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札幌・円山動物園のキャンディ、展示再開へ ~ 今シーズンは出産の可能性低いとの判断

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キャンディ (2013年8月17日撮影 於 円山動物園)

札幌市の円山動物園より本日1月10日午後、正式な発表がありました。 同園は今シーズンのキャンディの出産の可能性は低いものと判断し、近日中にキャンディの屋内終日収容を中止し、展示再開に向けた準備を開始するとのことです。 キャンディ(そしてデナリ)の展示再開は1月16日(木)を予定しているとのことです。

まあ、これは残念ではありますが比較的容易に予想のついたことでした。 それは以前の投稿にも詳しく述べましたし、先月の投稿でも申し上げましたが、ロシアの生物学者であるイーゴリ・トゥマノフ氏の研究報告である ”Reproductive Biology of Captive Polar Bears (by IGOR TUMANOV. Research Institute of Nature Conservation of the Arctic and North, St. Petersburg, Russia)” におけるデータから判断して今回のキャンディにとって最も出産の可能性が高かったのは昨年12月6日を中心とした前後の数日間だったわけです。 ですから先月、日本を出発する28日の段階で私は、これでもうキャンディの出産はないだろうと考えていました。 ところが一般的な見方の中には天皇誕生日の関係した12月の三連休のあたりで、いよいよこれからがキャンディの出産の時期であるといったように逆に出産への期待が高まるという傾向があったように感じたのは非常に希望的な観測であったような気がしていました。 なるほど前回は12月30日に彼女は出産していたわけですが、実は一般的にホッキョクグマの雌の初産というのはそれが成功するにせよ失敗するにせよ出産日は非常に遅く、二回目以降は出産日はむしろ早くなるという傾向が比較的多くの例では存在しています。 ですから今回のキャンディについては出産日は前回よりも(かなり)早いだろうと私は予想していました。 一例を挙げればモスクワ動物園のシモーナですが、手持ちのモスクワ動物園の資料によれば初産(失敗)の1999年では12月3日に出産していますが、それ以降の何度もの出産の連続成功ではほとんど全て11月20日付近に出産日が集中しています。 そういったことで、今回のキャンディの出産日が前回のように暮れも押し詰まってからにはならないだろうと考えたわけです。
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キャンディ (2013年9月15日撮影 於 円山動物園)

今回のキャンディの出産への期待が他の20歳を超えた雌(バフィン、バリーバ)よりも高かった理由は、少なくとも記憶の新しい昨シーズンの2012年の年末に出産していたという事実が大きいわけです。 しかし考えてもみれば、バフィンはすでに浜松で複数回出産だけはしており、バリーバについても少なくともピースを出産していたわけです。 となれば、実はキャンディは前回初めてバフィンやバリーバと競い合うスタートラインにやっと到達したという程度にしかすぎなかったというわけです。 ですので今回のキャンディへの出産への期待は私自身も含め、やや過大評価気味であったと言わざるを得ないわけです。 しかも今回のキャンディには前回よりの加齢といった要素も考慮せずにはいられません。実は彼女のような年齢(現在21歳)には思いのほか重要な要素です。 以前も触れたことがありますが、やはりキャンディにとっては前回が最大のチャンスだったように思います。 前回こそが彼女の勝負だったということです。

ということで、この今回の円山動物園の発表は冷静に受け止められることであると言わざるを得ません。 しかしそうは言うものの、やはり今回も痛恨であったことは間違いありません。 それから今更ながらですが、いかにララが偉大なホッキョクグマであるかをまた思い知らされたということです。

(資料)
札幌市・円山動物園 (Jan.10 2013 - 世界のクマ館観覧制限の解除について

(過去関連投稿)
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by polarbearmaniac | 2014-01-10 16:30 | Polarbearology

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