街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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札幌・円山動物園のマルルとポロロが移動先で2年間限定預託であることの意味は何か?~ その後を予想する

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ポロロ(左)とマルル(右) (2014年1月18日撮影 於 円山動物園)

札幌・円山動物園よりの1月30日の発表ではマルルとポロロは熊本と徳島の動物園で預託飼育されることが明らかにされ、そして本日熊本よりの報道で、マルルの飼育が2年間限定という具体的期限が報じられています。 札幌市(円山動物園)が熊本市と徳島市とで異なった内容の契約を締結することは極めて想定が困難ですので、ポロロも「2年間限定預託」であることは間違いないと考えられます。 よってそれに従って考えていきたいと思います。 そしてさらに、同じ預託でもこの2年間という期限はイコロとキロル(そしてアイラ)の場合には、本契約には規定されてはいなかったとは断言できないものの少なくともその具体的期限を報じた報道はなかったと記憶しています。 マルル/ポロロ、イコロ/キロルの2つの場合に何故このような期限の有無の差異が存在しているかについても考えていきたいと思います。 そしてそれによってマルルとポロロの「その後」を予想してみたいと思います。

まず、この「2年間限定の預託」をどう解釈するかです。 以下のような複数の解釈が可能です。

A. 「2年間」としたのは、期限を明示するのが契約要件設定の体裁上必要だっただけであり、「2年間」はあくまでダミーの期間の数字である。実際は自動更新条項により契約は簡単に自動延長されるので、この預託契約は実質上には期限の定めのない契約と同じであり、よってマルルとポロロの預託は長期間となる(なりうる)。

B.「2年間」としたのは、円山動物園はとりあえずその期間を目途として預託を行っておいて、期限が切れる一定期間前に契約を延長するかどうかを決めたいと考えているという意図からである。

C.「2年間」としたのは文字通りその期間だけであり、円山動物園は契約の延長の可能性を視野に入れていない。

さて、この上のAですが、これは熊本や徳島の動物園はこういった状態を内心は期待していただろうと思います。 この状態はまさに、「不在となったホッキョクグマが戻ってきた。」 という状態だからです。 次にBですが、イコロやキロル(そして)アイラの時には定められていなかったはずの「2年間」が入るからには、円山動物園はその時を目途に「何か」を計画していることを意味しています。 それがうまくいかなければ、そのときは契約を延長しようということでしょう。 次にCですが、これは「2年後」に円山動物園は「何か」を行うことをすでに決めていることを意味します。 あるいは決めないまでも、「2年後」に何かができる見通しがあるということを意味しています。
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マルル  (2014年1月18日撮影 於 円山動物園)

私の予想ですが、「2年間」という期限そのもの以上に、実はこうして期限を切ったことそのものに重要な意味があると思っています。 こうして期限が設けられたことについては円山動物園に何かの強い意志があればこそであり、熊本や徳島の動物園はそれを明確に認識・確認しているがこそ、両園はマスコミにそう語っていることを意味しています。 となれば私は上のA、B、C の三つの解釈ではCが真実だろうと予想します。 ですから、マルルとポロロはおそらく間違いなく2年間で熊本と徳島から去ると予想します。 そうでなければ、わざわざ「限定」などという単語が出てくるはずはありません。 「限定」などという若干違和感のある単語を用いているのは、まるで周囲にくぎを刺しているような意味を持つわけです。 
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ポロロ (2014年1月18日撮影 於 円山動物園)

では「2年後」、つまり2016年2月ですが、これにいったいどういう意味があるのでしょうか? 円山動物園はいったい何を考えているのでしょうか? まず、円山動物園の新ホッキョクグマ展示場の完成は順調にいけば2017年だったはずです。 前倒しなどはあり得ないと思います。 ですから、今回の契約が切れる2016年2月と新ホッキョクグマ展示場の完成との関連はないということになります。 この2016年2月にはマルルとポロロは3歳です。繁殖可能となるのにはまだ数年が必要です。ということは2016年2月という期限はマルルとポロロの繁殖能力の問題とは無関係の期限であると理解せざるを得ません。 この2016年2月ですが、ララが2014年の今年の繁殖シーズンに繁殖に挑戦することはほぼ決定していますから、そうなると繁殖に成功した場合は今年の暮れに誕生する赤ちゃん(X)はその時は1歳であり、そしてさらに円山動物園がララに2年サイクルの繁殖をその時点でさらに再び求めるとすれば、2016年2月はその(X)という個体が円山動物園を去る時期と合致します。 そうなると、このマルルとポロロの「2年間限定の預託」 の 「2年間」 という数字は、まさに「2年繁殖サイクル」の「2年」と同じ意味であるという解釈も可能です。

さて、この「2016年2月」 にいったい何の意味があるのか、私は羽田から新千歳への便の中でずっと考え続けていましたが、なかなかうまい回答が見つかりません。 しかし、以下の2つが可能性として浮かび上がってくるようにも思います。 それは、

