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街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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モスクワ動物園のシモーナお母さんの三つ子の一頭の雌がウクライナ・ムィコラーイウ動物園に移動へ

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モスクワ動物園の三つ子のうち、雌の「甘えっ子ちゃん」 
(2012年9月22日撮影 於 モスクワ動物園)

モスクワ動物園で一昨年2011年11月にシモーナお母さんから誕生した三つ子のうちの雌の一頭(つまり私の呼び方では「甘えっこちゃん」)が、ウクライナの黒海に近いムィコラーイウ (Миколаїв、*ソ連時代のウクライナで公用語だったロシア語ではニコラーエフ / Николаев) 市のムィコラーイウ動物園 (Миколаївський зоопарк) に移動することが決定しました。 
モスクワ動物園のシモーナお母さんの三つ子の一頭の雌がウクライナ・ムィコラーイウ動物園に移動へ_a0151913_23245443.jpg
ウクライナの報道が伝えるムィコラーイウ市のヴラディーミル・コレニュギン市長が一昨日11日に行った記者会見の内容によりますと、長年モスクワ動物園とホッキョクグマの入手について交渉してきたムィコラーイウ市は、このたびモスクワ動物園との合意が成立し、年内に雌の2歳になる幼年個体をムィコラーイウ市に引き渡すということで契約が取り交わされたとのことです。 契約は「条件付無償契約」であり (ロシア語の “Условия договора кабальные, не по деньгам” をそう訳しておきます)、付された条件は、この雌のホッキョクグマが産んだ子供の所有権は全てモスクワ動物園に帰属するという、これはかなり厳しい条件の契約のようですが、ムィコラーイウ市はどうしても動物園でホッキョクグマの飼育を復活させたいという熱意から、この条件を受け入れたようです。 ムィコラーイウ動物園は早ければ11月にこの雌の幼年個体を受け入れる意向だそうです。 
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記者会見するコレニュギン市長 Photo(C)НикВести
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モスクワ動物園の三つ子のうち、雌の「甘えっ子ちゃん」 
(2012年9月23日撮影 於 モスクワ動物園)

実はこの件については6月末の投稿である「ロシア・西シベリア、ノヴォシビルスク動物園にモスクワ動物園から雄の幼年個体が到着 ~ 謎と暗黒の闇」 においてムィコラーイウ動物園がモスクワ動物園から雌のホッキョクグマを導入したいと交渉していることを御紹介していましたが、やはりその交渉がまとまったということになるのだと思います。 そしてこの2歳になろうという雌の幼年個体は、モスクワ動物園で一昨年4頭誕生している赤ちゃんたちのうちで唯一の雌であるシモーナお母さんの産んだ三つ子の一頭、すなわち「甘えっ子ちゃん」ということになるわけです。 モスクワ動物園の三つ子のうち、すでに雄の一頭であるヴァロージャ (Володя) は先日、旧東ベルリンのベルリン動物公園に移動し、そして公開された件は「ベルリン動物公園でモスクワ動物園生まれのシモーナの三つ子の一頭、ヴァロージャが一般公開される」という投稿でご紹介しています。この下の映像は私が2012年の3月31日にモスクワ動物園で撮ったものですが、最初に右端のシモーナお母さんの体の下にいるのがこの「甘えっ子ちゃん」です。 後半で今度は「慎重派ちゃん」がお母さんの体の下に入りますが、おそらくこれが先日ベルリン動物公園に移動したヴァロージャではないかと思っています。



ムィコラーイウ市のコレニュギン市長は今度は彼女のパートナーを探したいという意向だそうですが、ロシアの極北で孤児となって保護される雄の個体あたりを狙おうということであるならばそれは無理です。 何故なら、かつてのソ連時代であれば連邦政府の自然管理局 (RPN) がそういった個体を供給することは可能でしたが現在はウクライナはロシアと別の国でありロシアの自然管理局 (RPN) はロシア国外の動物園にそういった野生孤児個体を配置するということはやらないからです。 となればこの雌の「甘えっこちゃん」、将来のパートナー獲得には大きなハンディを背負っているように思います。 相当に心配な気がします。
モスクワ動物園のシモーナお母さんの三つ子の一頭の雌がウクライナ・ムィコラーイウ動物園に移動へ_a0151913_23285145.jpg
ムィコラーイウ動物園正面 Photo(C)Мій дім Україна

さて、このウクライナのムィコラーイウ動物園ですが、ホッキョクグマ飼育の歴史は1958年に始まったそうで、数年前にホッキョクグマが全て亡くなってしまったために現在ではホッキョクグマの飼育は行われていません。 その飼育の歴史の中でアイカというホッキョクグマの件については「ホッキョクグマ・アイカ と レディン一家の物語 ~ 愛情の日々、そして悲劇的な終末へ」という投稿でご紹介していました。 このアイカはもちろん、現在あのベルリン動物公園で余生を送っているアイカ(鹿児島のホクトの母親)とは別のホッキョクグマです。 以前にこのムィコラーイウ動物園で飼育されていたホッキョクグマの姿をまたご紹介しておきます。 最初の一枚は撮影された年は不明ですが1990年代ではないかと思われます。 二枚目は2003年10月、三枚目は2005年7月の写真ですが写っているのは雄の一頭だけです。 飼育環境のほうはあまり良くないですね。
モスクワ動物園のシモーナお母さんの三つ子の一頭の雌がウクライナ・ムィコラーイウ動物園に移動へ_a0151913_14341887.jpg
Photo(C)doroga.ua
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モスクワ動物園のシモーナお母さんの三つ子の一頭の雌がウクライナ・ムィコラーイウ動物園に移動へ_a0151913_14345399.jpg
Photo(C)«Города Украины в улицах и лицах»

さて、この甘えっ子ちゃんがウクライナに移動する前に私は彼女にモスクワで再会しようと考えています。

(資料)
Взгляд.UA (Sep.13 2013 - Белая медведица спешит в Николаев)
Сайт города Николаева (Sep.12 2013 - В Николаевском зоопарке поселится молодая белая медведица из Москвы)
Mukola.net (Sep.11 2013 - В Николаевском зоопарке уже до конца года появится белая медведица)
mk.mk.ua (Jun.18 2013 - Николаевский зоопарк: 112 лет без выходных)
Дорога.УА (Николаевский зоопарк)
Правила для Авторов Блога «Народная Mukола» (Oct.6 2009 - Правила для Авторов Блога «Народная Mukола»)
Город Николаев » Фотогалереи » История и достопримечательности города » (Николаевский зоопарк)
НикВести (Sep.13 2013 - Этой осенью коллекцию николаевского зоопарка пополнит белая медведица)

(過去関連投稿)
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(*2012年3月、9月 モスクワ動物園訪問記)
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by polarbearmaniac | 2013-09-13 15:00 | Polarbearology

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