街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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アメリカ・ニューヨーク州 バッファロー動物園のルナとカリーの近況 ~ 展示需要と個体数のアンバランス

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ルナ (左)とカリー (右) Photo(C)Robert Kirkham/Buffalo News

アメリカ・ニューヨーク州のバッファロー動物園で昨年11月27日に生まれ人工哺育で育てられた雌のルナ、そしてアラスカ州の海岸で今年の3月12日に野生孤児として保護されアラスカ動物園を経てバッファロー動物園に送られた雄のカリー (Kali)、この2頭の幼年ペアは非常に有名になってしまったわけですが、それに加えてバッファロー動物園がAZAの基準に適合するホッキョクグマの新飼育展示場を建設する資金の一部について寄付を求めているキャンペーンを精力的に行っていることもこのルナとカリーの存在を語るうえで欠かせない話になっています。 こうした「人工哺育と適応化」「野生孤児個体保護」「飼育基準」「施設建設資金調達」など多くのことが、今日の動物園におけるホッキョクグマの飼育が抱えている問題点を先鋭的、かつ研ぎすまされた形で我々に見せてくれているように思います。 その件については私なりの考え方を前回の投稿である「アメリカ・ニューヨーク州のバッファロー動物園に凝縮した新施設建設の問題 ~ 主役は来園者か動物たちか?」で詳しく述べました。

さて、最近のルナとカリーですが9月中旬に一週間ほど展示が中断されました。その理由はこの2頭をそれまで飼育されていた小さな展示場から、プールもあるもっと広い展示場に移すことに関連してその諸々の準備作業のためだったようです。 この場所はもともとトラが展示されていた場所ですが、それを若干改良してルナとカリーの展示場にしたそうです。 約一週間後にルナとカリーはこの彼らにとっては新しい展示場に再び登場しました。 地元のTVニュースをご紹介しておきます。 冒頭はCMです。


ここで、この彼らにとって新しい展示場でのルナとカリーの様子をご紹介しておきます。





さて、バッファロー動物園で夏頃までに盛んに叫ばれていた 「いついつまでに寄付が集まらなければ秋からの着工ができず、そうなればルナとカリーをバッファロー動物園で飼育し続けることができなくなる。」 といったスローガン的な訴えかけはここのところすっかり影を潜めています。 新施設建設計画の部分的修正が行われたことは事実のようですが、やはり一時の強引とも思える同園の寄付キャンペーンはいささかやり過ぎだったという印象を周囲に与えてしまったように思います。

ホッキョクグマ飼育展示の新施設が完成間近であるセントルイス動物園は魚類野生動物保護局 (U.S. Fish and Wildlife Service - FWS) よりこのカリーの入手を内定しているはずですが、なにしろやり手であるバッファロー動物園のフェルナンデス園長がカリーを自園に引き留めるためにFWSに対して何か手を打ってくる可能性はあるでしょう。 同じくやはり新施設の完成が間近であるもののアキーラを失ったノースカロライナ動物園も新しいホッキョクグマの入手を狙ってFWS に接触しています。 ともかくアメリカの動物園ではホッキョクグマを飼育展示したいという施設の数に比べてホッキョクグマの数が足りないという状態になっています。 ですから「ホッキョクグマの奪い合い」といった様相すら呈しつつあるわけです。 こういった状況が今後どう推移していくかについて注目していきたいと思います。

(資料)
Buffalo Zoo (News Sep.18 2013 - Polar Bear Cubs Temporarily Off Exhibit)
WKBW (Sep.18 2013 - Kali and Luna Temporarily Off Exhibit)
Niagara Frontier Publications (Sep.26 2013 - Buffalo Zoo: Polar Bear cubs back on exhibit)
WGRZ-TV (Sep.26 2013 - Tigers Make Room For The Bears)
Buffalo News (Sep.11 2013 - Zoo’s shortfall prompts revised design of polar bear exhibit)
Business First of Buffalo (Sep.24 2013 - Buffalo Zoo eyes attendance mark and more funds)

(過去関連投稿)
動物園による情報公開 ~ アメリカ・バッファロー動物園でのホッキョクグマ連続死亡事件
繁殖のために住み慣れた動物園を旅立ったホッキョクグマ ~ ヘンリー・ヴィラス動物園のナヌークへの期待
アメリカ・バッファロー動物園のホッキョクグマ新展示施設建設へ篤志家の多額な資金寄付
アメリカ・ニューヨーク州、バッファロー動物園の苦悩 ~ ホッキョクグマ新施設建設の資金不足
アラスカで保護された野生孤児カリーをめぐるバッファロー動物園とセントルイス動物園との微妙な関係
アメリカ ・ ニューヨーク州、バッファロー動物園で遂にルナとカリーが初顔合わせ
アメリカ ・ バッファロー動物園でルナとカリーの正式な同居展示が開始 ~ カリーの今後について
アメリカ・ニューヨーク州 バッファロー動物園でのルナとカリーの同居は順調に推移
アメリカ・ニューヨーク州 バッファロー動物園の新施設建設の不足資金を州政府が一部負担の意向示す
アメリカ・バッファロー動物園がルナの移動可能性に言及 ~ 報道されている状況は本当に事実なのか?
アメリカ・バッファロー動物園の新施設建設資金の露骨な寄付募集活動に眉をひそめる地元の財団・基金
アメリカ・ニューヨーク州のバッファロー動物園に凝縮した新施設建設の問題 ~ 主役は来園者か動物たちか?

(*以下、ルナ関連)
アメリカ・ニューヨーク州、バッファロー動物園でホッキョクグマの赤ちゃん誕生! ~ その姿が突然公開
アメリカ・ニューヨーク州 バッファロー動物園の赤ちゃんの追加映像 ~ ララの子供たちの従妹であるルナ
アメリカ・ニューヨーク州 バッファロー動物園の人工哺育の赤ちゃんのルナが初めて戸外へ
アメリカ・ニューヨーク州 バッファロー動物園の赤ちゃん、ルナの近況を伝えるTVニュース映像
アメリカ・ニューヨーク州 バッファロー動物園の赤ちゃん、ルナが雪の舞う戸外へ
アメリカ・ニューヨーク州 バッファロー動物園の赤ちゃん、ルナが遂に一般公開へ
アメリカ・ニューヨーク州、バッファロー動物園の赤ちゃんの「ルナ」が仮称から正式の名前となることが決定
アメリカ・ニューヨーク州、バッファロー動物園のルナの近況 ~ 人間の視線への意識と興味
(*以下、カリー関連)
アメリカ・アラスカ州の北西岸でホッキョクグマの孤児の赤ちゃんが保護!
アメリカ・アラスカ動物園で保護された野生孤児のカリーが今春に期限付きでバッファロー動物園へ
アメリカ・アラスカ動物園で保護されている野生孤児のカリーの一般公開が始まる
アメリカ・アラスカ動物園で保護されている野生孤児のカリーを間近で撮り続けている専属カメラマンの視点
アメリカ ・ アラスカ動物園で保護されている野生孤児の赤ちゃん、カリーの近況と今後について
アメリカ・アラスカ動物園の野生孤児カリー、来週後半に ニューヨーク州のバッファロー動物園へ
アメリカ・アラスカ動物園の野生孤児カリーがニューヨーク州のバッファロー動物園に無事到着
by polarbearmaniac | 2013-10-24 17:00 | Polarbearology

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