街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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カナダ・ウィニペグのアシニボイン公園動物園で暮らすハドソンの夏 ~ 払拭した「人工哺育」への特殊感情

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ハドソン Photo(C)Assiniboine Park Zoo

2011年10月11日にカナダのトロント動物園で誕生し人工哺育で育てられた雄のハドソンについてはその誕生から、彼が今年の2月にマニトバ州・ウィニペグのアシニボイン公園動物園に移動したことも含め、その成長を追いかけ続けています。 ホッキョクグマの人工哺育というものを何か特別なものとして見るというという傾向は、どうもドイツと日本に非常に強いようで、それはクヌートとピースという例を挙げてみれば理由はわかるような気がします。 クヌートにあっては育ての親であった飼育員のトーマス・デルフラインさんの死と、そしてクヌート自身の悲劇的な死によって「クヌートの物語」は永遠化されたと言えるでしょう。 一方ピースの場合は、その初期の成長過程と彼女にふりかかった「癲癇」という病によって、彼女の生きざまは独特の色合いを帯びたものになっています。

一方で、このハドソンにしてもスカンジナヴィア野生動物公園のシークーにしても、人工哺育というものに付きまといがちな一種のそうした情緒的な思い入れからは無縁な存在となっていることに安堵感を覚えるわけです。 今年の年末、札幌や大阪やその他の都市の動物園で仮に万が一にでも人工哺育を行うという事態に直面すれば、試されるのはその動物園と飼育員さんではなく我々のような外野の人間の側でしょう。 こうした人工哺育にまつわる情緒的な思い入れをキッパリと立ち切ることが求められるわけです。 TVのドキュメンタリー番組や映画などによって描かれる「物語」を拒否し、マルルやポロロやミルクのような普通のホッキョクグマとして見てやることが必要でしょう。

こうして生まれ故郷のトロント動物園からウィニペグのアシニボイン公園動物園に約半年前に移動してきたハドソンはもう間もなく2歳になろうとしています。 この下の映像は今までご紹介していなかったカナダ放送協会の映像で、この4月上旬頃の映像でしょう。 新しい場所にかなり慣れ親しんだようですが近づいてくる来園者には興味深々のようです。 冒頭にCMが入ります。



前回の「カナダ・マニトバ州のアシニボイン公園動物園のハドソンの近況」という投稿で触れていますので是非それをまたご参照いただきたいのですが、飼育員さんは非常に考えながらハドソンの飼育を行っています。前回ご紹介した訓練のほかにも、このハドソンをいかに退屈させないかに注意を払っています。 この夏の彼の様子をカナダのTV番組が伝えている映像がありますので、それを見てみましょう。 この中で飼育員さんはハドソンに30種類ものおもちゃを代わる代わる与えて彼が退屈しないようにしていると語っています。 おもちゃに飽きないように毎日異なったものを与えているということです。 この日はポリバケツにボールを突っ込んでなかなか取り出せないような状態にして彼に与えています。



次の映像は真夏にハドソンに雪のプレゼントです。



このアシニボイン公園動物園 (Assiniboine Park Zoo) というのは今更言うまでもなく2008年11月に当時世界最高齢の42歳で亡くなったデビーが暮らしていた動物園であり、そして仙台の八木山動物公園のナナが生まれた動物園でもあります。 ナナはこの偉大だったデビーの娘だったわけですが、そういったことに関しては「カナダ・マニトバ州、アシニボイン公園動物園の新展示場施設の建設  ~  偉大なるデビーの遺したもの」をご参照下さい。

(資料)
ChrisD.ca (Aug.18 2013 - ‘Polar Party’ to Keep It Cool at Assiniboine Park Zoo)
CBC (Apr.12 2013 - Hudson the polar bear getting settled at Winnipeg zoo)

(過去関連投稿)
カナダ・トロント動物園でホッキョクグマの赤ちゃん誕生! ~ 今シーズン最初の出産ニュース
カナダ・トロント動物園で誕生の赤ちゃん、生き残った2頭のうち1頭が死亡
カナダ・トロント動物園にて人工哺育で育てられた赤ちゃんが遂に一般公開
カナダ・トロント動物園で人工哺育されている赤ちゃんの名前が決まる
カナダ・トロント動物園で人工哺育されたハドソンの近況
カナダ・トロント動物園で人工哺育されたハドソンの満一歳のお誕生会が開催される
カナダ・トロント動物園のハドソンがマニトバ州のアシニボイン公園動物園へ移動 ~ 新天地への船出
カナダ・トロント動物園のハドソンがウィニペグのアシニボイン公園動物園に無事到着
カナダ・マニトバ州のアシニボイン公園動物園で遂にハドソンが一般に公開される
「ホッキョクグマ飼育マニュアル(Care Manual)」よりの考察(2) ~ ホッキョクグマの訓練をどう考えるか
カナダ・マニトバ州のアシニボイン公園動物園のハドソンの近況

(*以下、アシニボイン公園動物園関連)
カナダ・マニトバ州、アシニボイン公園動物園内に建設中のホッキョクグマ保護・厚生センターについて
カナダ・マニトバ州、アシニボイン公園動物園内にホッキョクグマの保護・厚生施設が完成
カナダ・マニトバ州、アシニボイン公園動物園の新展示場施設の建設  ~  偉大なるデビーの遺したもの
by polarbearmaniac | 2013-08-31 01:00 | Polarbearology

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