街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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ロシア・シベリア中部、クラスノヤルスク動物園の野生出身の新ペアの繁殖への期待 ~ 日本は果実を狙え

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クラスノヤルスク動物園の野生出身の雌のオーロラ(alias ヴィクトリア)
Photo(C)Reuters

ロシア・シベリア中部の都市クラスノヤルスク市の動物園 (Роев ручей) と言えば、先日この動物園からセードフ司令官がスタールイ・オスコル市のスタロースコルィスク動物園に移動して、そこで飼育されているサーカス団出身のラパとパートナーになり繁殖を目指すこととなった件について何度か投稿しています。 実はそれ以前にも極北のタイミール半島で孤児となっていた雌の双子の赤ちゃんが保護されて、このクラスノヤルスク動物園に送られたこともご紹介しています。 そしてこの雌の双子(オーロラとヴィクトリア)のうちオーロラがイジェフスク動物園に移動したことも今まで漏らさず全て投稿しています(過去関連投稿参照)。
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さて、以前にも述べましたが、ロシアの動物園でのホッキョクグマの繁殖は大部分がペアの最低一頭を野生出身個体にあてることで血統の多様性を可能な限り維持していこうという方針であるわけで、この野生出身の雌の双子のうちクラスノヤルスク動物園に残った個体のパートナーとしては、あのウスラーダの息子であるセードフ司令官よりも、同じく野生孤児であるウランゲリ島出身の雄のフェリックスのほうが好ましいと考えられたわけで、そういった理由もあってセードフ司令官はクラスノヤルスク動物園を出たという一連の流れです。 クラスノヤルスク動物園はなんとかしてホッキョクグマの繁殖に成功したいと強く望んでいるわけで、そのためには雄としてはこの動物園一の人気者だったセードフ司令官よりも、地味な存在だった野生出身の7歳のフェリックスを選択したというわけです。
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野生出身の雄のフェリックス (クラスノヤルスク動物園) 
Photo(C)Reuters

タイミール半島で孤児となっていた間もなく4歳になる実に美しく成長した雌の双子、つまりオーロラとヴィクトリアのうち、オーロラはイジェフスク動物園に移動したため、クラスノヤルスクに残ったヴィクトリアですが、その後このクラスノヤルスク動物園及び地元の報道機関は彼女のことをヴィクトリアではなくオーロラと呼び続けているのは、多分「オーロラ (Аврора)」 のほうが「ヴィクトリア (Виктория)」 よりもロシア語として発音がし易いためだと思われます。 よって本ブログでもクラスノヤルスク動物園に残った双子のうちの一頭であるヴィクトリアを「オーロラ」と呼んで、そう表記することとします。
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野生孤児で保護されたオーロラとヴィクトリアの双子姉妹 (2010年5月)
Photo(C) Ильи НАЙМУШИН / РИЦ "ТАСС-Сибирь"

このオーロラとヴィクトリアが野生の孤児としてクラスノヤルスク動物園で保護された直後の映像をご紹介しておきます。



それからこの下の映像は一昨年の夏のもので、2歳半となった双子姉妹の様子を見ることができます。



クラスノヤルスク動物園のホッキョクグマ舎は貧弱なもので檻というべきかケージというべきか、そういった場所でホッキョクグマが飼育されているのですが、このたびオーロラの飼育展示場に新しいプールと滝が新設され、先月28日にそこにオーロラが移動したそうです。 下の写真をクリックしていただくと、地元TV局のニュース映像でオーロラが元気にそのプールに飛び込むシーンをご覧になれます。
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クラスノヤルスク動物園としても貧弱な施設であっても、なんとか飼育環境を向上させて繁殖を成功させようと懸命の努力を行っているようです。 このプールの新設された場所でオーロラを飼育し、格子越しに雄のフェリックスとの相性を確かめて、しかるべき時期に同居させようというのがクラスノヤルスク動物園の狙いというわけです。 これでオーロラとフェリックスという野生孤児出身のペアの間での繁殖が成功すれば、サンクトペテルブルクのウスラーダとモスクワのシモーナを中心とした「アンデルマ/ウスラーダ系」とは全く異なるロシアの動物園での新しい血統が誕生するわけであり、その意義は極めて大きいと考えられます。 再来年にでも仮にこの新しいペアの間での繁殖が成功すれば日本の動物園は、野生出身同士のこのペアによって誕生した新しい血統の個体を躊躇なく導入すべきでしょう。  その個体が仮に雄ならば、円山動物園はそれをデナリの後継者にすべきと思います。 マルルとポロロのパートナーとしても申し分ないでしょう。 少なくともそういった将来まで想定して、いったい世界のどこの動物園に新しい血統が誕生しうるかなど、世界のホッキョクグマ界を今から眺望しておくべきでしょう。
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オーロラ Photo(C)Reuters

このペアの間の繁殖が可能となるためにはまず、このオーロラとフェリックスとの相性が良いことが最初の基本条件であるわけです。 果たしてクラスノヤルスク動物園の目論見通りに事が運ぶかについては注意して地元の報道を追い続けていきたいと思っています。 シベリアの一都市の動物園に暮らすホッキョクグマのことであっても、将来的には日本の動物園にも少なからぬ影響をもたらすことになるわけです。
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オーロラの飼育場の新しいプールと滝 Photo(C)vk.com/roevruchey

(資料)
«Государственный интернет-канал «Россия» (Aug.29 2013 - В "Роевом ручье" для белых медведей устроили водопад)
ИАА «Информбюро» (Aug.28 2013 - В красноярском зоопарке построили водопад для белых медведей)
«Лаборатория новостей» (Aug.28 2013 - В вольере для белых медведей появился водопад)
«НГС.НОВОСТИ» (Aug.27 2013 - У медведей в зоопарке появился водопад)
Газета.ua (Aug.31 2013 - В пригороде Красноярска в зоопарке для медведице-красавицы открыли новый дом)
ИАА «Информбюро» (Apr.5 2011 - «Шушенская марка» взяла под опеку двух белых медвежат)
«НГС.НОВОСТИ» (May.17 2010 - Красноярский зоопарк приютил медвежат-сирот)

(過去関連投稿)
(*オーロラ関連)
ロシア極北・タイミール半島でホッキョクグマの2頭の赤ちゃんを保護!
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(*フェリックス関連)
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ロシア・シベリア中部、クラスノヤルスク動物園のプール開き
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(*セードフ司令官関連)
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by polarbearmaniac | 2013-09-03 01:00 | Polarbearology

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