街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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モスクワ動物園のシモーナ、過去の映像に見るその母親像の 「絶対的」 かつ 「不動」 の存在の安定感

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シモーナ (2013年10月4日撮影 於 モスクワ動物園)
Nikon D5200
AF-S DX NIKKOR 55-300mm f/4.5-5.6G ED VR

今日の飼育下のホッキョクグマのうちモスクワ動物園のシモーナほど安定感のある母親はまずいないと言ってよいのではないでしょうか。 それは実に揺るぎのない母親像であると私は感じています。 私が以前行ったホッキョクグマの母親の子育て(子供たちへの接し方)のタイプで言えば「情愛型」かつ「対象関与型」の典型例だと思います。 ここで、このシモーナお母さんが2011年11月に産んだ三つ子の戸外初登場の日 (2012年2月22日) の映像を見てみることにしましょう。 実はこの日の映像は複数のTV局が撮影しており、それらのニュース映像ついてはここでほとんどご紹介していますが、この下の映像はロシア国営のRT (Russia Today) が撮った映像で実際に放送にはしなかった部分を多く含む映像です。 実に見事に撮られていると思います。 三つ子の赤ちゃんを見つめる子供たちの姿を捉えるなど、なかなか非凡な映像です。 必見だと思います。 尚、映像の冒頭で眠っているのはシモーナのパートナーのウランゲリです。 音声はon のほうが臨場感があります。



ウランゲリの次に登場しているのがシモーナお母さんですが、久方振りの外気を吸って気分転換していると同時に、子供たちを展示場に出してよいか検査しているようにも思われます。 次にいよいよ三つ子ちゃんたちの登場ですが、これで素晴らしいと思うのは初めて外に出てくる赤ちゃんたちに対してシモーナお母さんが外から顔を中に向けて向かい合っている点です。 「大丈夫だから出てきなさい。」 というメッセージがよく伝わってきます。 私たちはララお母さんが本当に正真正銘に子供たちが戸外に初めて出るときにどのようにして誘導しているのかを見るチャンスがありません。 一般公開開始前にすでに外に出していたりしているためです。 ですので、このシモーナお母さんの態度は非常に興味深く感じます。

このシモーナお母さんが素晴らしいと思うのは、赤ちゃんがいるときは彼女が展示場を動き回ることが非常に少ないという点です。 お母さんがひっきりなしに動き回るために赤ちゃんがそれにくっついて右往左往するというのとは全く違います。  このシモーナお母さんが三つ子出産の前の2010年3月2日に双子の娘 (ミラーナとトーニャ) と共に戸外に登場したシーンを見てみましょう。





短いシーンではあるもののシモーナお母さんの母親像がどんなものであるかは、これらの映像によってもその一端が伝わってくるのではないかと思います。 一日あそこの展示場に張り付いて長い時間観察すると、このシモーナお母さんの母親としての類稀なる育児の技量に舌を巻かされるのです。 それを感じ取るには長いスパンのシーンが必要で、そうしたシーンをなかなかうまく映像に収めることが難しいの残念です。 優れた母親というものはそれを見ている人間をも幸福な気持ちにさせてくれるものです。 シモーナお母さんはその典型だと言えましょう。 このシモーナお母さんのこういった「絶対的不動」の姿勢というものの一端は以下の映像でも伺い知ることができます。





こういった子供たちをうまく水に誘うシーンなどは、目立たないようでその巧みさは素晴らしいものだと思います。 3頭の子供たちに実に眼が行き届いています。





以前にも書きましたが、こういったシモーナお母さんの母親像というのは、自らの母である女帝ウスラーダとは対極の母親像であるわけです。 このことに関しては以前の投稿である「理性のウスラーダと情愛のシモーナ ~ 偉大なるホッキョクグマ母娘の性格の違い」で詳しく触れています。 ウスラーダお母さんも実に素晴らしいお母さんですが、人間である我々から見るとこのシモーナお母さん(そしてララお母さん)の母親としての姿のほうがストレートに受け入れやすいということが言えましょう。 「女帝ウスラーダとシモーナ、コーラ、リアの三頭の娘たち ~ 偉大な母親たちの三代の系譜」という投稿でも触れていますが、この「アンデルマ/ウスラーダ系」というのは繁殖に関して実に輝かしい存在であり続けています。 モスクワ動物園のお客さんからは「マーシャ」、「シーマ」という愛称で呼ばれているシモーナお母さんは一頭の雌としても愛され続けているのです。

(過去関連投稿)
モスクワ動物園のシモーナ(1) ~ 偉大なる母の娘、やはり偉大なる母となる!
モスクワ動物園のシモーナ(2) ~ その初産への道のり
モスクワ動物園のシモーナ(3) ~ 豊かなる母性の輝き
モスクワ動物園のシモーナ(4) ~ 消息不明の息子は何処に? (上)
モスクワ動物園のシモーナ(5) ~ 消息不明の息子は何処に? (中)
モスクワ動物園のシモーナ(6) ~ 消息不明の息子は何処に? (下)
ホッキョクグマ親子達の昼寝姿 (3) ~ シモーナ親子
シモーナの夏の日の午後 ~ くつろいだ日常の姿
シモーナ、その姿の変わらぬ端麗さ
モスクワ動物園の「良妻賢母」シモーナ ~ 母親のウスラーダに似た顔立ち
秋の日のモスクワ動物園のシモーナとウランゲリ ~ 再び期待されるこのペアの繁殖
モスクワ動物園のシモーナの夏
モスクワ動物園のシモーナとウランゲリ、冬の日の同居映像
モスクワ動物園のシモーナ、その日常の姿(1) ~ 遠征での映像より
モスクワ動物園のシモーナ、その日常の姿(2) ~ 遠征での映像より「情愛型」 と 「理性型」、「対象関与型」 と 「対象非関与型」 のそれぞれの母親像の違いを探る
クルミお母さんの母親像を再度考える ~ 「求心性」、「非求心性」の第三の座標軸から見えてくること
理性のウスラーダと情愛のシモーナ ~ 偉大なるホッキョクグマ母娘の性格の違い
女帝ウスラーダとシモーナ、コーラ、リアの三頭の娘たち ~ 偉大な母親たちの三代の系譜
by polarbearmaniac | 2013-10-11 02:00 | Polarbearology

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