街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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アイラ、ミルク、マルル、ポロロの四頭の雌を比較する ~ 同時期に一番 「優れている(いた)」 のは誰か?

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アイラ (2011年9月30日撮影 於 札幌・円山動物園)
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ミルク (2013年8月31日撮影 於 男鹿水族館)
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マルル (2013年9月7日撮影 於 札幌・円山動物園)
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ポロロ (2013年9月8日撮影 於 札幌・円山動物園)

生後8~9か月目というところで男鹿水族館のミルクと円山動物園のマルル、ポロロ、それに円山動物園生まれのアイラを加えて比較してみたいと思います。 実はこうした比較というのは実際にあまりやりたがらないという傾向があるようで、なんとなくそういう雰囲気の理由はわかるような気もするのですが、私自身の印象だけを述べておくことにします。 これはいわゆる「事実」そのものではなく「記憶された事実」ということでご理解いただきたく思います。

現時点でミルク、マルル、ポロロと比較すると、おもちゃを使う遊び方という点でミルクのほうがマルルやポロロよりも一歩も二歩も先を行っている(つまり優れている)と言わざるを得ません。 おもちゃを持ったまま同時に別の動作を行うという、いわゆる複合的な行動を行うのはミルクだけであって、マルルやポロロはおもちゃそのものを支配するという以上の行動はやらない(やれない)ように見えます。 つまらないことのようですが実はこれは幼年個体の能力差を推し量る最大の重要な要素だろうと考えます。 ぶっちゃけた話、簡単に言えば現時点に関する限り、ミルクのほうがマルルやポロロよりかなり優秀だということです。 

ミルク (Aug.31 2013)

ミルク (Aug.31 2013)

なぜこういう差がついているのかの理由ですが、これも一応ある程度推量ができます。 マルルとポロロの場合は競争相手というライバルが存在しているために、まずそのおもちゃの支配権を確立することが重要であるということです。 だから、それ以上そのおもちゃを使って多様な遊び方を工夫するというところまでは行けないということです。 一方ミルクは、そういう競争相手が存在しないので、いったん入手したおもちゃとじっくり向き合うことが可能であるということです。

さて、そうなると「一頭の場合のほうが二頭の場合よりも常に優れている。」というテーゼが成立するのかということが問題になります。 ここでアイラの場合を思い出してみることにします。 仮にこのテーゼが成立するとすれば、アイラのほうがマルルやポロロよりも同時期にはおもちゃの使い方がうまかったということになりますが、果たしてどうでしょうか? 私の記憶や、いろいろな方々の撮られた同時期のアイラの映像を見て思うのですが、やはりアイラのほうがマルルやポロロよりもおもちゃの使い方が優れていたように思います。 そうなるとこれは、現在のミルクがマルルやポロロよりも優れているということの理由と全く同じことがアイラにも当てはまるのかということが問題となるのですが、実はこれが問題です。 思い出してみれば、アイラの場合はララお母さんが自ら意図的にアイラのライバルとしての役割を演じてやっていたケースがよくあったわけです。 実はいくつかの映像があるのですが、あまり例は良くないですが私の撮った映像では以下のようなものがそうしたシーンであるように思います。 これはいずれも2011年10月と11月の映像です。

アイラとララお母さん (Oct.24 2011)

アイラとララお母さん (Nov.4 2011)

ということからさらに考えを進めますと、アイラの場合はおもちゃの支配権を得るための競争相手が存在していたにもかかわらず、おもちゃの使い方が巧みだったというようにも言えるわけです。 さて仮にそう言えるとしますと、おもちゃの使い方が巧みである理由は競争相手の存在の有無とはあまり関係がないのではないかということにもなります。 さらに考え方を進めますと、おもちゃの支配権を脅かされるライバルがいたにもかかわらず、おもちゃを工夫して巧みに扱うことのできたアイラは同時期の現在のミルクよりもさらに幾分優れていたのではないかと事後的に解釈することが可能であるということを意味します。 しかしララお母さんはライバルのいなかったアイラのために自らその役割を演じたということは、今にして思えば大変なことのように思います。 母親としての巧みさを今更ながら感じさせてくれるように思います。 さらに上の最初の映像で言えば、ララお母さんは自分のおもちゃ遊びから娘を排除することはなかったが、クルミお母さんは娘を排除しているという違いもあるわけです。 ということで、「一頭の場合のほうが二頭の場合よりも常に優れている。」というテーゼの有効性は依然として維持されるように思われるものの、このテーゼの有効性の根拠を競争相手の存在の有無がおもちゃへの集中度に濃淡を生じさせるのだという解釈に求めるのは、若干無理があるかもしれないということです。

現時点ではミルクに劣っているように感じられるマルルとポロロですが、これから先の道のりはまだまだ長く、そして優雅さのなかに逞しさを感じさせてくれる双子姉妹ですから、優れた母親の下でこれからの成長が楽しみであることは間違いありません。 ミルクについては、これは私の勝手な思い過ごしかもしれませんが最近感じるのは、どこかピリカの場合と似たような運命に潜む「薄幸の影」といったものがあるような気がしてなりません。 ミルクの成長も注意深く追い続けたいと思っています。
by polarbearmaniac | 2013-09-09 23:45 | Polarbearology

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