街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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"Polar Bear of the Year (2013)" in Japan

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ミルク (2013年5月1日撮影 於 男鹿水族館)

今年もタイム誌にあやかって今年の日本のホッキョクグマ界で最も活躍したり話題になったりした日本のホッキョクグマの “Polar Bear of the Year (2013)” を選ぼうと思います。

この選考は毎年非常に苦心しているのですが、偏りのないように選ぼうにもやはり繁殖というホッキョクグマにとっての重大事に関与した個体にならざるを得ません。 昨年は男鹿水族館のクルミを選んでいます。では今年はといいますと、候補として考えたのはララ、マルル、ミルクの3頭でした。仮に大阪でバフィンに出産のニュースがあれば、今年初めて繁殖行為のあったゴーゴも大きな候補になると思っていました。 しかしゴーゴについては一昨日あたりから流れているニュースや天王寺動物園のスタッフの方のブログを読みますとバフィンの出産の可能性は限りなくセロに近づいたようで、残念ながら候補から外れます。 マルルを候補にしたのは、あの9月の転落事故において無傷でいられたという幸運を大いに尊重したいためです。 ララについてですが、彼女はすでに2009年、2011年と二度も選考しています。 しかし、その二回の選考の時についてよりも今年の方が内容的には上ですので、ここでララをまた選考してもおかしなことではありません。 あとはミルクです。 「遊びの天才」と名付けたいほどの多彩な能力を遺憾なく発揮してくれました。

さて、どうしようかと迷いましたが、やはりミルクを選んでおきたいと思います。 ララについては先日も指摘しましたが、今年の彼女は世界レベルでの ”Polar Bear of the Year (2013)” としてもよいくらいです。 ですからそれに敬意を表して、今年の日本のホッキョクグマ界に限定した選考ではミルクを選ぶことにします。

ミルクの性格はどういうものか、そしてどのようにしてその性格が形成されたか、そして母親との関係についての私の考えは世の多くのホッキョクグマファン、動物園ファンの方々と大きく異なります。 ホッキョクグマ、とくにその幼年個体の性格を計る基準はあくまでも他の個体との相対的な比較によって行われ、そこに絶対評価は持ち込めないだろうと考えます。 つまり、他の幼年個体との比較無しにミルクの性格を推し量ることは難しいと考えるわけです。 さらにそういった幼年個体と母親との関係についても然りです。 クルミお母さんとミルクとの関係は世界のホッキョクグマ界においては非常に特異なものです。 そういったこの親子の特異性は、複数の親子の関係との比較の中で初めてそのような性格付けがなされるわけです。 クルミ親子の関係を見て、これこそがホッキョクグマの親子の関係であるという理解をするならば、それはグレン・グールドのピアノ演奏で聞いたJ.S.バッハの鍵盤楽器の作品の解釈こそが正しい演奏であると考えることと同じでしょう。 天才(鬼才?)グレン・グールドの演奏で体験するJ.S.バッハの作品の印象は圧倒的なものがあり、彼以外の演奏を受け入れられないと言う音楽ファンは私の回りにも多く存在しています。 彼のファンにとって彼の演奏は、まるで何かの麻薬ででもあるかのように聞こえ、一度それに取りつかれると離れられない魅力があります。 しかしその天才グールドの演奏をもってしても汲みつくせない素晴らしさがあるのがJ.S.バッハの音楽であることに気が付かされる日は必ず来るわけです。

来年の早い時期にミルクは釧路に移動します。 男鹿水族館でのスターであったミルクですが、是非その長所を失わないで前進してほしいものです。

(過去関連投稿)
Polar Bear of the Year (2009)
Polar Bear of the Year (2010)
Polar Bears of the Year (2011)
Polar Bear of the Year (2012)
*ミルク関連
男鹿水族館でホッキョクグマの赤ちゃん誕生!
男鹿水族館でのクルミと赤ちゃんの産室内映像が公開
男鹿水族館が産室内のクルミと赤ちゃんの新映像を公開
男鹿水族館がクルミの赤ちゃんの産室内新映像を公開 ~ 生後17日目の状態
男鹿水族館がクルミの赤ちゃんの産室内新映像を公開 ~ 生後20日目の状態
男鹿水族館がクルミの赤ちゃんの産室内新映像を公開 ~ 生後5週間経過後の状態
ララ (円山動物園) とクルミ (男鹿水族館) の赤ちゃんの近況
男鹿水族館がクルミの赤ちゃんの産室内新映像を公開 ~ 生後50日経過後の状態
男鹿水族館がクルミの赤ちゃんの産室内新映像を公開 ~ 生後53日目の状態
男鹿水族館がクルミの赤ちゃんの産室内新映像を公開 ~ 生後65日目の状態
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男鹿水族館で誕生の赤ちゃん、スタッフの前に姿を現す (生後三か月経過へ)
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*男鹿水族館訪問記
男鹿水族館の赤ちゃん、はじめまして!!
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クルミお母さんの性格と母親像 ~ その 「対象非関与型母性」への評価について
梅雨期の出羽の国、男鹿水族館でクルミ母娘との再会
美しく成長を遂げつつあるミルク ~ その素顔と性格
クルミお母さんの母親像を再度考える ~ 「求心性」、「非求心性」の第三の座標軸から見えてくること
クルミ母娘の夏の日 ~ 大きな展示場へ移動した親子との再会
"La tristesse allante de Milk" ~ クルミとミルクの母娘関係と行動の基本的構図を探る
悪天候、そして夏の終わりの男鹿水族館 ~ 転換点を迎えたクルミとミルクとの母娘関係
驚くべき進化を遂げつつあるミルク ~ "Efforcez-vous d'entrer par la porte étroite..."
過ぎ去らない夏の残る男鹿水族館 ~ クルミとミルクの母娘模様
ミルクの楽しいおもちゃ遊び ~ 超一流の遊びの能力
*ホッキョクグマの母親像
「情愛型」 と 「理性型」、「対象関与型」 と 「対象非関与型」 のそれぞれの母親像の違いを探る
クルミお母さんの母親像を再度考える ~ 「求心性」、「非求心性」の第三の座標軸から見えてくること
by polarbearmaniac | 2013-12-27 01:00 | Polarbearology

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