M. 2016年2月には円山動物園が毎回頼りにしている帯広のスペースが空く可能性が極めて強くなり、そこにマルルとポロロを戻そうとしている。

N.2016年2月までにアイラかマルルかポロロのうちの1頭を海外(欧州)に送り出す予定である。


まずこの上のMの可能性ですが、「イコロ問題」 の処理に何らかの見通しが立つことが前提の一つとなります。 それからこれは情報ソースをここで明らかにすることはできませんが、上野動物園がどうしてもイコロを入手してデアのパートナーにしたいという意向が(最近でも) 強くあることが上野サイドの関係者の最近の発言で明らかになっているようです。 そうすると、その実現を今まで拒んできたのが円山動物園らしいという解釈は十分に説得性があることになります。 何故円山動物園がそれに消極的なのか(だったのか)は、私はその理由が十分にわかるような気がしますが、それはまた機会を改めて論じたいと思います。 しかし円山動物園はとうとうこの「イコロ問題」の解決に何らかの見通しが得られそうだということなのでしょう。 しかしそれに上野が関連しているかどうかは現時点では私にはわかりません。 何故なら、上野にとって突如として予期もしていなかった「障害 - (この単語を本当は使いたくないのですが)」 が最近現れたわけです。 この問題の解決のために上野には少々時間が必要なようです。 ただし、上野がどうしても実現したい(or したかった)のは 「デアとイコロの黄金ペア」 である(or あった)ことは、複数の情報からどうも間違いはないようです。 私も、オリンピックが再び開催される日本の首都・東京の顔としてのホッキョクグマには、やはりデアとイコロのペアが相応しいのではないかとは思っています。 生々しい話は今回はこれ以上は止めておきます。

さて、そうすると残るのはアイラです。 「イコロ問題」が仮に解決したとしますと、帯広に残るのはアイラ一頭となります。 ララの娘たちのうち幼年・若年個体はアイラ、マルル、ポロロの三頭です。 ところが帯広のスペースは2つです。 ここで問題の2016年2月が到来した時にどうするかです。 やはりその時に一頭を欧州に出すという結論となりますが、しかし2016年2月には円山動物園には「飼育基準」に適合するはずの「新ホッキョクグマ展示場」はまだ完成していませんから欧州からの雄の個体を入れることは不可能なはずです。 ということは...先日私が書きましたが、Nの可能性、つまりアイラ、マルル、ポロロのうちの一頭を「新ホッキョクグマ展示場」 の完成を待たずに1年だけ先行して欧州に出そうということなのではないでしょうか? つまり、その2016年2月の段階では欧州の交渉の相手方に円山動物園の「新ホッキョクグマ飼育展示場」の設計図、及び完成予定図を提示することが可能となるということが一つの根拠と成り得ます。 とすれば欧州に送り出すその個体はマルルかポロロでしょう。 3歳の雌の双子姉妹をセットに相手方に提示して片方を欧州に出すということなのではないでしょうか。 イコロとキロルの場合の預託は、彼らを交換個体として海外に出すという当初の円山動物園が描いていた目論見は2009年の第一回目の欧州側との接触 (対 EAZA のコーディネータ)が一度挫折した後でしたので、そのイコロとキロルの預託契約に期限を設けることができなかったのでしょう。 しかしマルルとポロロの場合はそういった交換個体として海外に出すことについて何らかの確実な成算があるがために、「2年間限定」というような期間の限定を行っているという解釈が正しいのではないかと考えられます。 ともかく円山動物園はララの子供たちの数の増加の問題を欧州個体との交換によって解決しようという方針は不変であることは間違いないでしょう。 この方針は日本のホッキョクグマ界の血統問題を幾分かでも解決する手段としては、私は正しいと考えています。ただしそれにも限界があることは先日申し上げた通りです。

そうなるとマルルかポロロはいったい欧州のどこに行くかです。 これについては以前の投稿である「札幌・円山動物園の新ツインズ(ノワールとブランシュ – 仮称)、そして他のララの子供たちの将来 (中)」 をまずご参照いただくこととし、今回こうしてマルルとポロロの2年間限定の熊本と徳島での預託飼育が決定したという新しい状況を踏まえて、私は近日中にまだ書いていないこの(下) を投稿したいと思っています。 そして、2016年までに欧州のどの動物園の雌が出産するかも踏まえつつ、再度その欧州への移動先を予想してみたいと思います。 本当は今週末に投稿すべきとは思いますが、こうして札幌に来てしまいましたので、来週これをまとめたいと思っています。
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(資料)
熊本日日新聞 (Jan.31 2014 - ホッキョクグマの子、熊本市動植物園へ 3月に)
読売新聞 (熊本地方版 Jan.31 2014 - 札幌のホッキョクグマ 熊本に3月来園)
札幌市・円山動物園 (Jan.30 2014 - ホッキョクグマ「ポロロ」と「マルル」を送る会を開催します)

(過去関連投稿)
ノルウェーの極地動物園、ララの子供たちの入手を狙い円山動物園と接触か? ~ 報道内容の真偽を検証する
ドイツ・ハノーファー動物園と個体交換交渉を行った札幌・円山動物園 ~ その背景を読み解く
札幌・円山動物園の新ツインズ(ノワールとブランシュ – 仮称)、そして他のララの子供たちの将来 (上)
札幌・円山動物園の新ツインズ(ノワールとブランシュ – 仮称)、そして他のララの子供たちの将来 (中)
ドイツ・ハノーファー動物園に2012年夏に札幌・円山動物園が提示した交換候補個体はアイラだった!
札幌・円山動物園のマルルが熊本、ポロロが徳島の動物園に移動が決定 ~ ララの2年サイクル繁殖が継続へ
by polarbearmaniac | 2014-01-31 23:45 | Polarbearology

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