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釧路市動物園のユキオが4月に上野動物園へ帰還 ~ "Never bark up at the wrong tree"

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ユキオ Photo : 上野動物園

上野動物園より3月27日付けで発表がありました。 釧路市動物園で飼育されていた26歳の雄のユキオが4月7日の月曜日に釧路から移動となり上野動物園に戻ってくる予定だそうです。 これに関しては昨年11月にすでに北海道新聞が報道していましたので、事実上はすでに決定事項だったわけです。 ユキオが上野動物園から釧路市動物園に来園してからちょうど2年、きりの良いところで契約を終了させるという、物事の一つの形式の区切りをつけたといことでしょう。 「これまで2シーズンが経過しましたが、残念ながら繁殖には至っていません。2頭の相性をみると今後の繁殖は難しいと釧路市が判断し、上野動物園にユキオが戻ってくることになりました。」 と上野動物園が述べていることは、そういったことの物事の体裁を契約目的が果たされなかったから帰還するのだという契約条項に沿った説明として整えることが目的であると言えるでしょう。 何故かと言えば、今年2014年の繁殖シーズンの2頭の間の状態を見ずして釧路市動物園が昨年11月の段階でユキオの上野への返還を事実上決めていたからです。 ですから昨年11月の段階で北海道新聞の記事が掲載されたということです。






以下に私が述べることは、その行間の意味をお汲み取りいただきたく思います。 そもそもユキオが2年前に釧路市動物園に移動することが発表されたとき、非常に意外に思った人は多いでしょう。 私もそのプランを知った時にびっくりしました。 そして私も含めて多くの人があえて口には出さなかったものの、この2頭の間の繁殖に関しては非常に懐疑的に受け止めたというわけです。 そう感じた理由は、この移動はあくまで「繁殖目的」だととらえたためです。 私もいささか生半可の仮面をかぶってそういう考えを基礎にした投稿を過去行ってきました。 ところが、この移動の後ろに隠された実際の意図は、「何がなんでもツヨシを繁殖の舞台に立たせる」 ということであり、実際にユキオとの間での繁殖に成功するかどうかは必ずしも最大の問題ではなかった(もちろん繁殖に成功すればそれに越したことはありませんし、それこそが我々が期待した最大の成果だったわけですが)ということを理解しておくべきだったのです。 つまり、「現状打破」にこそ一番大きな意味があったということです。 24歳にもなっていたユキオをわざわざ東京から北海道に移動させてまでツヨシにパートナーを付けてやらねばならないほどホッキョクグマ、特にツヨシの繁殖は緊急かつ重要なのだという「メッセージ性」を発することが最大の目的の一つでもあったということです。 さて、そして次ですが、ツヨシを繁殖の舞台に立たせることに消極的な、岩盤のように固い考え方が存在していたわけです。 ホッキョクグマの将来のためにそれを渾身の力で打破しようとしたのがユキオの釧路への移動だったというのが真相だったわけです。 ところが「見えない敵 (これは具体的個人ではありません、そういう考え方そのもののことです。)」 も、さるもの、この「現状打破」の果敢な試みを見事に逆手に取ったわけです。 「どうせユキオはそのうち高齢になるのだから上野への帰還はできなくなる。 そうなれば高齢を理由にユキオを引き留めることができ、そしてツヨシは形だけであっても繁殖上のユキオのパートナーとしての存在として固定保持できる。」 と考えたようです。 それは見事に成功したかのように見えました。 ところが、その「見えない敵」の前に今回立ちはだかったのは秋田県の知事さんとミルクだったということです。

言い方に語弊はありますが、「余生は涼しい土地で過ごさせてあげるよ。」 というのはまるで「悪魔のささやき」 のようなものだったというわけです。 ユキオは早く上野に帰って来るべきでしょう。 それこそが彼の尊厳を守ることなのです。 ミルク来園後もユキオを釧路に留めようと運動されていた方が仮にいらっしゃったとすれば、それは全く筋違いの話ではないでしょうか。 それから、釧路市の市民グループの方々も、実は今回の件について意外なほど「蚊帳の外」に置かれてしまっているように見えます。 市側(動物園側)にいろいろな複雑な事情があるのでしょう。

(資料)
上野動物園 ニュース (Mar.27 2014 - ホッキョクグマの「ユキオ」が帰ってきます

(過去関連投稿)
釧路市動物園のユキオとツヨシ ~ 残された繁殖の時間の限られたペアの姿
釧路市動物園へ ~ 余生安楽モードのユキオへの苦言
憂愁のホッキョクグマ ・ ツヨシの憂鬱
釧路市動物園のユキオが上野動物園へ、男鹿水族館のミルクが釧路市動物園へ ~ その後を予想する
by polarbearmaniac | 2014-03-27 23:45 | Polarbearology

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