街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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札幌・円山動物園のキャンディの「妊娠の可能性の兆候」をどう見るか?

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キャンディ(左)とデナリ(右)
(2013年4月13日撮影 於 札幌・円山動物園)

札幌・円山動物園の公式ブログの27日付けの記事によりますと、同園のキャンディに「妊娠の兆候」らしきもの見られているとのことです。 正確に言うと「妊娠の可能性の兆候」ということになるかと思います。 記事によりますと、「エサの食べ残しが増え、今月中頃に乳頭の張りも確認できた」 と書かれています。 私がロシアへ行く前の9月15日の同園訪問の投稿で、キャンディは「筋」に入った可能性があると書いたことがありますが、確かにあのキャンディの「静けさ」には何か独特のものを感じました。

Candy has a peace of mind, with some expectation, at
Sapporo Maruyama Zoo, Japan, on Sep.15 2013.


さて、今回指摘されている乳頭の張りについては以前、「『ホッキョクグマ飼育マニュアル(Care Manual) 』よりの考察(3) ~ 胸部の変化は妊娠の兆候と言えるのか?」 でも触れていますが、この胸部の変化はホッキョクグマの妊娠を外見上で判断する基準の一つの中には入っていないということです。 一方で、こういう兆候を見せる特定の雌のホッキョクグマは、偽妊娠 (pseudopregnancy) であってもこの兆候を見せるでしょう。 それから、初産は兆候がわかりにくいと言われているという指摘については感覚的にはそれは頷けるものがありますが、少なくともそういう趣旨の記述は欧米の研究文献には私の読んだ限りでは存在していないように思います。 ですから今年の方が兆候がはっきりしているという点についてもそれが妊娠の可能性がより高まっているのだというように理解してよいかどうかは判断が付きかねるように思います。

産室のある室内につながっていて来園者からは見えない屋外の飼育場(つまり Off-Exhibit )があればそこにキャンディ誘導して、産室に入るかどうかの時期の選択を全て彼女に委ねるのが理想的ですが、そういうスペースがないという現実では、早めにキャンディを室内に収容するほうがよいでしょう。 昨年のララは11月7日に収容されていますがキャンディはもっと早いほうが良いのではないでしょうか。

淡々と、そして冷静に過度の期待無しに待つのがよいと思います。 ここ何年か私はこうして海外のホッキョクグマの情報に接してきましたが、今回のキャンディのような「兆候」が指摘されたホッキョクグマは何頭もいたわけです。 しかしその大半は出産にも至らなかったという例を多く知っています。 個人的にはキャンディを大いに応援していますが、こちらも知識を蓄えたせいか大きな期待をせずに冷静でいたほうがよいという教訓を得ています。

仮にキャンディに出産があるとすれば私は11月中~下旬ではないかと予想しています。 マルルの転落事故を含め展示場の改装工事など、なにかと落ち着かない感じのするのが残念ではありますが、どうかキャンディが静かにその時を迎えられるようにしてやってほしいと思います。 彼女が無事に出産し、そして春に赤ちゃん(たち)と一緒に戸外に登場すれば、私はヴッパータール動物園の園長さんにその写真を添えて手紙を送りたいと思っています。

今年は国内外のこういった妊娠の可能性の情報については、いちいちここで反応しないつもりでしたが、キャンディはもうほとんど後のない年齢にまでなっていますので、彼女のことだけは一度触れておきたいと考えたのが本投稿の趣旨です。

(資料)
札幌市円山動物園 (オフィシャルブログ

(過去関連投稿)
札幌 ・ 円山動物園のキャンディへの期待と声援 ~ 彼女のドイツでの幼少期と今は亡き両親の姿
喜怒哀楽を常に隠したポーカーフェイスのキャンディ ~ モスクワ動物園との深いつながり
デナリとキャンディ、「成就」への出発のレールに乗る ~ 週末の札幌・連続4週間目
曇天の札幌・円山動物園 ~ ホッキョクグマの「再配置」と、「筋」 に入った可能性を感じるキャンディ
「ホッキョクグマ飼育マニュアル(Care Manual)」よりの考察(3) ~ 胸部の変化は妊娠の兆候と言えるのか?
by polarbearmaniac | 2013-10-27 23:00 | Polarbearology

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