街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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ロシア極北 ・ カラ海に面したディクソンの街に現れるホッキョクグマたち ~ 住民とホッキョクグマの未来

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Photo:Диксон Dikson
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ロシア極北・カラ海に面したディクソン (Диксон) という街はロシアでも最も北に位置する北極圏の街で、ここにはソ連時代に海軍の重要な施設があり5000人ほどの人口があったもののソ連崩壊後は人口が減り始め現在では往時の十分の一ほどの人口しかない寂れた街になりつつあります。 街には瓦礫や金属のスクラップ、廃棄されたドラム缶などが散見され、まさに朽ち果てていく街とでいったような様相を呈しています。 そういった様子を写真でご紹介しておきます。



この街では以前からよくホッキョクグマが出没していたそうですが最近になってその数が非常に増えてきて、白昼でも街中をはばかることなく堂々と歩き回ったり時としては人間を襲おうとすることもあるそうです。 私などは不謹慎な人間ですので、わざわざ動物園にホッキョクグマを見に行く必要がなく彼らのほうからこちらに会いに来てくれるのでありがたいなどと考えてしまうのですが、街の住民にとっては非常に迷惑な訪問者だということになるでしょう。 そういったこのディクソンの街に出没したホッキョクグマの映像をまずご紹介しておきます。





こうした衰退の様相が顕著な街であるディクソンの街に、ノルウェーを本拠とする「ノルウェー・バレンツ海事務局」が運営するニュースサイトのバレンツ・オブザーバー (Barents Observer) の記者が取材に訪れました。 街に到着した記者は早速取材を開始しますが、その記者の到着する一時間ほど前にも若いホッキョクグマが街に現れて住居に押し入ろうとし、さらに住民の一人に襲い掛かろうとしたそうですが威嚇射撃によってツンドラのほうに逃げて行ったという事件があったそうです。 その前日にも街の街路に現れたホッキョクグマがいたそうで、女性があわてて逃げるという事件があったそうです。 この街の警官に言わせれば、やはりこれほど頻繁に街にホッキョクグマが出現し始めた理由は地球温暖化によって海から氷が今までよりも早い時期に消えてしまうため、陸に残ったホッキョクグマが好奇心によって街に現れるようになったのではないかということのようです。
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Photo(C)Gunnar Sætra/Forskning.no

記者は事件のあった住居のそばに住む10歳になる2人の少女に話を聞くのですが、その少女たちはシベリアハスキー犬を従えています。 この街の子供たちの多くはこうして犬を連れていてその犬と遊んでいるケースが多いそうです。 少女たちに言わせれば、夜になると犬を戸外に出しておきホッキョクグマを追い払う役目をさせているとのこと。 そして昼間もこの犬たちは子供たちをホッキョクグマから守る役割を期待されているようです。
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ともあれ、将来ロシアの内航船による北極海航路が機能して船舶が港に入港でもするようになればこういった北極圏の街は再び活況を呈するようになる可能性はありますが、そういった明るい未来は今のところ明確には見えてこない状況のようです。 当分は寂びつつあるこの街に住民がいる限りはホッキョクグマの頻繁な出現に住民は悩まされ続けることになるのでしょう。 いや、そもそもホッキョクグマすら生存環境の悪化によりこの街からも姿を消す可能性すらあるでしょう。 この街から住民が全て消えるのが早いか、それともホッキョクグマたちが数が減っていなくなるのが早いか、この地域に暮らす人々にとってもホッキョクグマにとっても、それは厳しい未来が待っているのかもしれません。
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Photo:Live Journal.com/live87
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Photo(C)Gunnar Sætra/Forskning.no

(資料)
Barents Observer (Aug.15 2013 - «Собаки защищают нас от белых медведей»)
Forskning.no (Aug.16 2013 - Over aktivt hav til en halvdød by og en isbjørn med uviss skjebne)
Live Journal.com/live87 (Jan.12 2011 - Диксон – фотографии)
by polarbearmaniac | 2013-08-17 07:00 | Polarbearology

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