街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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中国・黒龍江省、哈爾濱 (ハルビン) 極地館で暮らすベーリングとマリーギン ~ ついに所在が判明する

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ベーリング Photo(C)黒龍江日報
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マリーギン Photo(C)mafengwo.com

ロシア・サンクトペテルブルクのレニングラード動物園で2002年11月にウスラーダお母さんから誕生した雄の三つ子 (セードフ司令官、ベーリング、マリーギン) については以前から何回が触れていました。 この三つ子のうちセードフ司令官は2004年からシベリア中部のクラスノヤルスク動物園で飼育されていたものの、サーカスで長年スケートの演技をしていたラパが引退してスタールイ・オスコル市にあるスタロースコルィスク動物園で飼育されることになったのに伴なって、去る6月にセードフ司令官はラパのパートナーとなるべくクラスノヤルスク動物園を旅立ってスタロースコルィスク動物園に移動した件はすでに詳しくご紹介しています(過去関連投稿参照)。
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ウスラーダお母さんとセードフ司令官、ベーリング、マリーギンの三つ子
(2003年撮影) Photo(C)Зоо Союз

さて、この三つ子のうち残る2頭については中国に移送されたことまではわかっていましたが、いったい現在どこでどうしているのかについては不明のままでした。 この経緯については是非、「ロシア・シベリア中部のクラスノヤルスク動物園のセードフ司令官の10歳のお誕生会 ~ 行方不明の兄弟たち」 という投稿をじっくりとご参照頂ければ幸いです。 それを先にご参照いただくと、本稿の意味がよくご理解いただけるものと思います。
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ベーリングとマリーギン Photo(C)人民網
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私は長いこと、このベーリングとマリーギンの行方を追いかけていましたが、とうとう根拠をもってその所在を掴むことができました。それは、中国・黒龍江省、哈爾濱(哈尔滨 – ハルビン)市の哈爾濱極地館で2頭そろって飼育されているということです。 実はこの哈爾濱極地館については以前に 「中国・黒龍江省、哈爾濱極地館のホッキョクグマたち ~ ブラックホールの内側の謎」 という投稿でご紹介していましたが、その時には私はこのホッキョクグマたちの一頭が2003年にモスクワ動物園で生まれた個体ではないかと考えていたわけで、そうすると残りの1頭はどこから来たのかが分からず、結局この2頭の正体を解明することはできなかったわけでした。
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ベーリングとマリーギン Photo(C)人民網

今回は中国国内の報道を、かなり古い時期まで遡って丹念にチェックしてみたところ、2005年12月13日付の地元の黒竜江日報の記事を見つけました。 それには1頭のホッキョクグマの写真付きで、前日の12月13日の午後に3歳になった2頭のロシア出身の雄のホッキョクグマが哈爾濱極地館に到着したことを報じています。 そしてそれ以降のいくつかの報道でこの雄の2頭の「堂吉」と「诃德」は兄弟であると報じられています。 この報道の日付から考えると、この2頭はまさに3歳になったばかりのベーリングとマリーギンを除いて、他のロシア出身の個体ではありえないということが判明したわけです。 冒頭の写真と、それから私が以前の投稿でご紹介したレニングラード動物園を旅立つベーリングの写真を比較してみますと、これは同一の個体であることに間違いないからです。 そして、この2頭のうちのもう一頭の写真(冒頭の写真の次の下の写真です)は幾分顔つきが違うわけで、こちらのほうがマリーギンに間違いないでしょう。 サンクトペテルブルクを出発してから1年後に哈爾濱(ハルビン)に到着したことになりますが、その間の1年間の空白は多分、最初の仕向地だった大連の森林動物園で飼育されていたものと思われます。 これで遂にあのウスラーダが2002年11月に産んだ三つ子の所在はこれで全部判明したことになるわけです。 最近のこのベーリングとマリーギンの様子を映像で見てみましょう。 これは今年の1月の映像です。



さて、このベーリングとマリーギンに関する報道をいくつかチェックしてみましたが、2010年の初頭にこの2頭はかなり元気がなくなって食欲が落ちたということがあったそうです。 獣医さんは展示場の照明を調整してみたり、食事についてもやや変化を与えてみたところ、この2頭はだんだんと元気を取り戻すということがあったそうです。 また、2012年2月に诃德(これはべーリングなのかマリーギンなのかは不明です)の眼がだんだんと細くなって瞬きばかりし始め苛立った態度になったそうで、どうも目の病気ではないかと考え、獣医さんは狭いケージの中に入れた诃德に好物スイカを与えて彼が夢中で食べているときに目をチェックしてみたところ、目に中に赤い点が見つかり、どうもそれは塗料の付着したゴミが誘発した炎症らしいと診断されたそうです。 麻酔をかけて治療するのは極力回避したかったそうで、眼科の専門医は诃德に対してまた同じように好物のスイカを与えて彼がそれを食べているときに、目薬を入れた注射器から針を取り、そしてその注射器から薬を押し出すようにして彼の目にかけたそうです。 诃德はその後すっかりと回復しているそうです。
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诃德の目の治療 Photo(C)哈爾濱新聞網

ともかくも、こうしてウスラーダの三つ子、つまり仙台のカイと静岡のロッシーの兄たちは、こうしてロシアのスタールイ・オスコル市と中国の哈爾濱 (ハルビン) 市で暮らしているということになります。 飼育環境は良くありませんが、元気でいてほしいと思います。 私はあれは確か2008年の春でしたか、哈爾濱(ハルビン)を訪問してあの中心部のロシア建築を何枚もカメラに収めてきましたが、今度は近いうちに是非また哈爾濱(ハルビン)を訪れて今度はウスラーダの子供たちに会ってきたいと思います。
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ベーリングとマリーギン Photo(C)哈爾濱極地館

(資料)
黒龍江日報 (Dec.13 2005 - 来自俄罗斯的北极熊在哈尔滨极地馆安家
人民網 (Jan.31 2010 - 哈尔滨极地馆北极熊与游客见面)
新华网 (Feb.3 2010 - 哈尔滨极地馆北极熊告别抑郁)
哈爾濱新聞網 (Feb.4 2012 - 极地馆北极熊“闹眼睛” 驯养师巧喷眼药水医治

(過去関連投稿)
中国・黒龍江省、哈爾濱極地館のホッキョクグマたち ~ ブラックホールの内側の謎
中国・黒龍江省、哈爾濱極地館のホッキョクグマ、河徳の眼科治療
ロシア・シベリア中部のクラスノヤルスク動物園のセードフ司令官の10歳のお誕生会 ~ 行方不明の兄弟たち
ロシア・シベリア中部、クラスノヤルスク動物園のセードフ司令官の希望無き恋 ~ 野生出身の雌は高嶺の花
ロシアの氷上サーカス団でスケート演技をするラパに遂に引退の日来る ~ スタロースコルィスク動物園へ
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ロシア・シベリア中部 クラスノヤルスク動物園のセードフ司令官が同園を出発し、五千キロの移動の旅へ
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ロシア西部、スタロースコルィスク動物園でのラパとセードフ司令官の近況 ~ ラパの健康状態への危惧
ロシア西部、スタールイ・オスコル市のスタロースコルィスク動物園で、ラパとセードフ司令官の同居が始まる
by polarbearmaniac | 2013-09-05 02:00 | Polarbearology

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