街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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オランダ・ロッテルダム動物園のヴィックスの近況 ~ 故郷へ帰還の背景とオリンカお母さんの母性

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ヴィックス (C)Diergaarde Blijdorp "Vicks heeft zijn eigen boek"

飼育展示場のガラスを石で割ってしまい一躍有名になった2010年の12月6日にオランダのロッテルダム動物園でオリンカお母さんから生まれた雄のホッキョクグマのヴィックスですが、昨年の10月にスウェーデンのオルサ・グレンクリットのベアパークにオランダ・レネンのアウヴェハンス動物園でフリーダムお母さんから生まれた雌のセシと一緒に一度は移動したわけですが、どうしたことか今年の5月に生まれ故郷のオランダのロッテルダム動物園に戻ってきた件は以前の投稿である 「スウェーデン、オルサ・グレンクリットのベアパークのヴィックスが再び生まれ故郷のロッテルダム動物園へ」 をご参照下さい。

ヴィックスがたった半年でロッテルダム動物園に戻ってきた理由は、現在フランス東部のミュルーズ動物園で建設中の新施設の工事が予定より大幅に遅れているため、そこに入る予定であったヴィックス、そしてセシを再度生まれ故郷に戻してそこで待機させるためだというのが表向きの理由のようです。 しかし私にはこの件は以前からかなり引っかかる点を感じているわけです。 私の憶測ですが、スウェーデンのオルサ・グレンクリットのベアパーク側が何かの理由で「話が違う。2頭を引き取ってほしい。」とEAZAのコーディネーターに抗議したのが本当の理由であるような気がします。 やはり本当はこの2頭はウィーンのシェーンブルン動物園の新施設に行くはずだったものを、フランスのミュルーズ動物園が横車を押したのも原因ではないでしょうか。 そのあたりのことは過去関連投稿をご参照下さい。 このミュルーズ動物園の新施設の管制はまたまた来年春にずれこんでいるようです。 そういうこともあってオルサでは「話が違う。」と言い出して当然だと思います。
(*後記 - 10月24日付のオランダの情報サイトである dichtbij.nl の記事 "IJsbeer Vicks vertrekt definitief naar Frankrijk" によりますと、ヴィックスをミュルーズ動物園に移動させるための移動用ケージがすでに用意されたそうです。 意外に早くヴィックスはフランスに旅立つことになるようです。)
(*後記2 - 10月26日付けのロッテルダム動物園HPのニュース記事によりますと、ヴィックスは28日にフランスのミュルーズ動物園に向けて旅立ったとこのことです。 また、ミュルーズ動物園のSNSのサイトではヴィックスもレネンからのセシも無事にミュルーズに到着したそうです。)
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ヴィックス Photo(C)RTLNieuws.nl/ANP

さて、最近のロッテルダム動物園のヴィックスの様子ですが、オリンカお母さんとは当然のごとく別に生活しているようで、もう親離れしてしまったような印象を受けます。 半年スウェーデンで将来のパートナーとなる予定のセシと生活したために、もうオリンカお母さんのことは気にしなくなったのでしょう。 そういった彼の最近の様子を見てみましょう。本当に体が大きくなりました。



私はこのヴィックスに一昨年5月にロッテルダムで会っていますが (2011年ロッテルダム動物園訪問の現地レポート参照)、本当に元気の良い赤ちゃんだったのを覚えています。 泰然自若としたオリンカお母さんの姿と対照的な感じもしましたが、そういった母親がいたからこそあれだけ元気に遊びまわっていたというのが本当のところでしょう。 そういった彼の姿を映像に撮らなかったのは惜しいことをしました。 以前にもすでにご紹介していますが、このヴィックスがオリンカお母さんと一緒に初めて展示場に一歩を踏み出した2011年3月17日の映像を再度ご紹介しておきます。 これは実に美しくて素晴らしい映像です。 全体で15分ほどの長さがありますが、私はこういった幼年個体と母親の映像は長ければ長いほど価値があると考えています。 そのほうが記録的価値があるだけでなく、そのお母さんの母親像がどういったものであるかを知るためにもそのほうが優れていると思います。



続いて下は5月の映像です。ちょうど私が彼に会った頃の時期になります。



実はここに、上でご紹介した展示場に一歩を踏み出した2011年3月17日の様子を伝える別の映像があります。 この映像開始後1分55秒あたりから数秒のシーンに御注目下さい。 展示場内に敷設されている電柵にヴィックスが触れて感電してしまい、ヴィックスは泣き声をあげてひっくり返ってしまうシーンが映っています。オリンカお母さんが早速ヴィックスを守るわけですが、実に冷静に息子をなだめている姿が映し出されています。



私個人の分類ではこのオリンカお母さんはシモーナやララと同じ「情愛型」の母親だと思いますが、一方でオリンカはシモーナやララと違って「対象非関与型」の母親であると考えています。 シモーナやララでしたらこのシーンでは鼻を鳴らしてその場に突進し、そしてひっくり返った息子をもっと自分に引き寄せるような気もしますが、オリンカお母さんは比較的冷静に息子に「言って聞かせる」という態度です。 ここに違いがあるように思います。 いずれにせよオリンカお母さんは非常にスケールの大きな素晴らしい母親だと思います。 やはり「大物お母さん」であることに間違いありません。

(過去関連投稿)
オランダ・ロッテルダム動物園でホッキョクグマの赤ちゃん誕生!
オランダ・ロッテルダム動物園で誕生の赤ちゃんの産室内の映像(追加)
オランダ・ロッテルダム動物園の赤ちゃん、産室から一歩を踏み出す
オランダ・ロッテルダム動物園の赤ちゃん、とうとう戸外に姿を現す!
オランダ・ロッテルダム動物園のヴィックスの性別への地元ファンの関心 ~ 要求された奇妙な写真
オランダ・ロッテルダム動物園、オリンカ親子の姿 ~ 発散するヴィックスの魅力
オランダ・ロッテルダム動物園で昨年12月に誕生したヴィックスの順調な成長 ~ 最近の映像より
オランダ、ロッテルダム動物園のヴィックスの1歳の映像
オランダ・ロッテルダム動物園のヴィックス、石でプール観客側のガラスを割る!
オランダ・ロッテルダム動物園のヴィックスが9月に他園へ旅立ち
オランダからスウェーデンへ ~ ヴィックスとセシの新ペアとしての旅立ちの日ついに来る
オランダ・ロッテルダム動物園のヴィックスの同園での最後の一日 ~ 最終移動先はウィーンか?
スウェーデンのオルサ・グレンクリットのベアパークに到着後のヴィックスとセシ
スウェーデン、オルサ・グレンクリットのベアパークのヴィックスが再び生まれ故郷のロッテルダム動物園へ
フランス・アルザス地方のミュルーズ動物園の新施設建設計画 ~ 2頭のホッキョクグマの移動について
フランス・ボルドー近郊、パルミール動物園のジュリ逝く ~ 故郷の新施設の完成を待たずに客死
「情愛型」 と 「理性型」、「対象関与型」 と 「対象非関与型」 のそれぞれの母親像の違いを探る
(以下、2011年ロッテルダム動物園訪問の現地レポート)
ロッテルダム動物園へ!
親子3頭の同居? ~ 常識に挑戦したロッテルダム動物園の方法
泰然自若のオリンカお母さん、その貫禄の子育て
お母さんの庇護の下で自由を謳歌するヴィックス
by polarbearmaniac | 2013-10-22 07:00 | Polarbearology

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