街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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アメリカ・バッファロー動物園がルナの移動可能性に言及 ~ 報道されている状況は本当に事実なのか?

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ルナ Photo(C)Buffalo Zoo

アメリカ・ニューヨーク州のバッファロー動物園で見切り発車で計画が進行している総工費1400万ドルのホッキョクグマなどの極地動物を飼育展示する新施設 (“Arctic Edge”) の建設資金が不足しており市民や企業に寄付を求めている件はについては今まで何回か投稿してきました。 このバッファロー動物園では昨年11月27日に生まれ人工哺育で育てられた雌のルナと野生孤児でアラスカ動物園からバッファロー動物園に移送されてきたカリーが仮の飼育展示場で飼育されており、大きな人気を博している件もご紹介してきました。
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カリー Photo(C)Buffalo Zoo

このバッファロー動物園ですが、依然として必要な資金全額のうち現時点ではまだ250万ドル(約2億5千万円)近くが不足しているそうで、いよいよ苦境に立たされているようです。 このままのでは秋からの新施設建設工事の開始が不可能になるためカリーはもちろんのこと、バッファロー動物園が所有権を持つルナまでもが近いうちに他の施設に移動させなければならない状況に陥っているとフェルナンデス園長は暗い表情で語っています。 園長さんが語るには、全米でホッキョクグマを飼育している施設は31あるが、これはフットボールのチームのフランチャイズ都市数よりも少ないそうです。(実際は現時点では33施設だと記憶しています。)そういった状況を伝える地元のTVニュースをご紹介しておきます(冒頭にCMが入る場合があります)。



今回の件でファルナンデス園長の語るように本当にルナまでもが他施設へ移動せねばならない状況なのか、いやそもそも建設資金の不足という状況そのものが本当なのかについて私は以前からやや懐疑的な見方をしていないわけではありませんでした。 そのため折に触れて過去の経緯を調べたりしたのですが、少なくともバッファロー動物園がかなり無理をしてこの新施設建設改革を進めたという経緯は事実のようで、当然この建設改革の作庭のなかで資金不足については認識していたらしいという以上の情報は得られませんでした。 
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新施設の “Arctic Edge” の予定図 (C)Buffalo Zoo

それから一方で、ファルナンデス園長が語るように既存の施設がAZAの基準に満たないがためにホッキョクグマの飼育ができないというのは事実であるにせよ、2010年の8月の段階でAZAはホッキョクグマの繁殖のためにヘンリー・ヴィラス動物園のナヌークをバッファロー動物園に移動させる決定を行っており(「繁殖のために住み慣れた動物園を旅立ったホッキョクグマ ~ ヘンリー・ヴィラス動物園のナヌークへの期待」)、これが功を奏して今回ルナが誕生したわけです。 そしてその後、確かにAZAは2011年6月にこのバッファロー動物園のホッキョクグマ展示場へ大きな懸念を示したことがAZAの事実上の「改善勧告」の意味を持っていたらしいということは、昨年の投稿である「アメリカ・ニューヨーク州、バッファロー動物園の苦悩 ~ ホッキョクグマ新施設建設の資金不足」でも触れたことがありましたので、その投稿を再度ご参照いただければ幸いです。  以下の昨年5月の映像を再度ご覧いただきたいのですが、昨年2012年の5月の段階でフェルナンデス園長の懸念は建設資金の不足分の金額であり、それは具体的に指摘されています。 しかし、もう一つの懸念であるホッキョクグマの「放出」についてはあくまでも「危惧」という漠然としたものでしかないということです。



そして今回、仮にルナが人工哺育ではなく通常のようにアナーナお母さんが母乳で育てる状況ならば当然バッファロー動物園の既存の展示場で育児が行われることが不可欠だったであろうことからも、AZAが果たして「今年(2013年)の秋からの建設開始は不可欠」 とまでタイムリミットを区切ってバッファロー動物園に対して基準を満たす施設を建設せよとまでに硬直的な考え方を押し付けているかについては疑問の余地が大いにあるように思います。  ですから、近いうちにセントルイス動物園に移動することが内定しているカリーはともかく、ルナについては実際そこまで切迫した状況であるのかについては、これも疑問の余地があるということです。 以上から言えることは、ファルナンデス園長は一般からの寄付によって一日も早く建設資金を確保するためにルナの移動の危険性を誇大宣伝しているという疑念を拭い去ることができないということです。 「今年(2013年)の秋からの建設開始は不可欠」 と具体的タイムリミットを区切って外部にそう思わせているのはAZAではなくバッファロー動物園自身の側ではないだろうかということです。

