街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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アメリカ・バッファロー動物園の新施設建設資金の露骨な寄付募集活動に眉をひそめる地元の財団・基金

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ルナ Photo(C) Rob Banks/WYRK

2日に 「アメリカ・バッファロー動物園がルナの移動可能性に言及 ~ 報道されている状況は本当に事実なのか?」 という投稿で、アメリカ・ニューヨーク州のバッファロー動物園の新施設建設資金の寄付募集活動が、人工哺育で育てられたルナの移動の危険性を誇大宣伝することによって行われているのではないかという、私の抱いた疑念について述べました。 そうした中でバッファロー市の地元紙である “The Buffalo News” 紙が、この募金活動についての地元の反応その他を詳しく伝える記事を10日付けで掲載しました。その内容を読みますと、まさに私の抱いていた疑念がほぼ正しかったことを裏付ける内容でした。

同紙はまず、この募金活動がその最終段階に入ってルナとカリーという2頭のホッキョクグマをひたすら正面に立たせて、彼らが今後もバッファロー動物園に留まるためには寄付が必要だということを死にもの狂いの形相で訴えていることについて、ここ数か月間地元では眉をひそめる意見が目立ってきたことを報じています。 通常はこのような寄付提供者となるべき各種の財団や基金などの組織が、ホッキョクグマが他園に移動するかもしれないといった点に大きく視点を当てて危機感を煽って寄付金募集の最終段階を突破しようとするバッファロー動物園のやり方に大きな違和感を覚えているとのことです。 もっと他の文化事業に寄付を行った方がよいというのが本音だそうです。
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バッファロー動物園のルナとカリー Photo(C)WNN

"The Buffalo News" 紙は、そもそもルナの所有権を持っているのはバッファロー動物園であり、そのバッファロー動物園が建設資金の全ての調達まで、あともう一息にまで達しているという状況で、それでも果たしてホッキョクグマを他園に移すことを要求するような教条的な機関があるのかと不信に考え、問題のアメリカ動物園水族館協会 (AZA) に取材を行い、果たして本当にバッファロー動物園が建設資金の全てをこの秋までに調達できなければルナが他園に移動せねばならないというのは本当なのかと、PBSP (Polar Bear Survival Plan) を監督するAZAの委員会の委員に尋ねてみたところ、「そんなことは事実無根である (baseless) 。」 との回答があったそうです。 要するにフェルナンデス園長がPBSP を寄付募集を強く迫るために勝手に歪めて、しかも誇大宣伝しているという可能性が現実のものであることを示しているように思われます。

フェルナンデス園長は2011年から、新施設が予定通り完成しなければホッキョクグマを他園に移動させねばならないという可能性を言い続けて寄付募集活動に取り組んできたわけですが、ここにきてルナとカリーという2頭の可愛らしい姿を露骨に全面に立てて、がむしゃらに寄付を呼びかけているやり方はいささかやり過ぎだということが地元の識者も十分感じていることのようです。 こういうことをやり続けますとホッキョクグマに対する反発も呼び起こす結果になりかねません。 それからもうひとつですが、アメリカのホッキョクグマ繁殖計画 (PBSP - Polar Bear Survival Plan) といえども、やはり所有権 (ownership) というものを制限するまでの強制力はないということです。

それからこの地元TVの映像は地元の7歳の少女がバッファロー動物園に寄付するためにジュエリーを作って売ろうとしていることを伝えるています(冒頭にCMが入ります)。 この少女はなんとしてでもルナをバッファロー動物園に引き留めておきたいと願って一生懸命にお母さんと一緒にジュエリーを作ったのでしょう。 こうした少女もいるわけです。 バッファロー動物園が「寄付が全て集まらねばルナは他園に移動させられてしまう」 というような不正確な言い方で寄付を募集していることは、やはり不誠実ですね。

(資料)
The Buffalo News (Aug.10 2013 - Buffalo Zoo’s fundraising push leaves a chilly impression)
Buffalo.com (May.3 2013 - Little girl makes, sells jewelry to raise funds for Luna)

(過去関連投稿)
動物園による情報公開 ~ アメリカ・バッファロー動物園でのホッキョクグマ連続死亡事件
繁殖のために住み慣れた動物園を旅立ったホッキョクグマ ~ ヘンリー・ヴィラス動物園のナヌークへの期待
アメリカ・バッファロー動物園のホッキョクグマ新展示施設建設へ篤志家の多額な資金寄付
アメリカ・ニューヨーク州、バッファロー動物園の苦悩 ~ ホッキョクグマ新施設建設の資金不足
アラスカで保護された野生孤児カリーをめぐるバッファロー動物園とセントルイス動物園との微妙な関係
アメリカ ・ ニューヨーク州、バッファロー動物園で遂にルナとカリーが初顔合わせ
アメリカ ・ バッファロー動物園でルナとカリーの正式な同居展示が開始 ~ カリーの今後について
アメリカ・ニューヨーク州 バッファロー動物園でのルナとカリーの同居は順調に推移
アメリカ・ニューヨーク州 バッファロー動物園の新施設建設の不足資金を州政府が一部負担の意向示す
アメリカ・バッファロー動物園がルナの移動可能性に言及 ~ 報道されている状況は本当に事実なのか?

(*以下、ルナ関連)
アメリカ・ニューヨーク州、バッファロー動物園でホッキョクグマの赤ちゃん誕生! ~ その姿が突然公開
アメリカ・ニューヨーク州 バッファロー動物園の赤ちゃんの追加映像 ~ ララの子供たちの従妹であるルナ
アメリカ・ニューヨーク州 バッファロー動物園の人工哺育の赤ちゃんのルナが初めて戸外へ
アメリカ・ニューヨーク州 バッファロー動物園の赤ちゃん、ルナの近況を伝えるTVニュース映像
アメリカ・ニューヨーク州 バッファロー動物園の赤ちゃん、ルナが雪の舞う戸外へ
アメリカ・ニューヨーク州 バッファロー動物園の赤ちゃん、ルナが遂に一般公開へ
アメリカ・ニューヨーク州、バッファロー動物園の赤ちゃんの「ルナ」が仮称から正式の名前となることが決定
アメリカ・ニューヨーク州、バッファロー動物園のルナの近況 ~ 人間の視線への意識と興味
(*以下、カリー関連)
アメリカ・アラスカ州の北西岸でホッキョクグマの孤児の赤ちゃんが保護!
アメリカ・アラスカ動物園で保護された野生孤児のカリーが今春に期限付きでバッファロー動物園へ
アメリカ・アラスカ動物園で保護されている野生孤児のカリーの一般公開が始まる
アメリカ・アラスカ動物園で保護されている野生孤児のカリーを間近で撮り続けている専属カメラマンの視点
アメリカ ・ アラスカ動物園で保護されている野生孤児の赤ちゃん、カリーの近況と今後について
アメリカ・アラスカ動物園の野生孤児カリー、来週後半に ニューヨーク州のバッファロー動物園へ
アメリカ・アラスカ動物園の野生孤児カリーがニューヨーク州のバッファロー動物園に無事到着
by polarbearmaniac | 2013-08-13 23:45 | Polarbearology

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