街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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ロシア・西シベリア、ボリシェリェーチェ動物園のグーリャの「ホッキョクグマの日」 ~ 悲劇の幼年期の記憶

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グーリャ  Photo(C)Кристина Попович/СуперОмск

ロシア・西シベリアの都市オムスクの近郊の田園地帯にあるボリシェリェーチェ動物園 (Большереченский зоопарк) に1頭で暮らす推定24歳になる雌のグーリャ (Гуля – 正式には Гулина - グリーナ) はその動向が報道されることはほとんどないホッキョクグマです。 ですから彼女について何か報道がある時は逃さずチェックするようにしています。
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前回、「ロシア・西シベリアのボリシェリェーチェ動物園で飼育のグーリャに『ホッキョクグマの日』が開催予定」 という投稿でご紹介していましたが、2月28日にこの「ホッキョクグマの日」のイベントが行われ、その様子を地元のTV局が報じていますので下の写真をワンクリックしていただいて開いたページで映像をご覧ください。
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Photo(C)Байкал24

(*後記 - 上の映像はこの下でご覧になれます。


グーリャには鉱物のジャムの付いた黒パン、そして果物にリンゴのデザートのプレゼントがあったそうです。子供たちの描いた絵のコンテストでは最後に受賞者の発表がありました。 実はこのイベント、毎年行われているそうですがこうして比較的その内容が詳しく報道されたのはほとんど初めてではないでしょうか。 
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グーリャ  Photo(C)ОМСКРЕГИОН

さて、このグーリャの生い立ちについては以前にもその報道の簡単にご紹介したことがありましたが今回もそれに追加したやや詳しい内容の記事がありました。 このグーリャは生後5ヶ月という幼少期に極北の地で密猟者によって母親を殺され、そしてその密猟者によって首にひもを付けられて引っ張られて連れまわされたようです。 運良く奇跡的にこのグーリャは逃げることができ、理解のあるシカ狩りの狩猟者によって発見・保護されたもののケガをして出血し、全身に血がだらけだったそうです。 、そして極地探検隊に引き渡されたそうです。 そして最終的にレニングラード動物園に送られて治療を受け体力を回復し、そして後にボリシェリェーチェ動物園で飼育されるようになったという経緯をボリシェリェーチェ動物園の広報担当者が語っています。 以前にご紹介したときの記事の報道も同園に取材して書かれたものですが保護された過程が若干異なる点がありますが今回の方が詳細です。 これは、このグーリャを最初に保護した動物園がレニングラード動物園であり、そこから伝わってきた話がボリシェリェーチェ動物園にとっては伝聞であることから生じた個々の担当者の記憶の違いでしょう。 しかし要するにグーリャは野生孤児で、たまたま運よく保護されたために命が助かったというホッキョクグマであることには違いがありません。 実に悲しい過去を背負っているわけです。 ボリシェリェーチェ動物園では「ホッキョクグマの日」に集まった子供たちに担当者が、このグーリャが密猟者の手から救われた話を語り、そしてその内容が子供たちの記憶に長く残り、子供たちが将来ホッキョクグマを決して傷つけないような意識を持ってもらうことがこの「ホッキョクグマの日」の重要な目的の一つであると考えているそうです。
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グーリャ  Photo(C)Кристина Попович/СуперОмск

今回のいくつかの報道の中でも、かつてボリシェリェーチェ動物園ではこのグーリャの他に二頭のホッキョクグマが飼育されていたことが語られています。そのうちの一頭はおそらくグーリャの仲良しのルハリャーダ (Рухляда) ですが、以前の報道では彼女はフランスに移動したとなっていますが今回の報道ではペルミ動物園、そしてそれから後にセヴェルスク動物園へ移動したとされています。 セヴェルスク動物園でのルハリャーダの様子を伝える別の記事も存在していますので、かつてフランスに行ったのはもう一頭の別の個体ではないかとも考えられます。 いずれにせよグーリャは仲良しの友達と引き離されこうして一頭でボリシェリェーチェ動物園で飼育されています。 ボリシェリェーチェはロシアで唯一といわれる「田園動物園」でグーリャの飼育環境が非常に良好のようですので、是非元気でいてほしいと思います。
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グーリャ  Photo(C)Евгений Кармаев/Омская правда

(*注 - 報道ではこの「ホッキョクグマの日」にグーリャの27歳の誕生も祝ったという報道が一部にあります。 また25歳になったという報道もあります。 このグーリャの年齢ですが、記録によれば24歳が正しいはずです。 レニングラード動物園の情報によれば、このグーリャが繁殖可能となったときに繁殖目的に引き合わせたのがメンシコフです。メンシコフはグーリャを気に入らず、そして選んだ相手はウスラーダだったというわけです。 そういった経緯からも、グーリャは27歳ではなく24歳が正しいことの傍証になると考えられます。)

(資料)
ГТРК Омск (Feb.28 2014 - Большереченская белая медведица отмечает свой праздник)
Омскрегион (Feb.27 2014 - Белая медведица в Большеречье отмечает свой праздник)
Омская правда (Nov.20 2013 - Бабушке-медведице зимой не до сна)
Московский комсомолец (Feb.28 2014 - Белая медведица Гуля в Большереченском зоопарке отметит «профессиональный» праздник)
Байкал24 (Mar.1 2014 - В зоопарке Большереченска празднуют День белого медведя)
Наша иртышская правда (Feb.10 2014 - Большереченский зоопарк: история любви «по переписке» и трагедия Умки)
СуперОмск (Mar.3 2014 - Большереченская медведица с размахом отметила свое 27-летие)
Вести (Feb.27 2014 - Зоологи отмечают Международный день полярного медведя)
ОМСК 300 (Mar.6 2014 - Омская медведица отметила профессиональный праздник)
РИА Новый Регион (Mar.16 2000 -Пермь. В Пермском зоопарке появился новый жилец - белая медведица Рухляда, прибывшая из Омской области )
Креативное Обозрение (Aug.10 2010 - Невеста для мишки)

(過去関連投稿)
ロシア・西シベリアのオムスク近郊、ボリシェリェーチェ動物園に暮らすグーリャ ~ 人間への不信と無関心
ロシア・西シベリアのボリシェリェーチェ動物園で飼育のグーリャに 「ホッキョクグマの日」 が開催予定
by polarbearmaniac | 2014-03-15 06:00 | Polarbearology

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