立つことになるわけです。
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今後のバッファロー動物園の動向を注視したいと思います。 ともかく、カリーがルナの将来のパートナーとなる可能性は現在の状況ではほとんどないだろうということは確実だと思われます。 そしてセントルイス動物園は再び、今度は野生孤児の雌の個体の入手を狙い、その雌をカリーのパートナーにしようと考えるでしょう。 なにしろセントルイス動物園の「武器」は全米でもトップクラスのAZAの飼育基準を大幅に上回る新展示場の完成にあるわけです。 それから上のTVニュースの映像でもわかりますが、バッファロー動物園のフェルナンデス園長さんの弱気は私の予想以上のもののようです。

(資料)
The Buffalo News (Jun. 3 2013 - Zoo’s polar bear cubs appear together in public for first time)
WBFO (Jun.3 2013 - Buffalo's polar bear cubs on display together)
WIVB (Jun.3 2013 - Kali makes debut at Buffalo Zoo)
St. Louis Post-Dispatch (Jun.4 2013 - Polar bear cub may move to St. Louis Zoo)
ASSOCIATION OF ZOOS AND AQUARIUMS (Standardized Animal Care Guidelines – Polar Bear)
カナダ・マニトバ州 「ホッキョクグマ保護法」・ホッキョクグマ保護規定 (通称「マニトバ基準」) - Polar Bear Protection Regulation)

(過去関連投稿)
アメリカ・ノースカロライナ動物園のアキーラが改修後の展示場に元気に登場 ~ 「マニトバ基準」 を考える
アラスカで保護された野生孤児カリーをめぐるバッファロー動物園とセントルイス動物園との微妙な関係
アメリカ ・ ニューヨーク州、バッファロー動物園で遂にルナとカリーが初顔合わせ

(*以下、ルナ関連)
アメリカ・ニューヨーク州、バッファロー動物園でホッキョクグマの赤ちゃん誕生! ~ その姿が突然公開
アメリカ・ニューヨーク州 バッファロー動物園の赤ちゃんの追加映像 ~ ララの子供たちの従妹であるルナ
アメリカ・ニューヨーク州 バッファロー動物園の人工哺育の赤ちゃんのルナが初めて戸外へ
アメリカ・ニューヨーク州 バッファロー動物園の赤ちゃん、ルナの近況を伝えるTVニュース映像
アメリカ・ニューヨーク州 バッファロー動物園の赤ちゃん、ルナが雪の舞う戸外へ
アメリカ・ニューヨーク州 バッファロー動物園の赤ちゃん、ルナが遂に一般公開へ
アメリカ・ニューヨーク州、バッファロー動物園の赤ちゃんの「ルナ」が仮称から正式の名前となることが決定
アメリカ・ニューヨーク州、バッファロー動物園のルナの近況 ~ 人間の視線への意識と興味
(*以下、カリー関連)
アメリカ・アラスカ州の北西岸でホッキョクグマの孤児の赤ちゃんが保護!
アメリカ・アラスカ動物園で保護された野生孤児のカリーが今春に期限付きでバッファロー動物園へ
アメリカ・アラスカ動物園で保護されている野生孤児のカリーの一般公開が始まる
アメリカ・アラスカ動物園で保護されている野生孤児のカリーを間近で撮り続けている専属カメラマンの視点
アメリカ ・ アラスカ動物園で保護されている野生孤児の赤ちゃん、カリーの近況と今後について
アメリカ・アラスカ動物園の野生孤児カリー、来週後半に ニューヨーク州のバッファロー動物園へ
アメリカ・アラスカ動物園の野生孤児カリーがニューヨーク州のバッファロー動物園に無事到着
by polarbearmaniac | 2013-06-05 01:00 | Polarbearology

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