街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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ロシア・エカテリンブルク動物園のペアであるウムカとアイナの繁殖にヒグマを「代理母」とすることが決定

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ウムカ (エカテリンブルク動物園) 
Photo(C)Екатеринбургский зоопарк

実に衝撃的、あるいは画期的ともいえる手段が実行に移されることが決定したことをロシアよりの最新の報道が伝えています。 それをご紹介する前にまず以前の投稿である「ロシアの3つの動物園が共同で異種間移植(ホッキョクグマ → ヒグマへの胎仔移植)の実験を行うことを発表」 を是非再度ご参照いただきたいのですが、この異種間移植に関して今回はモスクワ動物園、エカテリンブルク動物園、イジェフスク動物園、ロストフ動物園、ニジェゴロド動物園というロシアの5園が共同してホッキョクグマ → ヒグマへの胎仔移植を実行に移してヒグマに「代理母出産 (Суррогатное материнство)」をさせることとなり、ロシア・西シベリア、エカテリンブルク動物園の野生出身で16歳の雄のウムカペルミ動物園でアンデルマから生まれた14歳の雌のアイナのペアがこのための精子と卵子を提供することが決定していることがエカテリンブルク動物園の広報担当者が明らかにしました。
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アイナ (エカテリンブルク動物園) 
Photo(C)Екатеринбургский зоопарк

ロシアの3つの動物園が共同で異種間移植(ホッキョクグマ → ヒグマへの胎仔移植)の実験を行うことを発表」という投稿ですでに私は白状していますが、この異種間移植に関するロシア語の生物学、獣医学の用語を正確にご紹介することに未だに苦労しています。 残念ながらこれは私のロシア語の能力を超える問題です。 今回の報道では今回の試みについて “Эмбрионы белых медведей будут вынашивать бурые косолапые хищники.” と紹介していますが、この “Эмбрионы” は辞書では「胚」という訳語がついています。 つまり(ホッキョクグマの)「胚」をヒグマに移植するのだと言っています。 このそしてその手順についてまず、”Для получения материала медведям будут вводить снотворное, и, пока мишки спят, брать у них необходимый материал.” 、つまり、まず麻酔剤によってホッキョクグマ(複数形になっていますからペアという意味でしょう)を眠らせ、そしてそのペアから ” необходимый материал” を取り出すと言っています。 これは精子と卵子のことを意味していると考えられます。 そして次の段階で ” Этот генетический материал будет вводиться бурым медведицам, как ближайшим родственникам белых, и таким образом бурые медведи станут суррогатными матерями для белых медвежат.” つまり ”Этот генетический материал” をヒグマの雌に移植するわけですが、この”Этот генетический материал” がその前の文章である ”необходимый материал” と同じ意味なのかどうかが私には判断がつきません。 同じ意味だとすれば、これは 「雌のヒグマに(ホッキョクグマの)精子と卵子を移植してヒグマの体内で授精させること」 を意味することになるはずで、違う意味だとすればこれは 「(ホッキョクグマの)受精卵を雌のヒグマの体内に移植させること」 を意味すると思われます。 この後者については旭山動物園の前園長の小菅さんが同園のHPの「園長室 - 動物園での獣医新技術活用」に書いていた内容とほぼ同じことになるはずです。 しかし前回の投稿でも書きましたが、こういった試みで “Эмбрионы” に受精卵という訳語をつけることは難しいはずで、そうなると今回の試みは語学的な解釈では前者を意味しているのだと理解するしかないようにも思います。 ロシア語に詳しい生物学の専門家の方のご意見をおうがかいしたいところです。 ただしかし、いずれにせよ雌のヒグマに「代理母出産 (Суррогатное материнство)」 をさせようということだけは間違いありません。 今回のチームはすでにどのヒグマに「代理母出産」をさせるかについて、雌のヒグマの個体の選定作業に入っていますがヴェトカという名のヒグマとなる可能性があるとのことです。
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ウムカとアイナ Photo(C)Екатеринбургский зоопарк

エカテリンブルク動物園の広報担当者の語るところによれば、同園で飼育されている雄のウムカと雌のアイナ(大阪のゴーゴの姉)について今まで繁殖を期待していたもののそれが実現せず、飼育下で生まれたホッキョクグマの自然繁殖はしばしば困難な場合があると述べていますが、しかしこれは私に言わせれば不正確であるように思います。 数日前にも書きましたが、野生下で誕生した雌と飼育下で誕生した雌のどちらが飼育下において繁殖するかと言えば、それは後者の方が優っているように思えます。 すくなくとも「大物お母さん」は後者のほうがかなり多いわけです。 さて、この試みは果たして成功するでしょうか? さて、ここでこのウムカとアイナのペアの最近の様子を映像で見てみましょう。 手前がウムカ、向こう側がアイナです。




(*追記 - 今回の件に関するTVニュースをご紹介しておきます。 内容としては取り立てて新しいことは言ってはいません。 この映像のアナウンスを聞いても先の疑問は氷塊しません。 尚、エカテリンブルク動物園の様子と共にウムカとアイナの姿も登場しています。)




Бурая медведица познает радости суррогатного материнства

(資料)
Life News (Nov.20 2013 - Бурая медведица из зоопарка станет суррогатной матерью для белых медвежат)(Бурая медведица из зоопарка станет суррогатной матерью для белых медвежат)
旭山動物園 (園長室 - 動物園での獣医新技術活用

(過去関連投稿)
ロシアの3つの動物園が共同で異種間移植(ホッキョクグマ → ヒグマへの胎仔移植)の実験を行うことを発表
ロシア・エカテリンブルク動物園の仲良しペアへの大きな期待 ~ ロシアの新しい繁殖基地を目指して
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by polarbearmaniac | 2013-11-21 07:00 | Polarbearology

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