街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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オランダ・レネン、アウヴェハンス動物園のルカがドイツ・ヴッパータール動物園へ ~ EEPは足踏み状態?

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ヴッパータール動物園に到着したルカ
Photo(C)Westdeutsche Zeitung

最近の欧州の個体移動はやや迷走的な傾向があるのではないかと感じさせます。 それはつい数日前にも書きましたように、その繁殖計画に若干綻びが見えているようにも感じさせる点です。 今回の移動もなにか腰の据わらない移動のように感じます。 オランダ・レネンのアウヴェハンス動物園で2011年12月1日にフギースお母さんから誕生した双子のうちの雄のルカがドイツのヴッパータール動物園に移動となり、昨日水曜日にすでに到着したというドイツからの報道です。 報道によればヴッパータール動物園ではこのルカは2012年1月4日に同園でヴィルマお母さんから生まれたアノーリの「遊び友達」になるということのようで、ヴィルマお母さんは他園に転出する予定であることを述べています。 ヴッパータール動物園の園長さんは以前にこのヴィルマお母さんが他園に移動するであろうことを発言してはいましたが、やはりそれは事実のようですね。 いつヴィルマお母さんが移動になるかの具体的スケジュールは現段階では未定のようです。
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Photo(C)explore.org

今回移動してきたルカの父親であるヴィクトルとアノーリの母親であるヴィルマお母さんとは両親が同じである兄妹ですから、ルカとアノーリとの関係は従兄妹にあたるわけです。 ですからルカとアノーリは将来の繁殖のパートナーとはならず、そのためにヴッパータール動物園はこの2頭を単なる「遊び友達」として位置付けているのは当然のことです。 彼らは共にいわゆる「ロストック系」ということになります。 将来の繁殖を担うペアとして想定されていないのに何故ルカがオランダからドイツに移動したかと言えば、それはすなわちレネンのアウヴェハンス動物園でフギースお母さんの来年の繁殖を狙わせるためにルカをドイツに移動させたということでしょう。 となれば双子のもう一頭であるリンの移動も近いと考えなくてはなりませんね。 つまりルカがヴッパータール動物園で暮らすのはごく数年の期間限定であろうということを意味するわけです。

私は実は2012年3月にオランダ・レネンのアウヴェハンス動物園でこのルカとリンの双子に会っています。 彼らがまだ生後100日ほどの時でした。 その時の様子は過去関連投稿(2012年訪問記)をご参照下さい。そのなかから二つほど映像を再度ご紹介しておきます。





フギースお母さんというのは以前にも書いていますが子供に非常に厳しい子育てをするお母さんです。 ルカもリンもそれほど大胆な行動をする赤ちゃんではありませんでしたが、やはりフギースお母さんの監視が厳しかったということなのでしょう。

ここ最近の欧州におけるホッキョクグマの移動、特に幼年・若年個体の移動ですが、何かすべてオランダの動物園の個体が優先されすぎているような気がします。 つまりレネンのアウヴェハンス動物園やロッテルダム動物園での繁殖に好都合なように、そういった動物園の幼年・若年個体が早めに移動先、そして場合によってはもう将来のパートナーさえもが決まり、そしてドイツやデンマークの動物園が後回しにされているという感じがあります。 この今回のヴッパータール動物園はドイツの動物園の中でも飼育環境の評価はさほど高くないわけで、そういった動物園に飼育環境の良いレネンのアウヴェハンス動物園から個体が移動するというのはやや不思議な気もしますが、それは前回も指摘したように欧州内の「飼育基準」を厳しく設定したがためにその基準を満たす動物園の数が極めて少なくなり、その結果として移動先の選択肢が大きく狭められてしまっているという欧州のホッキョクグマ繁殖計画 (EEP) に生じた綻びであると私は考えています。 「飼育基準」を厳しくしてホッキョクグマを可能な限り快適な環境で暮らさせてやりたいと願うのは正しいのですが、その「飼育基準」があまりに先行したがために逆にそれが繁殖計画に関わる個体移動に障害として立ちはだかりつつあるという状況だと考えるのが現時点での欧州のホッキョクグマの繁殖計画に対する正しい評価だろうと思います。 そうは言っても、日本よりも遥かに繁殖計画が進行している欧州であると言う事実には変わりはありませんが。

(資料)
Westdeutsche Zeitung (Oct.16 2013 - Eisbär Luka aus holländischem Tierpark soll Anori Gesellschaft leisten)

(過去関連投稿)
ホッキョクグマの母娘の再会で何か起きるのか? ~ セシ、ヴィルマ、ピリカに冷水を浴びせた母親たち
フィンランド・ラヌア動物園のランツォの移動先選定が難航か? ~ 綻びを生じた(?)欧州の繁殖計画
(*以下、ルカ関連)
オランダ・レネン、アウヴェハンス動物園でホッキョクグマの赤ちゃん誕生!
オランダ・レネン、アウヴェハンス動物園でのフギースの今回の出産を過去のデータと比較する
オランダ・レネン、アウヴェハンス動物園で誕生の赤ちゃん、順調に3週間目へ
オランダ・レネンのアウヴェハンス動物園で誕生の2頭の赤ちゃん、順調に生後8週間が経過
オランダ・レネン、アウヴェハンス動物園で誕生の2頭の赤ちゃんが遂に戸外へ
オランダ・レネン、アウヴェハンス動物園の2頭の赤ちゃんのその後の映像
オランダ・レネン、アウヴェハンス動物園の2頭の赤ちゃんの水に親しみ始めた映像
オランダ・レネン、アウヴェハンス動物園での三世代同居の試み
オランダ・レネン、アウヴェハンス動物園のフギースお母さんの双子の名前が、 「ルカ」 と 「リン」 と判明
*以下、2回目の訪問 (2012年) の現地レポート
レネン、アウヴェハンス動物園でホッキョクグマたちに御挨拶
アウヴェハンス動物園のフギースお母さんの双子の性格
フギースお母さんの性格と子育て
*以下、1回目の訪問 (2011年) の現地レポート
遂にレネン、アウヴェハンス動物園に到着!
シークーとセシ、その伸びやかさと無邪気さの大きな魅力
フリーダムを称える
(*以下、アノーリ関連)
ドイツ・ヴッパータール動物園でホッキョクグマの赤ちゃん誕生!
ドイツ・ヴッパータール動物園で誕生の赤ちゃんの性別を過去のデータで予想する
ドイツ・ヴッパータール動物園で誕生の赤ちゃん、アノーリの近況 ~ 産室内映像の初公開
ドイツ・ヴッパータール動物園の赤ちゃんのアノーリ、生後5週間が経過し両目が開く
ドイツ・ヴっパータール動物園の赤ちゃん・アノーリがいよいよ一般公開へ ~ 性別は雌と同動物園が発表
ドイツ・ヴッパータール動物園の赤ちゃん・アノーリ、ついに一般公開
ドイツ・ヴッパータール動物園の赤ちゃん、アノーリが大きな人気
ドイツ・ヴッパータール動物園でのアノーリ誕生の瞬間を捉えた映像
ドイツ・ヴッパータール動物園の赤ちゃん、アノーリが水に親しみ始める
ドイツ・ヴッパータール動物園の赤ちゃん、アノーリの近況
ドイツ・ヴッパータール動物園のアノーリの一歳のお誕生会
by polarbearmaniac | 2013-10-17 13:00 | Polarbearology

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