街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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スコットランドのハイランド野生公園へデンマーク・オールボー動物園のミラクが移動か?

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アルクトスとウォーカー Photo(C)BBC

イギリス北部スコットランドのキンクレイグ (Kincraig) にあるハイランド野生公園 (Highland Wildlife Park) に暮らすオランダ・レネンのアウヴェハンス動物園生まれの5歳の雄のウォーカーとウィーンのシェーンブルン動物園生まれの6歳の雄のアルクトスについては過去に何度も投稿してきました。 この若年個体の雄の2頭はパートナーが割り当てられることもなく独身生活をそれなりに楽しんでいる様子は「スコットランドのハイランド野生公園、ウォーカーとアルクトスの近況 ~ 雌の伴侶欠乏世代の個体たち」、「スコットランドのハイランド野生公園、ウォーカーとアルクトスのお誕生会 ~ 若年世代の雌不足に悩む欧州」、そして「スコットランドのハイランド野生公園に実現した『個体の幸福』、実現しない『繁殖の可能性』」という投稿をご参照下さい。
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アルクトスとウォーカー Photo(C)BBC

このハイランド野生公園の飼育責任者のダグラス・リチャードソン氏はウォーカーとアルクトスのパートナー探しに以前から熱心で、自らいろいろな候補を考えネット上でその候補個体をほのめかしていたわけですが、いささか欧州のホッキョクグマ界の最新の情報に疎かったようで、EAZAのコーディネーターはそういった候補個体をウォーカーとアルクトスのパートナーとすべくアレンジするということはなかったわけでした。 そういった時期の後にリチャードソン氏はこの2頭の雄の若年個体のパートナー問題について発言しなくなっていたわけですが、遂にそういった沈黙を破ってリチャードソン氏はアムステルダムのEAZAの「ホッキョクグマ特別委員会 (The Polar Bear Special Committee)」(つまり実質上はコーディネーターのことでしょう)からこの2頭のパートナーとなるべく5歳の雌が選定されたのだと地元紙に明らかにしました。 この5歳の雌は飼育下で生まれ今まで繁殖の舞台に立ったことはないとも語っていますので、おそらくこれはデンマーク・オールボー動物園のミラクを指すものに違いないと思われます。
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ミラク Photo(C)Aalborg Zoo

ミラクについては実は彼女は最近まで雄だとされていたものの、いざカナダへの売却の話が出た時に改めて性別判定を行ったところ雌であることが判明した個体です。 この件については「デンマーク・オールボー動物園、DNA鑑定するも度重なる性別取り違え ~ ミラクは雌(メス)だった!」をご参照下さい。 そしてその後にこのミラクには移動の話が聞こえてこない件については「デンマーク・オールボー動物園でのヴィクトリア、メーリク、ミラクの雌3頭の奇妙な同居生活 ~ 展望なき繁殖」をご参照下さい。 ただしかし、これもひょっとしてリチャードソン氏の単なる願望による発言である可能性も捨てきれません。 なぜなら、その雌の個体を来年というまだ先に迎え入れたいと語っているからです。 まずこの時期が非常に不可思議です。 つまりリチャードソン氏は希望で語っているだけのような気もしますが、その一方で40万ポンド(約6800万円)かけて新しい飼育場を設けるのだという具体的な話をしている点と、この雌の個体と(最初に)繁殖を試みるのはアルクトスであると語っている点において、やはり何らかの信憑性を帯びた話であるようにも感じられます。 ミラクはロストック系、そしてウォーカーもロストック系ですのでミラクが来園すればウォーカーではなくアルクトスとの間での繁殖に注力されることは明らかである点においてリチャードソン氏の話はEAZAのコーディネーターの意向が反映していると考えられるからです。 ただし雌の若年個体を求めているのはドイツのハノーファー動物園も同じであり、若年個体移動のスキームの組み立て次第によっては別の組み合わせが打ち出される可能性はまだまだ十分にあるように思われます。 ここで一つ、アルクトスとウォーカーの映像を見てみましょう。 この年齢となった雄2頭はこのような遊び方をしているわけです。



ともかく事態の推移を見守りたいと思います。 考えてもみればこのミラクやアルクトスやウォーカーはデアやイコロとキロルと同じ世代です。 仮にデアが欧州に留まっていれば欧州内のいろいろな個体移動のスキームのなかでパートナーを得た可能性は大きいでしょう。 ところが日本ではまだツヨシ、ピリカといったもっと上の世代が残っているわけです。 非常に難しい状況だと言えましょう。

(資料)
The Scotsman (Apr.28 2014 - Scotland’s polar bears to show pandas how it’s done)

(過去関連投稿)
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スコットランドのハイランド野生公園に実現した「個体の幸福」、実現しない「繁殖の可能性」
デンマーク・オールボー動物園、DNA鑑定するも度重なる性別取り違え ~ ミラクは雌(メス)だった!
デンマーク・オールボー動物園でのヴィクトリア、メーリク、ミラクの雌3頭の奇妙な同居生活 ~ 展望なき繁殖
by polarbearmaniac | 2014-04-28 15:00 | Polarbearology

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