ともかくバッファロー動物園を取り巻く状況からは目が離せません。 世界のホッキョクグマ界で最もホットなスポットと言えるように思います。 そこには「飼育基準」という世界のホッキョクグマ界における現在では中心的なテーマが突きつけている問題が凝縮されて表面化しているのがこのバッファロー動物園であるからです。

(資料)
wgrz.com (Jul.31 2013 - Buffalo Zoo Short Funding for Polar Bear Exhibit)
WIVB.com (Aug.1 2013 - Zoo needs $2M to keep polar bears)
Buffalo Zoo (Campaign - Keep Lune in Buffalo)

(過去関連登場)
動物園による情報公開 ~ アメリカ・バッファロー動物園でのホッキョクグマ連続死亡事件
繁殖のために住み慣れた動物園を旅立ったホッキョクグマ ~ ヘンリー・ヴィラス動物園のナヌークへの期待
アメリカ・バッファロー動物園のホッキョクグマ新展示施設建設へ篤志家の多額な資金寄付
アメリカ・ニューヨーク州、バッファロー動物園の苦悩 ~ ホッキョクグマ新施設建設の資金不足
アラスカで保護された野生孤児カリーをめぐるバッファロー動物園とセントルイス動物園との微妙な関係
アメリカ ・ ニューヨーク州、バッファロー動物園で遂にルナとカリーが初顔合わせ
アメリカ ・ バッファロー動物園でルナとカリーの正式な同居展示が開始 ~ カリーの今後について
アメリカ・ニューヨーク州 バッファロー動物園でのルナとカリーの同居は順調に推移
アメリカ・ニューヨーク州 バッファロー動物園の新施設建設の不足資金を州政府が一部負担の意向示す

(*以下、ルナ関連)
アメリカ・ニューヨーク州、バッファロー動物園でホッキョクグマの赤ちゃん誕生! ~ その姿が突然公開
アメリカ・ニューヨーク州 バッファロー動物園の赤ちゃんの追加映像 ~ ララの子供たちの従妹であるルナ
アメリカ・ニューヨーク州 バッファロー動物園の人工哺育の赤ちゃんのルナが初めて戸外へ
アメリカ・ニューヨーク州 バッファロー動物園の赤ちゃん、ルナの近況を伝えるTVニュース映像
アメリカ・ニューヨーク州 バッファロー動物園の赤ちゃん、ルナが雪の舞う戸外へ
アメリカ・ニューヨーク州 バッファロー動物園の赤ちゃん、ルナが遂に一般公開へ
アメリカ・ニューヨーク州、バッファロー動物園の赤ちゃんの「ルナ」が仮称から正式の名前となることが決定
アメリカ・ニューヨーク州、バッファロー動物園のルナの近況 ~ 人間の視線への意識と興味
(*以下、カリー関連)
アメリカ・アラスカ州の北西岸でホッキョクグマの孤児の赤ちゃんが保護!
アメリカ・アラスカ動物園で保護された野生孤児のカリーが今春に期限付きでバッファロー動物園へ
アメリカ・アラスカ動物園で保護されている野生孤児のカリーの一般公開が始まる
アメリカ・アラスカ動物園で保護されている野生孤児のカリーを間近で撮り続けている専属カメラマンの視点
アメリカ ・ アラスカ動物園で保護されている野生孤児の赤ちゃん、カリーの近況と今後について
アメリカ・アラスカ動物園の野生孤児カリー、来週後半に ニューヨーク州のバッファロー動物園へ
アメリカ・アラスカ動物園の野生孤児カリーがニューヨーク州のバッファロー動物園に無事到着
by polarbearmaniac | 2013-08-02 22:30 | Polarbearology

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